■近年の採用面接の傾向
新型コロナウイルスの流行により、採用面接も様変わりしたという。
「ほとんどの企業で第一次、第二次面接はオンラインで行い、最終面接のみ対面にて実施するという形です。新卒、第二新卒、転職のすべての場合でこのような状況です」(竹内さん)
面接スタイルの変化は、応募者や採用企業にどのような影響があるのだろうか。
「応募者からは、“オンラインだと自分の熱意を伝えづらく苦戦する”という声が増えています。一方、採用企業側は“オンラインにより遠方の優秀な人材と出会える機会が増えた”と、プラスに受け止める傾向もあります」(竹内さん)
とはいえ、採用企業が求める人物像に変わりはないとか。
「面接の方法に関係なく、社風にマッチして活躍、貢献してくれる人材が求められます。応募者の不安や緊張を和らげ、社風に合う人材かを見るために、面接の前にオンラインで社内を案内したり、採用担当者以外の社員との雑談の場を設ける企業もあります」(竹内さん)
応募者が対面と同じような雰囲気でオンライン面接に臨めるよう、企業側は工夫を凝らしているのだ。
■採用面接における評価基準
応募者の経歴別に、評価基準を教えてもらった。
「新卒、第二新卒なら、ポテンシャル(潜在能力と伸びしろ)や主体性、熱意、向上心などが評価基準となる企業が多いです。協調性や誠実性、コミュニケーション能力、適応力などもポイントとなります。実践的なスキルがないことを前提に、考え方や価値観などの『志向性』に重点を置いた面接を実施します」(竹内さん)
社会人経験者の場合はどうか。
「経験や実績、スキル、専門性の高さ、仕事への熱意が大切でしょう。協調性の有無や、社風に合うかどうかも判断基準となります」(竹内さん)
実績については、面接での伝え方にもポイントがあるとか。
「具体的な数値を交えて伝えるようにしてください。実数だけでなく、全体像がわかるような数値や割合なども使って表現すると、より面接官に理解してもらいやすいでしょう。マネジメント経験者は、管理手法や工夫、改善実績などをアピールできるとよいでしょう」(竹内さん)
社会人経験者が最終面接に進むと、さらに踏み込んだ質問をされることが多いそうだ。
「最終面接とは、いわゆる役員面接です。応募者の志望度や熱意の高さを見ながら、応募者と企業双方の方向性が合致するかを明確化します。入社後に実績が出るまでの覚悟などについて確認すべく、鋭い質問をされることも多いです」(竹内さん)
自分自身の経歴から考えられる評価基準を明確化してみるとよいだろう。
■採用を勝ち取るために重要なこと
最後に、採用面接の成功の秘訣を聞いた。
「必要以上に身構えたり飾ったりすることなく、誠実に対応するようにしましょう。年齢や経験に関わらず、自分の能力や実績を適切に伝えられず不採用になるケースは多く見られます。反対に、自らを誇大アピールしすぎても入社後に自分が辛い思いをするだけです。『適切に』というと難しく思えますが、“事実を客観的にありのまま”伝えることを心がけましょう」(竹内さん)
合格を勝ち取るために何より重要なのは「準備です!」と竹内さん。
「もちろん経験や実績、人柄は大切です。しかし何よりも準備を怠らず、戦術をもって面接に臨むことが成功の秘訣です。しっかりと自己分析、自己理解をした上で、自己開示できるよう準備をしてください。想定問答集を作り、自分の話したいことを相手にわかりやすく伝える練習をしておくのもよいでしょう」(竹内さん)
自らの経歴から想定されるさまざまな質問に答えられるよう、入念に準備をすることが自信にもつながるはずだ。これから採用面接を受けるという人は今回うかがったことを参考に、自分自身をしっかりと理解した上で面接に臨むとよいだろう。
●専門家プロフィール:竹内 和美
(株)松坂屋名古屋店にて販売・秘書・広報の業務を経験。1999年「オフィス・ウィズ」
を設立。ロールプレイング中心の実践型研修やキャリアカウンセリングに定評があり、企
業や個人からの講師依頼も多数。
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