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V型エンジンには、バンク角が60度のものとか90度とか、あるいは120度とか180度とかいろいろなものがあります。これらにはどの様な良い点、あるいは悪い点があるのでしょうか?
もしかしたら気筒数とも関係あるかもしれませんね。V6とV8とでは、同じ角度でも効果が微妙に変わるとか。
あるいはVWのV型(W型)はちょっと変わったエンジンですが、これにはどんな意味があるのでしょうか??

出力とか搭載スペースとか、整備性とかコストとか、いろいろ考えられると思うのですが、メーカーはどういうコンセプトでバンク角を選択するのか興味があります。ご存知の方、よろしくお願いします。

A 回答 (12件中1~10件)

直列配置でなくVやWなどの配置にすることでの一番の利点はクランクシャフトの長さを短くできることでしょう。

クランクシャフトが長くなると大きなねじれ方向の力が断続的に掛かるシャフトなので、強度を持たせるために十分な太さを持たせなければなりません。強度が足りないと回転時にねじれが生じ場合によっては破断します。たとえば6気筒のエンジンをふたつ直列につなげたような12気筒エンジンは無理があるということです。シャフトを強化すると言うことは断面積を増やすことになりますが、これは単に重量増加と言う事ではなく、ジャーナル部での周速が早くなることも意味します。これは高い負荷が掛かるジャーナルでは潤滑の難しさがますと言う問題があります。また、自動車などの場合搭載するにも無理があるでしょう。V型では90°のバンク角を持つV型が機械的には最もバランスがよく、慣性質量の50%に当たるバランスウエイトをクランクウエブに設けることで、完全に1次振動をキャンセルできます。そのため多くのVエンジンで90°のバンク角が採用されています。ただしV型エンジンやW型エンジンではひとつのビッグエンドに取り付けられたピストン同士の燃焼間隔は不均等になるため、V型2気筒などでは大きなトルク変動を伴うと言う欠点もあります。まぁ、自動車用のV型エンジンでは6気筒以上が殆どですのであまり問題にはならないでしょう。

60°や120°や180°等の変則的なものでは一次振動をキャンセルすると言うメリットはありませんが、エンジン全長を抑えて設計する場合には他の方式より有利になります。

V型とは別の分類で扱われますが、星型エンジン(ゼロ戦などにつまれていたクランクシャフトの周りに放射状にシリンダーが並んでいるもの)もV型やW型エンジンのように、エンジンを横から見た(クランクシャフトを左右方向に)状態で一列に並んでいるシリンダーは全てひとつのクランクピンにつながっています。ただしV型エンジンなどと違うのは実際にクランクピンとつながっているのは親コンロッドと呼ばれるビッグエンド側が大きく広がったひとつだけで、他のシリンダーから伸びたコンロッドはクランクピンではなく、親コンロッドのビッグエンド側につながっています。このため、同じクランクピンにつながるシリンダー同士で通常のV型のようなオフセット(ハーレーのV型エンジンは片方のコンロッドの先は二股に分かれ、もう一方のコンロッドを挟むような形でクランクピンに接続されているためV型であってもオフセットはありません)はありません。まぁ、星型エンジンは空冷エンジンで多気筒大馬力を求めた結果の産物で自動車用の要求とは異なりますけどね。B29 などにつまれていたエンジンなどは星型28気筒エンジンですが、クランクピンはたったの4本しかありませんでした。他の方式ではちょっと考えらないでしょ。
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この回答へのお礼

なるほど。クランクシャフトの短さですか。納得です。それに「V型では90°のバンク角を持つV型が機械的には最もバランスがよく、慣性質量の50%に当たるバランスウエイトをクランクウエブに設けることで、完全に1次振動をキャンセルできます。」
ありがとうございます。こういうご回答を期待していました。

お礼日時:2012/01/13 00:32

No.6様の回答が興味深かったので余談ですが・・・。



クランクのトルク変動を抑えるのは等間隔点火、これは素直に考えれば全くその通りです。
ところが、クランクのトルク変動は燃焼によるものと往復運動部の慣性質量やクランクマスが合成されたトルクになります。
実を言うと、特に往復運動部(ピストンやコンロッド)が生み出す慣性力は燃焼指圧よりも遥かに大きなトルク変動をクランクに与えています。

