プロが教えるわが家の防犯対策術!

マルクーゼの著書「理性と革命」の中に、ヘーゲルのイエナ時代の体系について「否定性が全ての有限な事物の構成要素であり」(p.73)という記述があるのを見つけたのですが、ここでいう否定性に関して3つ質問があります。

(1)否定神学がヘーゲルに与えた影響は?
ヘーゲル的弁証法で大きな役割を果たしているのが否定性であるというのは、マルクーゼに限らずとも(コジェーヴも言っていますが)ヘーゲルの弁証法の常識だと思っていますが、それをヘーゲルが構成する基礎としたのがまさに否定神学だと言ってよいのだと(ウィキペディアを参考にして)思っています。そこで、具体的に、ヘーゲルのどの作品が最も否定神学の影響下で書かれた作品なのか教えていただけますか?

(2)否定神学の参考書はありますか?
これはそのままの質問で、否定神学について学ぶために手がかりとなる参考書(もしくは作品)はありますか?どの/誰の本がそれに関して手ごろでしょうか?概説書などがありましたら教えていただきたく思います。

(3)バタイユによる指摘?
ウィキペディアの否定神学のページに、「こうした中世の神秘主義的否定神学は、…ドイツ観念論における神および絶対者概念の成立(バタイユが指摘するように、特にヘーゲルのそれ)にも影響した。」とありますが(http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=否定神学&oldid=24358761)、具体的にどの作品でバタイユが指摘しているか教えていただけますか?

以上です。皆さんの回答をお待ちしています。よろしくお願いいたします。

A 回答 (4件)

3番に関して



カトリック神学がバタイユに与えた影響が一番大きい。
否定神学からの直接的影響は、少ないということ。

カトリック的神学→否定神学を形成
カトリック的否定神学の元は、クザーヌス的考えですが、
「クザーヌスからのバタイユへの影響」は、少ないです。

ヘーゲルは、(他のフランス人を介して)間接的に影響を与えているとはいえるでしょう。否定神学とは関係ありません。
しかしこれは哲学的領域においてのこと。哲学的アプローチは継承されていません。(ドグマ的・文学的哲学とでも言うべきでしょうか)

2次資料による哲学というべきでしょうか、「当時の時事的ねた」を自分なりに料理した(そしていいところまでいった)「作家」というのが事実に近いとかんがえられます。(「無神」の文化と解釈されます)
    • good
    • 0
この回答へのお礼

分かりました。バタイユは確か『ランスの大聖堂』を著した時期(青年期)にはカトリックに傾倒していましたね、その後のニーチェ読解によって(ヘーゲル → ニーチェ という哲学的系譜それ自体が物語っていますが)無神論者となりましたが。殺害された神を理念としていた、無神論的-宗教団体であるアセファルの結成はその後ですよね。

「クザーヌスからバタイユへの影響が少ない」こと、確認いたしました。確かにクザーヌスをバタイユが直接参照したという話はこれまで聞いたことがありませんが、果たして少ないながらも一体どういう影響があったのか、今後確認していきたいと思います。

お礼日時:2009/06/17 14:48

1)否定神学がヘーゲルに与えた影響は? 答=ほぼゼロ


ほとんどないといえます。論旨として「ドイツ観念論」が「否定神学」より譲り受けた「問題意識」があるだけです。それでもってドイツ観念論内で個々にオリジナリティーがありまして、意見が分かれます。

限定して言えることは、ドイツ観念論哲学に名をつらねる哲学者たちは、「クザーヌス」・「エックハルト」・「ライプニッツ」を当然意識しています。朝永三十郎さんの話に耳を傾けるとすると、第一に「真理の淵源は『我』のうちにある」という点、更に「真理の淵源たる『我』は、個人のうちに働いてはいるが、同時に超個人的であるということ」の2点に絞られるということです。(この内容は、マイスターエックハルトの代表的考えです。)
しかし、この2点は、否定神学とは比較的関連が薄く、「神秘主義的解釈」から内容的出発点・起点としてトレースされているだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。(新教ルター派ではないというぐらいの範囲。議論に値しないほど大雑把な否定神学という目次索引に収まります。)
あえてあげるとすると
-「精神哲学」の自然を凌駕する同一性の「規定性」として精神の(自然への)否定的側面
-過去性という点で「美学」
-講義の前提として形而上学的概念吟味の際、「宗教哲学」
ぐらいです。(でも正確には、否定神学一般とは、異なるものです。)

2)
クザーヌス「学識ある無知について」山田 桂三訳
西谷啓治「神と絶対無」(エックハルト研究です)
あと詳しいのは、Willi Oelmüller「Negative Theologie heute」

