■グラニュー糖と上白糖は、見た目や味に違いはあるの?
一見したところ、見た目に大きな違いはないようだが……。
「グラニュー糖は、クセのないあっさりとした淡泊な甘味があり、上白糖と比較して結晶が大きめで、サラサラとした質感が特徴です。上白糖はコクのある強い甘味があり、結晶が細かくしっとりとした質感です」(水野さん)
確かによく見ると、グラニュー糖はサラサラしている。製法にも違いがあるのだろうか。
「グラニュー糖と上白糖で製法に大きな違いはありませんが、最も大きな違いは、上白糖にのみ結晶の表面に転化糖液(転化糖と水)が添加されていることが挙げられます。グラニュー糖の組成は、ショ糖が99.9%以上含まれており非常に高純度です。一方、上白糖は約98%がショ糖で、転化糖が約1.0~1.5%、水分が約0.5%~1.0%含まれます」(水野さん)
転化糖とは、ショ糖をブドウ糖と果糖に加水分解したものとのこと。グラニュー糖の方が、純度がやや高いということがわかった。
■カロリーや栄養に違いはあるの?
ダイエットしている人は、カロリーの違いが気になるだろう。グラニュー糖と上白糖で違いはあるだろうか。
「グラニュー糖は100gあたり387キロカロリーで、上白糖の384キロカロリーとほぼ変わらないですが、ほんの少しだけカロリーが高いと言えます。上白糖はグラニュー糖と比較し純度がやや低く、水分が約0.5~1.0%含まれているため、グラニュー糖と比較しややカロリーが低くなります」(水野さん)
カロリーに関しては、大きな違いはないということだ。
「グラニュー糖、上白糖ともに、精製する過程でミネラルなどの栄養素はほぼ取り除かれます」と、水野さんは付け加えてくれた。
■保存方法に違いはあるの?
では、保存方法に違いはあるだろうか。
「上白糖はグラニュー糖と比較し、保存時に固まりやすい特徴があります。その理由として、上白糖はグラニュー糖と比較し水分が高いことが挙げられます。また、結晶が細かいことも理由の一つです」(水野さん)
何か対策はあるのだろうか。
「上白糖が固まる主な理由は、乾燥により水分に溶けていた糖分が再結晶化することです。吸湿した場合にも、空気中の水分に糖分が溶解し、再結晶化する際に固まる可能性があります。固まらないようにするためには、密閉容器などの湿度変化のない環境下で保存する必要があります」(水野さん)
やはり密封できる容器に入れた方がよいとのことだ。
「上白糖が固まる主な理由は、乾燥により水分に溶けていた糖分が再結晶化することなので、適度な水分を与えることでサラサラな状態に戻すことができます。具体的には、霧吹きで軽く水分を与える、水分を軽く含ませたティッシュなどを砂糖と同じ容器に入れる、という方法が考えられます。あるいは食パンなど、適度に水分を含んでいる食品を同じ容器に入れることでも同様の効果が得られます」(水野さん)
上白糖が固まってしまった場合は、試してみたい。
「グラニュー糖は、含まれる水分が非常にわずかであるため、乾燥によって固まる可能性は上白糖と比較して低いと考えられます。しかし、吸湿すると固まりやすくなりますので、湿度の低い環境下で保存することをおすすめします」(水野さん)
ところで砂糖には、粉砂糖と角砂糖があるが、グラニュー糖や上白糖と関係はあるのだろうか。
「粉砂糖と角砂糖の原料は、ともにグラニュー糖です。粉砂糖は、グラニュー糖を粉末状に挽いて作られたものを指し、角砂糖は、グラニュー糖に糖液を少量加えて混ぜ、成型・乾燥させたものをいいます」(水野さん)
まずは、家にある砂糖がグラニュー糖なのか上白糖なのか確認しておきたい。今まで両者の違いを全く気にしていなかった人も、今回の記事を参考に適切な保存方法などを試してみてほしい。
●専門家プロフィール:水野考貴
一般社団法人日本味覚協会 代表。味覚の良し悪しをチェックできるイベントやセミナーを数多く実施。また「味覚検定チョコ」を開発・販売。ウェブサイト「味覚ステーション~世界一面白く食品・栄養・味覚を学べるサイト」を運営。