つまり、燃焼だけを抜き出して等間隔点火であるから必ずしもトルク変動の少ないユニットになるとは限らないのです。


二輪最高峰のレースであるMOTOGPでは、2004年からYAMAHAのYZR-M1が搭載する並列4気筒エンジン(自動車で言う直4)は、クランクに90度ずつ位相角が与えられた不等間隔燃焼となっています。これは通常の直4ユニットでは異例のことです。
この思想は2009年より市販車のYZF-R1にも応用されましたが、YAMAHAの説明によると、クランクの慣性力によるトルク変動を位相クランクによって少なくすることによって、純粋な燃焼によるトルクをライダーが感じやすくするのが目的のようです。
詳しくは該当ページをご覧下さい。

また同様の試みはそれ以前にも行われていました。
MOTOGPの前身であるWGP500で、HONDAのNSRは2ストロークのV4ユニットでしたが、それまで使用していた90°等間隔燃焼(2ストなので)から180°2気筒同爆を経て、1992年から2気筒同爆の292°-68°という不等間隔燃焼となりました。
この位相同爆、あるいは近接爆発と呼ばれた手法は他メーカーをも追従させますが、HONDAが目指したのは敢えてトルク変動を与えてやることで、回転中のタイヤにトルクを与える時間と休息させる時間を作り出すことで、(あたかもブレーキのABSのように)有り余るパワーを使い切るのが目的でした。

全く異なる思想ですが、至った結論は同じだったというのが面白いです。

・・と、すいません。
質問の趣旨とは全く異なる雑談でしたね・・・。
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この回答へのお礼

うわぁ、深いなぁ…どうもありがとうございます。トルク変動っていろいろな要素で生まれるんですねぇ。改めて勉強になりました。

お礼日時:2012/01/20 23:03

No10追記


クランク角の正しい定義?。
1つの気筒について、上死点・点火の時のクランクシャフトの位置(回転の位置)を0°とすれば、180°は爆発行程の下死点、360°は排気行程の終わりの上死点、540°は吸気行程の終わりの下死点、720°は圧縮行程の終わりの上死点で同時に点火の時でも有ります。
私の場合複数の気筒のうち、次ぎに続く行程の気筒のクランク角との「差」を単にクランク角と表現しています。
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この回答へのお礼

なるほど。そうでしたか。どうもありがとうございます。

お礼日時:2012/01/20 23:00

NO9 訂正


紛らわしい表現、誤った用語が有ります。
「クランクシャフトの中心から見て1気筒目から何度ずらすかが」
クランクシャフトの回転角度で何度ずらすか、が正しい表現?。
「クランク」=正しくはコンロッド?、ピストンとクランクを繋ぐ連結棒です。
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この回答へのお礼

おお、やはりコンロッドで良いんですよね。助かりました。ありがとうございます。より判りやすく理解できました。

お礼日時:2012/01/20 22:59

極旧式の2気筒はクランクシャフトに弾み車を兼ねた円盤が付いていました、ピストンから出たクランクの片方はこの円盤の円周付近に連結します。


2気筒同じ位置に連結すると、クランク角0°です(720°が1サイクルのため360°もあり得ますのでクランク角360°も見た目は0°と同じになります)。
この連結する位置をクランクシャフトの中心から見て1気筒目から何度ずらすかがクランク角です。
爆発の間隔のみについて考えると、バンク角とクランク角は同じ関係?。
例 クランク角0°、バンク角90°=クランク角90°、バンク角0°(インライン)、つまりどちらの場合も爆発の間隔は同じになります、ただし、重量バランス、慣性質量バランスはそれぞれ異なります。
V90°よりV60°の方がエンジンの幅が狭くできますのでよりコンパクト化と,クランク角をどう設定するかで、爆発間隔によるトルク変動、重量、慣性質量バランスによる振動をいかに抑えられるか、また車種により何を敢えて犠牲にするかがコンセプトかと・・・、もちろんコスト面も。
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この回答へのお礼

