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「あとの祭り」といふ表現は、プラトンの著作が出典なのだと思つてゐましたが、『毛吹草』をめくつてゐましたら、たまたまこの言葉が目に入りました。古代ギリシャと江戸日本との、ことわざによる関連があるのですか。

資料
「え?それではぼくたちは、諺にいうように、「祭りが終ったあとに」来たのであって、間に合わなかったというわけかね?」
(プラトン『ゴルギアス』加来彰俊訳 岩波文庫11ページ 447A)
「右之祭ハ何れも以前ニ有を正意する也 後の祭ハ句作ニ依也」
(『毛吹草』岩波文庫76ページ 巻第二 中冬)

質問者からの補足コメント

  • お礼欄400字制限になつたので、補足欄につづきを記載いたします。

    『毛吹草』の用例はもうひとつあつたのですね。『日本国語大辞典』はたまに図書館で見る程度です。歴史的な用例が豊富なのが便利です。岩波文庫では、97ページ。

    唐土のとらはけをおしむ
    日本のぶしはなをおしむ

    しらぬがほとけ
    みぬがこころにくし

    あとのまつり
    ほとけもなきだうへまいる

    うの目たかのめ
    てんぐのやとり

    関連した諺を対にしてゐるのですが、仏様のゐない堂に参る、といふのは、今では使ひませんね。「てんぐのやとり」はわかりません。

    『毛吹草』に、下記回答番号4の諺が出てゐないかと探してゐました。
    https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8934828.html

    No.1の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/03/04 20:13
  • 少し考へたのですが、フランス語の「fête」はともかく、英語の「feast」が日本人にとつて「パーティ」で、英米人にとつて「祭」になるのは、ラテン語の「post festum」(ポスト・フェーストゥム 祭のあとに)の浸透度ではないかと思ひます。

      補足日時:2015/03/04 21:50
  • 西洋との本格的な接触が16世紀だとすれば、回答番号1の『日本国語大辞典』の1534年の用例も筋がとほります。私としては、「post festum」の形でのプラトンの影響を考へてゐます。語順もピツタリです。

    先ほどの補足に誤解があるといけませんので追記しますが、

    >英語の「feast」が日本人にとつて「パーティ」で

    といふのは私の感覚でもあります。

      補足日時:2015/03/04 22:52

A 回答 (1件)

古典ギリシア語は分かりませんです。


英訳では、
CALLICLES: The wise man, as the proverb says, is late for a fray, but not for a feast.
SOCRATES: And are we late for a feast?
CALLICLES: Yes, and a delightful feast; ...

仏語訳では
CALLICLÈS
C’est à la guerre et à la bataille, Socrate, qu’il faut, dit le proverbe, prendre part comme vous faites.
SOCRATE
Est-ce que nous sommes, comme on dit, arrivés après la fête ? Sommes-nous en retard ?
CALLICLÈS
Oui, et après une fête délicieuse ;

どうも祭りと言うよりはパーティ(feast; fête)に遅れてきたような感じですが。

また別の翻訳には
« Tu arrives, Socrate, comme on dit, au bon moment pour prendre part à la guerre et à la bataille » (polèmou kai machès)
とありますが、ここは祭りとは関係ありませんな。


日本語については、『日本国語大辞典』によれば、
(1)祭札の翌日。また、その日、神饌(しんせん)を下げて飲食すること。後宴。

*俳諧・鷹筑波集〔1638〕四「八月十六日八幡へ参詣して、跡の祭(マツリ)するや臨時の放生会(はうじゃうゑ)」

*浮世草子・世間胸算用〔1692〕一・三「毎年京大坂へくるは、此神々に備へたる跡(アト)の祭り也」

(2)(祭の済んだ後の山車(だし)の意から)物事が、その時機をはずして、無益なものになってしまうこと。手おくれ。

*虚堂録臆断〔1534〕五「死して後に紙銭を焼て不祥を除く也。をかしいこと也。無用処也。あとのまつり也」

*俳諧・毛吹草〔1638〕二「あとのまつり ほとけもなきだうへまいる」

*浄瑠璃・艷容女舞衣(三勝半七)〔1772〕下「コリャ宗岸が一生の仕損ひとサ悔(くや)んでも跡の祭」

*雑俳・川傍柳〔1780〜83〕一「人にいいなさるなとは跡の祭り也」

う~ん、プラトンは関係なさそう。
特に(1)は「(祭りの)後の祭り」「(本祭の)後の小祭」ということですから、「手遅れ」ということではありませんね。
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

いつもフランス語などの回答をありがたうございます。

Σωκράτης
ἀλλ᾽ ἦ, τὸ λεγόμενον, κατόπιν ἑορτῆς ἥκομεν καὶ ὑστεροῦμεν;

御指摘のとおり、ἑορτήは、他言語を経由すると、宴会のイメージを受けるかもしれません。polèmou kai machès-「戦ひと争ひ」は意図がわかりませんでした。古典をそのまま読めば、ホメロス『オデュッセイア』第20巻156行では「アポロンの祭」、ヘロドトス『歴史』第1巻31節では「ヘラの祭」、聖書ではヨハネ福音書2章23節「過越しの祭」などで使用される言葉です。

『日本国語大辞典』による最古の用例は、1534年なのですね。文の内容もおもしろくて納得がいきます。おつしやるとほり、プラトンとは無関係のやうです。ギリシャと日本で、別の発想があつたのでせうか。

今後も御教示お願ひいたします。

お礼日時:2015/03/04 20:10

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