
■悪いインフレ「スタグフレーション」
今の日本が置かれているインフレーションの状況から説明してもらった。
「日本の場合、物価の上昇(インフレ)に対し所得がなかなか増えないという、『スタグフレーション』という悪いインフレの状態に置かれています。そんなスタグフレーションに、一般の人ができる対策は3つあります。1つ目が『収入を上げる』ことです。2つ目は『支出を減らす』ことです。家計を徹底的に見直し、無駄を省いて倹約をしましょう」(二宮さん)
さらに、3つ目の対策として「資産運用」があるという。
「『つみたてNISA』や『iDeCo』などで資産運用をはじめて、資産形成してはいかがでしょうか。さらに、マイホームや車にはお金をかけ過ぎないことも大事です。ローン返済以外にも維持費がかかるため、家計が苦しくなる原因になりがちです」(二宮さん)
将来のために資産を分散して守ることも大事だ。また、これまでの日本では人生プランのひとつとして「マイホーム」や「マイカー」の購入は欠かせなかったという人も多い。その「当たり前」を見直す時期が来ているのかもしれない。
■金銭感覚を鍛えて物価高騰に備える
いったい何から手を付ければよいのだろう。
「まず世帯収入を上げることが最も重要です。必要なのはスキルアップで今の仕事の収入アップを図りつつ副業や起業をすることで、会社に依存しない働き方ができるようにしておくことです。お金の入り口が複数あると家計は安定し、老後の仕事にも困りません」(二宮さん)
節約もただ我慢をするのではなく、普段から金銭感覚を養っておくことが求められるとか。
「食品や日用品をはじめ普段の買い物すべてにおいて、類似商品と比較検討し金銭感覚を鍛えていきましょう。具体的には、食品や日用品の底値リサーチ、PB(プライベートブランド)の活用、節約レシピなどを活かし料理の腕を上げることです」(二宮さん)
ポイントをうまく貯める『ポイ活』も有効とのこと。
しかし、インフレは必ずしも悪いことではないという。
「日本はこれまで、不景気によるデフレが長く続き過ぎました。景気が回復するには、インフレに転じることも重要なので、物価上場は仕方ありません。だからこそ、インフレに耐える家計作りをしておくことが必要なのです」(二宮さん)
二宮さんは、国や企業が私たちの収入を上げてくれるのを待っていても期待はできないと考えている。そのため、自分で収入を上げる方向に思考を転換する必要があるというのだ。来たる難局に、たくましく耐えることが求められそうだ。
●専門家プロフィール:二宮清子
「お金」について勉強しようとFP資格を取得する。日々の節約ややりくりと同時に資産運用をはじめる。もっと多くの人たちにそのノウハウを伝えたいという思いから独立系FP事務所「幸せマネープラン」を開業。
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