いつもお世話になっています。
A.Waleyの『 TALE OF GENJI 』(帚木 The Broom-Tree)から
わからないところと訳の間違っているところを教えていただければと思います。
1)
『 ”It was her habit to minister to my smallest wants even before I was myself aware of them; whatever she felt was lacking in her she strove to acquire , and where she knew that in some quality of mind she still fell behind my desires, she was at pains never to show her deficiency in such a way as might vex me. 』
●私が私自身私の最小の(最も取るに足らない?)必要物ついて気付くまさしく前に、それらに役に立ったのは彼女の性質でした。彼女が彼女の中に不足していると感じたものは何でも、彼女は習得する努力をしました。そして心のいくらかの資質の中で、彼女が絶えず私の欲望(願望)に遅れをとったと判断した場合は、彼女は私をいらだたせるかもしれないような方法で彼女の不足を決して示さないように、気を配りました。・・・・・?
「I was myself aware of them」・・・「them」は「smallest wants」ですか?
her habit・・・・「habit」は「性質」ですか?
even before・・・・まさしく前に?
whatever she felt was lacking in her~・・・・ここは元の形が「she felt what was lacking in her~」で、「what」(関係代名詞)の強調形の「whatever~」の文ですか?
she still fell behind my desires・・・・・「still」は「絶えず」「常に」?
she still fell behind my desires・・・・これは彼女が、馬頭がして欲しいと思ったことに対して前もって察知しなかった、ということですか?
2)
『 Thus in one way or another she was always busy in forwarding my affairs, and she hoped that if all down to the last dew-drop (as they say) were conducted as I should wish, this would be set down to her credit and help to balance the defects in her person which meek and obliging as she might be could not ( she fondly imagined ) fail to offend me.』
●このようにさまざまな方法で、彼女はいつも私の用事を促進することに忙しかったのです。そして彼女は、もし最後の露の滴に至るまでのすべてが(彼らが言うように)、私が望むように行なわれるならば、これは彼女の信用と見なされ、そして、どんなに彼女がおとなしくて親切であったとしても、彼女が私を間違いなく怒らせた(彼女は愚かにも想像しました)であろう彼女の性格の中の欠点を、(これが)埋め合わせることを助けるであろうことを願いました。・・・・・?
難しいです。
as they say・・・ここの「they」は第三者たちのことを指しているのでしょうか?
as I should wish・・・・ここは一人称の意志未来の「I shall」が時制の一致で「I should」になったものですか?
this would be set down・・・・「this」は彼女が最後の露の滴に至るまでのすべてを馬頭の望むように行なうことですか?
help to balance the defects in her person which meek and obliging as she might be could not ( she fondly imagined ) fail to offend me.について以下のように並べ替えて訳しました。
「help to balance the defects in her person which (she)could not ( she fondly imagined )
fail to offend me as she might be meek and obliging.」
as she might be・・・・・「as」は「どんなに・・・してみても」「いかに・・・しても」?
could not fail to offend me.・・・・・ここの訳し方がよくわかりませんでした。「fail to ~」は「~し兼ねる」「~しない」?「could not」と合わせると二重否定になって肯定文になるのでしょうか?
3)
『 ; and at this time she even hid herself from strangers lest their poor opinion of her looks should put me out of countenance.』
●そしてこのとき、彼女は彼女の容貌についての見知らぬ人のあさましい意見が、私の面目を失わせるのを怖れて、彼らから彼女自身を隠しさえしました。・・・?
この女性は嫉妬深いけれどこんなにいい面もある・・・・つまるところ人はみんな良い面もあるし悪い面もあって、お互い様なのだと思うのですが。
長くなってしまいましたがよろしくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
今晩は。
お彼岸を過ぎますといよいよ日本は「桜狂想曲」に入りますね。私も人後に落ちぬ桜好きですが、「狂想曲」のほうは苦手です。特に花の下でバーベキューをする人たちが...いつも大変丁寧なお礼をありがとうございます。今なされている、英語を書いて翻訳し、間違いを直すという学習方法は、手間はかかりますが、黄金の勉強方法です。さらに、意味が正確に分かった段階で、何度か音読し、読みながら意味が頭に入ってくるようにする努力も重ねられるとプラチナの勉強方法になります。私は高校の時、頭が悪かった成りゆき上、参考書の英文を全部棒暗記して試験に対処しました。自分でも馬鹿さ加減が情けなかったですが、でもそのおかげで、少し英語が分かるようになったと思います。Stay hungry; stay foolish. は、まさに学びの金科玉条ですね。
1)
●難しい英文ですが、しっかり構造が把握されています。素晴らしいですね!
>「I was myself aware of them」・・・「them」は「smallest wants」ですか?
●その通りです。
>her habit・・・・「habit」は「性質」ですか?
