期間中「教えて!gooウォッチ」では、「心理カウンセラーに聞いた!外出自粛をしながら健康的なメンタルを保つには?」という記事をリリースした。そんな状況から離婚に至るケースは「コロナ離婚」と取り沙汰されたが、恋人同士にも「コロナ別れ」が多発したという。
そこで今回は、心理カウンセラーの青柳さんにコロナ別れの実態や原因について伺うと同時に、別離を望んだ人も望まなかった人も、どのようにこの実態を乗り越えるべきなのかアドバイスをもらった。
■コロナ別れの実態や原因
「コロナ別れ」は、どのような世代や状況下で発生することが多かったのだろうか。
「20代が多いですが、30代や40代にもないわけではありません。どちらか一方が、新型コロナをひとつの盾のように使い、『しばらく会うのをやめよう』とか、『テレワークで忙しいから連絡も控えたい』などと言いだし、フェードアウトしていくパターンが多いです」(青柳さん)
自分の気持ちを曖昧にしたままフェードアウトを狙う、いわば相手を「生殺し」にしてしまう手口である。では、原因はどのようなことが考えられるのだろう。
「程度の差こそあれ、誰しもがピンチや困難、失敗などのネガティブな状況に立たされると、その人自身の本質が見えるものです。今回のような社会的に先の見えないネガティブな状況で、大切な恋人に会えなくなったとき、本来なら相手を不安にさせないよう何らかの配慮をしたいと思うはずです。しかし、そうではない自分の気持ちに気付いたとき、本当に大切な存在だったのか、改めて自問自答することになったのでしょう」(青柳さん)
そんなとき、少し距離を置きたいと思いはじめたのかもしれない。では、距離を置かれる側は我慢し、受け入れるしかなかったのか。
「距離を置かれた側は、当然理由を聞きたいと思うはずですが、『別れ』というキーワードを避け可能性を残したいと思うあまり、連絡を我慢してしまうケースが多いです。このように相手からの理不尽な提案を一方的に飲んでしまうような人は、比較的『自己肯定感』が低い傾向にあります。『相手からどう思われるか』を気にしているうちに、手遅れになってしまうのです」(青柳さん)
一見、別れる、別れないなどの「修羅場」とは無縁な結末だが、「しこり」は残りそうだ。
■コロナ別れを乗り越えるには
籍を入れていない恋人とはいえ、なんらかの縁あっての関係だったはず。別れは、両者とも少なからず心を痛めるだろう。それをどのように捉え、前を向けばよいか教えてもらった。
「人間の行為は、全て目的に向かっているものです。まずは、距離を置く側も置かれる側も、自分の正直な気持ち(目的)を曖昧にせず、目をそらさず、『きちんとコミュニケーションを取る』ことを大切にして欲しいです」(青柳さん)
両者とも自分の気持ちを相手に伝え、コミュニケーションを取ることが、次へのステップにつながるということだ。
「今回の外出自粛により、私たちは嫌というほど『人生の時間』に向き合うことになりました。与えられた時間の中で、相手の時間も自分の時間も、得難く失いやすいものです。きちんとコミュニケーションを取り、自分の気持ちを受け入れてこそ、『これからどうすべきか』を考えることができ、前に進むことができるのです」(青柳さん)
自粛生活により発生した問題は、コロナ以前から潜んでいたものが露呈しただけという声もある。目を背けず、受け入れ、前を向けたとき、別離を乗り越えたといえるのかもしれない。
専門家プロフィール:青柳 雅也
「カウンセリングルーム アンフィニ」代表。個人カウンセリングや企業のメンタルヘルスケア、心理学セミナー、企業研修、教育機関で心理学の非常勤講師など活動は多岐に渡る。保有資格は産業カウンセラー(社団法人 日本産業カウンセラー協会認定)