わざわざ追加説明どうもありがとうございました。要はそのクルマ(エンジン?)がどういうコンセプトで、何を追求し何を犠牲にするかという事なんですね。

お礼日時:2012/01/20 22:59

#7の方への補足要求に代わってお答えします。

#7の方が言われているのはV型配置でも一風変わった方法で、たとえばV型2気筒であってもクランクシャフトにクランクピンは2本あり、並列2気筒のような構造になります。シリンダーのバンク角が搭載条件などにより90°を取れない場合にクランクピンをそれぞれのシリンダーごとに位相差を持たせた物としている場合の話です。このようなものでは当然ながら、クランクシャフトにはそれぞれのクランクピンの間にウエブをはさむ構造となるため、典型的なV型エンジンとは似て非なるものということになるでしょう。まぁ、水平対向エンジンと180°V型との違いのようなものです。この場合直列エンジンほどではないにしろクランクシャフトの全長やエンジン全長は長くなります。外見上からV型エンジンに分類されますが、実際の構造などは180°よりも狭角のバンク角を持つ対向型エンジンのほうに近いでしょう。採用例としてはホンだのバイクが小さなバンク角(確か45°)を持つV型エンジン(外観上の問題)で、燃焼の不均等や振動の軽減のためにV型2気筒でありながら並列2気筒のような2本のクランクピン(それぞれのクランクピンには確か90°の位相差がある)を持つエンジンを採用していた事例がありますね。まぁ、これらのエンジンはV型としては異端児に当たるわけで、偶数気筒数(稀ではあるが奇数のものもある)の場合、クランクシャフトをはさんだふたつの向かい合うピストンは同一のクランクピンに結合されると言う、V型エンジンの基本構造からは外れていますからね。先に述べた水平対向の変形やボアピッチにより全長が長くなりがちな直列エンジンの変形と言うべきでしょう。

まぁ、V型エンジンの厳密な定義と言うものがあるわけではないようですし、シリンダーのバンクがV字型ならV型というのが誤りであるというつもりは有りませんが、もともとV型エンジンが作られた経緯を考えるとひとつのクランクピンにふたつのコンロッドを結合させ、それぞれのコンロッドにある一定の確度を持たせたシリンダー内にあるピストンに結合すると言う方法が、V型というにもっともふさわしいと考えます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。なるほど。「水平対向エンジンと180°V型との違いのようなもの」ですか。実はこれも私の永い疑問でした。どうもありがとうございます。

お礼日時:2012/01/20 22:56

バンク角のみを考えたのでは意味がありません(理解できません)。


同時にクランク角(クランクへの取り付け角度)を考える必要がむ有ります。
例 インライン2気筒でも、クランク角を変えると爆発の間隔が変わります(もちろん重量バランスも)
4ストロークでは720°が1サイクルなので、クランク角360°で等間隔爆発になります(ピストンの位置は同じ位置)、クランク角180°にするとビストン位置は互いに反対になりバランスとれますが、爆発が不等間隔になります。
V(例90°)にして、クランク角0°(360°)の場合、爆発間隔はインラインでクランク角をバンク角と同じ(90°)にした間隔になります(重量バランスはインラインに比べ、バンク角分ずれます)。
バンク角180°の水平対向は、クランク角180°にすると(ボクサーの動きになる)インラインなら不等間隔爆発ですが、バンク角(180°)ずれるため360°と同じになり、等間隔爆発になります、重量バランスはボクサーの動きで理解できますね。
最近はコンピーターシュミレーションで、バンク角、クランク角を微妙に調整して設計し、爆発間隔によるトルク変動と重量バランスによる振動を最適に設計可能になったようです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。なるほど。爆発間隔でしたか。

それと、えっと…クランク角の「クランク」というのはクランクシャフトの事でしょうか?クランクシャフトにアームが付く、その角度が「クランク角」という事でしょうか? ちょっとこの「クランク角」というのがイメージできませんでした。

お礼日時:2012/01/13 00:55

角度が色々ある、ということは、どんな角度でもなんとかなるって事です。



振動は、完全バランスエンジンあたりを調べると分かると思いますが、
今ではエンジン全体で振動を少なくする調整をするのがメインになっていますので、
2気筒でも3気筒でも実用足りえるエンジンが作れて居ます。
4気筒やV6より5気筒のほうが振動が少なくできたりするようで、不思議な感じです。

完全等間隔点火が基本ですが、一時期不均等にしたほうが加速がよくなる、といってたメーカーがありましたが、今はどうなっているのでしょう。
ロストテクノロジーかウソ技術か、実は今でも採用されていたり?
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この回答へのお礼

なるほど。振動はもはやバンク角だけではなく、総合的に対処し得るという事なのですね。勉強になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2012/01/13 00:50

