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インボイス制度、なぜこうなった?どんな支援措置がある?元国税に聞いてみた

インボイス制度、なぜこうなった?どんな支援措置がある?元国税に聞いてみたインボイス制度は元々平成28年度の税制改正で創設が発表されたが、現在は令和5年なので7年が経過したことになる。ところが、インボイス制度の詳細が周知され、それに向けた準備が進んでいるようには感じられない。

教えてgooでも「インボイス制度とは、どのような制度なのでしょうか?」など、この手の質問は後をたたない。

このような事態を鑑み、令和5年度の税制改正では支援措置が講じられることになった。具体的にどのような支援措置なのかを元国税調査官の税理士である松嶋洋氏に伺った。

■改めて「インボイス制度」とは?


まずは大前提となる、インボイス制度の概要を伺った。

「一定の要件を満たす請求書(インボイス)の保存がなければ、消費税の経費を認めないとする制度です。インボイスは、消費税を納める事業者(課税事業者)で国税庁に登録した方しか発行できません。当然ながら売上先はインボイスを発行できる者との取引を希望するため、取引継続のためには発行事業者になり、かつ消費税を納める必要があります」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

インボイスとは事業者の間で消費税の税率や税額を証明する公式な請求書を意味し、消費税の控除や還付を受ける際に必要となる。インボイスを発行するために税務署に登録すると現在は消費税の納税が免除されている年間の売り上げが1000万円以下の事業者も課税事業者となり、新たに納税しなければならない。

■免税事業者から課税事業者となる小規模事業者への支援措置


「消費税を納めていなかった免税事業者(原則、2年前の売上が1千万円以下の小規模事業者)が、インボイス制度後に新規にインボイスを発行する課税事業者になると、消費税の負担が大きいです。このため、令和8年9月30日までの措置として、これらの者については経費に関係なく売上の2割の消費税を納めることで足りるという措置が設けられました」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

補助上限:50万円〜200万円
補助率:2/3以内(一部の類型は3/4以内)
補助対象:税理士相談費用、機械措置導入、広報費、展示会出展費、開発費、委託費など

■既に課税事業者である中小企業への支援措置


「上記の措置を受けられない、一定の者に対しては事務負担軽減が設けられています。2年前の課税売上が1億円以下、または1年前の上半期の課税売上が5千万円以下の事業者については、令和11年9月30日までの措置として、1万円未満の経費について、インボイスの保存がない場合にも、消費税の控除が認められます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

補助額:ITツールは50万円迄(補助率3/4以内)、50万〜350万円(補助率2/3以内)
    PCタブレット等は10万円迄(補助率1/2以内)
    レジ・券売機等は20万円まで(補助率1/2以内)
補助対象:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、ハードウェア購入費など

■全ての課税事業者


「値引きや返品をしたような場合にも、インボイスの発行が必要とされていましたが、手間がかかるためこれらの場合には発行が不要とされました。時限措置ではなく恒久的な措置です。この措置により、原則として値引きとして処理される、売手が負担する振込手数料の処理が大いに簡素化されると言われています」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

■創設から7年 支援措置をしなければならない理由とは


創設から現在に至るまで、インボイス制度は紆余曲折を経ている感は否めない。最後に、インボイス制度のこの先の見通しや松嶋氏自身の意見を伺った。

「そもそもインボイス制度は、平成28年度の税制改正で創設されたものです。対応に時間がかかるため、実際にスタートするのは令和5年10月からと、7年以上の時間をおいていました。このため、本来はこのような負担軽減は必要ないはずです。

とりわけ、税額の軽減措置については、消費税を納めていない免税事業者からの訴えで実現したものですが、消費税は誰しもが納税すべきものであり、国庫に納めないで免税事業者の懐に入れていいものではありません。となると、これらの改正は好ましくないと考えます。

困ったことに、防衛増税が今後実現することは決まっており、少子化対策としての増税も検討されていると耳にしています。このような国民を痛め付ける増税が予定されているのに、一部の免税事業者を優遇するような措置はいかがなものでしょうか」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 税務調査対策ドットコム Twitter Facebook

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。

記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
画像提供:ピクスタ
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