● Habit is a second nature. と言いますので、「習慣」→「性質」とまで意訳してもいいと思います。ここは it が仮主語、to minister to … が真主語ですね。「私のどんな些細な欲求にも仕えるのが彼女の習いでした」
>even before・・・・まさしく前に?
●evenは「まさしく」と訳すべきときもありますが、95%以上は、「~さえ、~すら」で間に合います。ここは「~の前ですら」ですが、ちょっと加工して「私が何がして欲しいかまだ意識していないときでさえもう」くらいでしょうか。もう少しこなれた訳がありそうですが...
>whatever she felt was lacking in her~・・・・ここは元の形が「she felt what was lacking in her~」で、「what」(関係代名詞)の強調形の「whatever~」の文ですか?
●whateverはおっしゃる通り関係代名詞「what」の強調形です。what was lacking in her(自分に欠けているもの)に she felt が挿入され、what she felt was lacking in her(自分に欠けていると彼女が感じるもの)になっています。
>she still fell behind my desires・・・・・「still」は「絶えず」「常に」?
●ここは「それでもなお」が近いと思います。
>she still fell behind my desires・・・・これは彼女が、馬頭がして欲しいと思ったことに対して前もって察知しなかった、ということですか?
●その通りです。心配りを最大限にしても、なお馬頭様のお気に召さぬところがありはしないかと案じられる場合、ということですね。
2)
>難しいです。
● This is even more difficult than 1), but your analysis and rendering is just wonderful.
>as they say・・・ここの「they」は第三者たちのことを指しているのでしょうか?
●その通りです。一般的な人を指しています。
>as I should wish・・・・ここは一人称の意志未来の「I shall」が時制の一致で「I should」になったものですか?
●一人称未来の「I shall」が【仮定法で】「I should」になったものです。
>this would be set down・・・・「this」は彼女が最後の露の滴に至るまでのすべてを馬頭の望むように行なうことですか?
●その通りです。原文は「つゆにても心に違うことはなくもがな」ですので、「つゆ」を文字通り訳していますね。日本語の隠喩であたりまえになっているものでも、西洋人には fresh に聞こえるものが多くあるようです。「屁理屈」なんかも傑作ですね。
>help to balance the defects in her person which meek and obliging as she might be could not ( she fondly imagined ) fail to offend me.について以下のように並べ替えて訳しました。
「help to balance the defects in her person which (she)could not ( she fondly imagined )
fail to offend me as she might be meek and obliging.」
●ここは取り違えておられます。whichが関係代名詞で、the defectsに掛かっています。which節の述語がcould not fail to offendで、その前のmeek and obliging as she might beが譲歩節です。
>as she might be・・・・・「as」は「どんなに・・・してみても」「いかに・・・しても」?
● その通りです。Young (Child) as he is, he is wise. (彼は若い(子供だ)が、賢い)と同種の譲歩構文です。
>could not fail to offend me.・・・・・ここの訳し方がよくわかりませんでした。「fail to ~」は「~し兼ねる」「~しない」?「could not」と合わせると二重否定になって肯定文になるのでしょうか?
● fail to は「~に失敗する」→「~できない」、not fail toは「~に失敗しない」→「かならず~する」というイディオムです。「彼女がいかにものやわらかで愛想がよくとも、これはきっとあの方のお気に障るに違いない———と彼女がお人よしにも想像した———(彼女の)欠点を埋め合わせるのに役立つ」
3)『 ; and at this time she even hid herself from strangers lest their poor opinion of her looks should put me out of countenance.』
>そしてこのとき、彼女は彼女の容貌についての見知らぬ人のあさましい意見が、私の面目を失わせるのを怖れて、彼らから彼女自身を隠しさえしました。・・・?
