■暑さ・日差し対策は万全に
夏の引越しと聞いて、すぐに思い当たる問題がその暑さだろう。
「夏の引越しで一番の障害となるのがやはり暑さや日差しです。慣れない引越し作業を長時間行うことで、熱中症になる危険が高まります。引越し当日にはエアコンを取り外したり電気を止めたりしていることも多く、室内でも安心はできません」(清水さん)
熱中症対策としては、「こまめに水分を取る」、「汗をかいたら適度に塩分をとる」、「体を冷やす」などの方法があるそうだ。スポーツドリンクや濡らしたタオルを用意してから、引越し作業に取りかかりたい。
「忘れがちですが引越しでは屋外で作業する時間も多くあります。夏場は日焼けをしやすいので、日焼け止めを塗っておきましょう」(清水さん)
引越し作業では、首の後ろや腕、頭頂部などが日焼けしやすいという。気になる人は念入りに対策しておこう。
■ライフラインの手続きは必須
夏の暑さが起こす問題は、直接的な問題だけではないと清水さんは話す。
「夏場に特に気をつけたいのが、新居のライフラインの手続きです。電気と水道は引越し日の前日から使えるようにしておくのがおすすめです」(清水さん)
新居で電気もガスも水道も使えなければ、新生活の1日目は試練の日になるだろう。エアコンはおろか扇風機も使えず、シャワーで引越し作業の汗を流すこともできなくなる。
「新居のライフラインの手続き自体は、引越し日の1カ月ほど前には済ませておきましょう。直前に連絡しても、作業をする業者が空いておらず、数日待つことになる可能性もあるからです」(清水さん)
暑さ対策は、引越し前から準備しておく必要がありそうだ。最悪の事態を避けるためにも、ぜひ忘れずに対応しておきたい。
■忘れがちな害虫対策
暑さ意外に注意すべきことはないのだろうか。
「忘れがちですが、害虫対策も必須です。夏場は虫の繁殖力が強まるタイミングです。入居前にハウスクリーニングや噴霧、噴煙式殺虫剤を利用するなど、新居を綺麗にしておくのがベストです」(清水さん)
引越し作業中はどうだろう。
「引越し作業はドアや窓を開け放して行うことが多いため、虫が家の中に入り込んでくることもあります。作業完了後に殺虫剤などを使えば駆除できますが、どうしても嫌な人は網戸にしたり、こまめにドアを閉めたりして対策を行いましょう。また、引越しで使うダンボールの中に虫が潜んでいるというのは、よく聞く話です」(清水さん)
ダンボールの居心地がよいのはなんとなく理解できるが……。清水さんによると、新品のダンボールを使ったり、すぐに荷ほどきをして使ったダンボールを早めに処分したりするなどの対策が有効だという。
大変な引越し作業を乗り越えた後は、新居で快適に過ごしたい。そんな希望をかなえるためにも、夏の引越しでは暑さと虫には要注意だ。しっかりと事前準備してから、臨んでもらいたい。
●専門家プロフィール:清水 朋香(しみず ともか)
引越しの見積もり依頼や予約サービスを提供する「引越し侍」の編集部員。大学卒業後、地方雑誌の編集を経て専門ライターとして引越し侍へジョイン。自身が経験した複数回の引越し体験と、引越し侍での執筆業務によって経た知識から引越しだけでなく、賃貸契約などにも関する幅広い情報発信を行っている。