■プログラミングで遊べるレゴブロック
レゴブロックのプログラミングキットは、多種展開しているそうだ。どのようなことが身に付くのか。
「レゴのプログラミングキットには、『レゴWeDo』や『レゴマインドストーム』、『レゴBoost』、『レゴSPIKEプライム』があります。それぞれ、速度を制御するモーターやLEDライト、センサー、スピーカーがセットされ、レゴで作ったロボットや乗り物を、専用アプリを使って動かすことができます。ゲーム感覚でプログラミングの基礎に触れながら、モノづくりの楽しさを味わえるのが魅力です」(村野さん)
ただし、セオリー通りにブロックを組み合わせ動かすだけでは、子どもが飽きてしまうという。
「決まった形だけでなく、自由にプログラミングブロックを組み合わせてロボットを作ったり、それらを動かす街を模造紙などで作ったり……。想像力を働かせながら思い思いに作り動かすことで、飽きずにプログラミングを楽しむことができます」(村野さん)
その過程で上手くいかないことがあると、新たな学びに繋がるようだ。
「自由に作品を作ると、思い通りにいかないことも少なくありません。『なぜこのような現象が起こるのか?』、『この問題をクリアするにはどうすればよいか?』と、原因や解決法を考えるきっかけになり、思考力や創造力を養うことができます」(村野さん)
プログラミングを学べるだけでなく、思考力や創造力も育めるとは……。魅力を感じる子育て中の親御さんは多いかもしれない。
■レゴブロック以外のプログラミングのおもちゃ
レゴブロック以外のプログラミングおもちゃも紹介してもらった。
「Minecraft社開発の『マインクラフト』は、子どもの知育教材として人気が高く、大人にもファンが多いゲームです」(村野さん)
なぜ知育教材として人気があるのだろう。
「サイコロ型のブロックという限られた素材を用いて、城を建築したり、冒険したり、武器を作って戦ったり……自分の目的を達成するため試行錯誤することから、思考力、判断力、創造力を培うことができます。なかでも『レッドストーン回路』では、“レバーで開閉するドア”や“トラップ装置”などから電子回路を学び、プログラミング的思考を養うことができるといわれています」(村野さん)
レッドストーン回路は、現実世界でいう電気回路のこと。攻略本が出るほど奥が深いようだ。とはいえ、「プログラミング知識の獲得に、こだわりすぎないほうがよいかもしれません」と村野さん。
「ゲームの制限の中で創意工夫し、限界に挑戦するようなプロセスこそが、子どものプログラミングセンスを育みます。友達とのマルチプレイもできるので、さまざまな楽しみ方を子どもの創造性に委ねてみるとよいでしょう」(村野さん)
レゴやマインクラフトで物足りなくなった人には、マサチューセッツ工科大学メディアラボ開発の「Scratch」がおすすめだ。
「『Scratch』は、子供でもプログラミングが楽しめるコミュニティサイトです。準備されたブロックを組み合わせることで、簡単に画面上のキャラクターを動かすことができるため、日本では小学生向けプログラミング教材として、多くの小学校やプログラミング教室で使われています」(村野さん)
驚きなのは、無料で使えること。
「小学生だと最初はわかりにくいと思いますので、保護者も一緒にプログラミングにチャレンジすると、お子さんの創作意欲も刺激されますよ」(村野さん)
今回、紹介してもらったおもちゃはすべて、大人も楽しめそうな製品だ。暑い時期、涼しい室内で、子どもと遊びながらプログラミングを学ぶのも悪くないだろう。
●専門家プロフィール:村野 智浩(アルスクール 探究型キッズプログラミング教室)
アルスクール株式会社 代表取締役CEO。探究学習やモンテッソーリ教育を活用したプログラミング教育を500人以上の子どもたちと実践、テクノロジーを活用した新たな学びを探究している。東京大学工学部卒業、チームラボやアクセンチュアで活躍後、CTOや技術顧問を歴任するITスペシャリスト兼起業家。
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