●poor opinion以外、完璧です。poor opinion は、「低い評価=彼女は綺麗ではないと思うこと」です。
>この女性は嫉妬深いけれどこんなにいい面もある・・・・つまるところ人はみんな良い面もあるし悪い面もあって、お互い様なのだと思うのですが。
●現代的視点からはまさにそうです。(そして紫式部の秘めた思いもそうだったことでしょう。)しかし前にも申しました通り、この時代、女性は経済的自立を得ておりませんので、どうしても男性の買い手市場になってしまうのですね。逆に、女性が稼ぎ、男性が drone となりますと、『自由学校』の五百助・駒子になるわけです。自由が難しい問題であるように、平等もまたこの世の難問ですね。
*************************
《余談》全体、西洋とか東洋とかといった区分は人工的なもので、文明や文化はDNAの中にはないと思います。西洋も古代ギリシャ文明を学習していわゆる《西洋》になっただけです。紀元前5世紀の古代ギリシャ文明は、人類全体の故郷であって、われわれは今でも三平方の定理やアルキメデスの原理から数学や物理の初歩を学び、哲学はプラトンに、演劇は古代ギリシャ演劇に、詩はホメロスに学びます。ソクラテスの “I am not an Athenian, or a Greek, but a citizen of the world.”という言葉に託つけて言えば、Ancient Greek civilization is not Athenian or Greek, but a civilization of the world, a civilization of those who deem it as theirs. ということになるかと思います。「やあ、ソクラテスさん、今日は!」という態度でいいんじゃないでしょうか。
三島由紀夫は『潮騒』を古代ギリシャ神話風に書きましたが、ああした試みはもっとなされていいと思っています。西洋はもう古代ギリシャを黴臭いものと感じていますが、まだ新鮮な目を持っている日本人は、これから本格的に学習すれば、いろいろと面白いものが創れるのではないでしょうか。
今晩は。平年より早く開花していますね。桜はいろんなことが語れますね。「夜想曲」が合うでしょうか。
いつも大変丁寧に回答をしてくださってありがとうございます。
わからないことだらけですが、一つ一つ教えてくださって、時間をかけて回答をくださってありがとうございます。自分で解いてみたものが正しく理解できるようになることはとても嬉しいことです。
何度か音読し、読みながら意味が頭に入ってくるようにするとよいのですね。
勉強方法を教えてくださってありがとうございます。
Stay hungry; stay foolishはスティーブ・ジョブズ氏のスピーチに引用された言葉でしょうか。
学びのよりどころとなる言葉ですね。
1)の「habit」は最初「習慣」で訳していましたが、この女性の「習慣」がどんなことを意味しているのかよくわからなくなってしまったので、「性質」に変えました。
「習い」という言葉がうまく訳にはまりますね。
It was her habit to minister to my smallest wants は仮主語構文ですね。
smallest wants ・・・些細な要求、to minister ・・・・~に仕えるですね。
「wants」の訳がよくわからなかったのですが、「要求」ですっきりしました。
「even before」もあれこれ考えましたが、かなりの確率で「~さえ、~すら」なのですね。
「~の前ですら」が直訳で、「~まだ意識していないときでさえも」とするといいのですね。
(言葉をうまく変化できると幅広い訳文が作ることができますね)
whatever she felt was lacking in her~は
what was lacking in her(自分に欠けているもの)に she felt が挿入されているのですね。
ここはなんとなくこう言っているのでは?と思って訳してしまいました。
「still」は考えすぎました。
「それでもなお」という接続詞的な訳ですね。
2)も相当考えました。分析違いをしてしまいました。
「as they say」は突如「they」が出てきたので「?」だったのですが、
「一般の人が言うように」ということですね。
「as I should wish」・・・she hoped ~で始まる文だったので過去形に目がいってしまいましたが、if節の中に入っているので「仮定法」ですね。
「dew-drop 」は原文の「つゆにても~」の「つゆ」をそのまま翻訳したのですね。
おもしろいですね。「屁理屈」は改めて字を見ると可笑しいですね。
「help to balance the defects in her person which~」は今回一番考えたところですが
which(関係代名詞)の先行詞は「the defects 」ですね。
「fail to」が「~できない」、「not fail to」が「かならず~する」というイディオムですね。
「could」が入っているのがややこしかったのですが、「かならず気に障る」→「気に障るに違いない」という訳になるのですね。
3)の「poor opinion」は 「低い評価=彼女は綺麗ではないと思うこと」ですね。
経済的な理由で女性は弱い立場だったのでお互い様というわけにはいかなかったのですね。
つい現代の感覚で読んでしまいます。
「drone」・・なまけ者、どうらく者?
『自由学校』の五百助・駒子の夫婦は画期的な設定でしたね。
「自由」も「平等」も言葉は魅力的ですが実現するのは難しいですね。
*****************************
そうお聞きすると「紀元前5世紀の古代ギリシャ文明は、人類全体の故郷」ですね。
(とは言え、全然学んでいないのですが)
「私はアテネ人、もしくはギリシア人ではなく、世界の住民です」
「古代ギリシア文明はアテネもしくはギリシアにあるのではなく、世界にある文明、
それを彼らのものとして思う人たちにある文明です」・・・?
親しみのある身近なものなのですね。
三島由紀夫は『潮騒』はまだ読んだことがないので読んでみますね。
******************************
前回紹介してくださった『オイディプス王』を読みました。
(「三一致の法則」を意識しながら読みました。)
とても緊張感のある場面が描き出されていますね。
その悲劇のもたらされる設定がすごいですね。
『何らの苦しみにもあわずして、この世のきわに至るまでは、何びとをも幸福とは呼ぶなかれ』
の一文が強い印象を残していると思いました。
国木田独歩の『欺かざるの記』も佐々城信子との出会いから読んでみました。
(ところどころに相馬黒光も出てきていました)
神様はこの記を生み出させるために独歩に試練を与えたのではないかと思いました。
『花に狂ふ蝶の羽風のたよりだに 君がことづて聞くよしもがな』
という歌がありましたが、随所に詩的な言葉が感じられました。
(金曜日にまた投稿します)
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