3)バタイユは、ヘーゲルが苦手で、友達から助けをもらったぐらい。議論に値するものではありません。(社会批評時代に小論があるぐらいです/「内的体験」のなかで「理由のない消費」をしゃれとして「否定哲学的」に引用しましたが、否定「神学」ではないことに注意してください)
    • good
    • 0
この回答へのお礼

分かりました。ご意見を参考にして、クザーヌスとエックハルトを読んでみたいと思います。

3番に関してですが、バタイユはヘーゲルの影響を受けていないということではなく、否定神学的な要素によってバタイユの思想が影響されていないということでしょうか?というのはヘーゲル一般に関してはバタイユはコジェーヴから大きな影響を受けているはずですから…。

お礼日時:2009/06/17 10:56

竹田氏の本は、段ボール箱に入っていて参照不可能(かつ、否定神学に触れた部分がどの程度あったか不明)なのですが、東氏の本をパラパラめくってみると、参考になるかも知れない部分が散見されましたので、少し引用しておきます。

(東氏の「存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて」の人名引用から「ヘーゲル」について、特に「バタイユ」および「否定神学に関連しそうな」部分について)
p.21>>>
『エクリチュールと差異』においては、...と記されていた。バタイユによるヘーゲル読解について述べられたこの文章は、またバタイユを読む彼自身の方法も描き出している。
<<<
p.67『イロニーの概念』を参照しつつの(註)>>>
...なおキルケゴールはここで、ヘーゲルのその規定に重要な特徴を付け加えている。弁証法からの逸脱(イロニー)が固有名単独性により可能になるという論理がそこにははっきりと確認される...キルケゴールの考えでは、デーモンはソクラテスの自己同一性を強化する。それはソクラテスを弁証法に回収されない絶対的否定性(イロニー)へと駆動するが、しかしそれは...世界からの絶対的切断においてである。「ダイモニオンが宗教的な見地における現存のものに対するソクラテスのまったく否定的な関係をあらわすものだということが明らかになる...それは彼が何か新しいものを導入したことによってそうなるのではない。なぜなら、そうであれば彼の否定的関係は、ますます多く、彼の肯定性についてまわる影としてあらわれるであろうから。...」『イロニーの概念』(下巻三〇頁)。ソクラテスのデーモンを幽霊として捉えるデリダの読みは...
<<<

あと、否定神学関係のやり取りで参考になりそうなのを見つけたので、リンクしておきます。
http://d.hatena.ne.jp/deepbluedragon/20081115
http://d.hatena.ne.jp/contractio/20081221
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

バタイユによるヘーゲル読解に関しては、東さんの『存在論的~』と竹田さんの『言語的思考へ』を参照しながら、『エクリチュールと差異』を読んでみたいと思います。

キルケゴールの『イロニーの概念』については、これをちょうど図書館から借りてきたところですので、まずそれを読んで、基本的な知識を身に付けてから考えてみたいと思います。

また、リンクも示して頂き、ありがとうございます。

お礼日時:2009/06/14 22:53

(3)を含む(2)に関して少し。

。。

共同体の否定神学を超えて?/浅田彰
http://www.kojinkaratani.com/criticalspace/old/s …
上記リンク先にて取り上げられている書籍は古く、手に入りやすいのは下記の2冊の内、最初の1冊です。

無為の共同体―哲学を問い直す分有の思考 (単行本)
ジャン=リュック ナンシー (著), 西谷 修 (翻訳), 安原 伸一朗 (翻訳)
出版社: 以文社 (2001/6/15)
ISBN-10: 4753102157
ISBN-13: 978-4753102150
発売日: 2001/6/15
---読んでる最中です。

無為の共同体―バタイユの恍惚から (ポストモダン叢書 (7)) (単行本)
ジャン=リュック・ナンシー (著), 西谷 修 (翻訳)
出版社: 朝日出版社 (1985/05)
ISBN-10: 4255850364
ISBN-13: 978-4255850368
発売日: 1985/05
---持っていません。

あと、否定神学がらみで読んだものとして、個人的にお勧めなのは

存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて (単行本)
東 浩紀 (著)
出版社: 新潮社 (1998/10)
ISBN-10: 4104262013
ISBN-13: 978-4104262014
発売日: 1998/10

言語的思考へ- 脱構築と現象学 (単行本)
竹田 青嗣 (著)
出版社: 径書房 (2001/12/15)
ISBN-10: 477050179X
ISBN-13: 978-4770501790
発売日: 2001/12/15

ですが、否定神学を考える上で、この2冊は読み比べるべきだと思っています。

参考URL:http://www.kojinkaratani.com/criticalspace/old/s …
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

ナンシーはフランス・ポスト=モダン思想の代表者のひとりですよね。早速確認してみます。竹田さんのその本は、実はちょうど手元にありました(放置していました)。灯台下暗しですね。

お礼日時:2009/06/12 19:49

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!