V型エンジンのバンク角は気筒数によって変化しますが一番の理由は1次2次振動の低減化にあります。



等間隔爆発が基本となりますのでV8は90度間隔爆発でL4クランクレイアウトが採用でき、2次振動(偶力)は楕円軌道となります。

V6は120度間隔爆発ですので本来は120度のバンク角にしたいのですが、エンジン単体での立方体容積が大きくなるのでその半分の60度バンクとし、クランクピンをオフセットし120度の等間隔爆発を実現しています。


L4エンジンは気筒数のレイアウト上1次振動は出なくても2次振動が大きく、特に2000cc以上の排気量で顕著になります。
これを解消するためにはバランサーシャフトを採用するのですがメカニカルフリクションの増大による吹けあがりの鈍さや高回転時のブロック強度に伴うコストや特許などの問題点などがあります。

60度バンクV6レイアウトは2次振動(V6の場合偶力)はバランスウエイトで解消できると同時にエンジン横置きレイアウトが可能な点が利点ですが同排気量のL4と比較すると重量と体積、部品点数の点で不利になります。

余談ですがF4(B4)エンジンは1次2次ともに振動が出にくいレイアウトです。
単気筒あたりのピストン重量の関係もありますが2500~3500ccではもっとも優れたエンジンだと私は思っています。(コストと縦置きエンジンレイアウトのみの制約あり)
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この回答へのお礼

詳しいご説明ありがとうございます。
「等間隔爆発が基本となりますのでV8は90度間隔爆発でL4クランクレイアウトが採用でき、2次振動(偶力)は楕円軌道となります。」この辺ちょっと勉強不足で判らないのですが、つまり、V8は4気筒二個分と同じで、一気筒あたり90度ずつで回れ、V6は3気筒二個分という事で、一気筒あたり120度で回れるって事でしょうかね。
二次振動ってのをもうちょっと勉強します…

ありがとうございました。

お礼日時:2012/01/13 00:48

V型エンジンが用いられる理由は、通常の直列エンジンではシリンダー径+シリンダー壁厚=ボアピッチという制約から逃れてエンジンの前後長を短縮するのが一番の目的です。



それだけが目的ならば挟角はどうでも良いのですが、主にエンジンとその補機類を含めた搭載性、そして一次振動のキャンセル(気筒数によって異なる)が主要因になっていると考えられます。



例えば、通常のV型エンジンはVの字に開いたシリンダーの中央にインテークマニホールドが設けられますが、エンジンのVバンク角が60°以下になると、マニホールドが交錯して吸気系のレイアウトが困難になってきます。性能より趣味性の高いエンジンや2気筒で比較的レイアウトにゆとりのあるエンジンを除けば殆どが60°以上のバンク角を採用しているのにはこの事情が大きいと思われます。
もちろん、必要以上に狭角(30°以下とか)のレイアウトではシリンダー同士が干渉してV型である意味は殆ど無くなってしまいますが。

逆に180°V(あるいは水平対抗いわゆるボクサー)になるとエンジンの搭載位置は下がって吸気系にゆとりが生まれますが、逆にエキゾーストの取り回しは最低地上高との兼ね合いから非常に窮屈になり、本来オイルパンがエンジン搭載高が決まるクリティカルな部分であるのに、エキゾーストがクリティカルになってしまいます。

また、現在の量産車のエンジンは工作機械を共用して新規エンジンでも生産コストを抑えたい事等から、既存のVバンク角を使用する(しなければならない)といった事情も考慮されると思います。



レーシングエンジンでも重心を下げたいことから比較的広角のV型エンジンが好まれてきたきらいがありますが、空力が重要視されてきた昨今はエキゾーストを含めた補機類が床板やディフューザーに干渉しないバンク角にするのが大前提です。
今はレギュレーションで規程されていますが、F1エンジンでもVバンク角が110°を超えると非常にエキゾーストの取り回しが難しくなると言われていますし、エンジンの両脇をディフューザーに専有されてしまう現代のLMPカーでは100°以上のバンク角は難しいと言われています。AudiのR18が120°という非常に広いバンク角を採用できたのはエキゾーストを上面へ持っていったからですね。
また、レーシングエンジンの場合はストレスマウントされて車体剛性の一部を担いますから、可能な限りモノコック幅に近いユニットが好まれ、極端に狭い(あるいは広い)ユニットはサブフレームを必要とし、重くなります。



ちなみにVWのW型エンジンは典型的な変態エンジン、開発者の意地です(笑)。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。なるほど、重心を下げるための広角化ですね。納得です。

お礼日時:2012/01/13 00:35

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