■夜の洗濯物の外干しはやっぱりNG
まず夜に洗濯物を外干しすると、どのようなことが起こるのかを聞いた。
「夜に洗濯物を外干しすると、洗濯物が夜露で濡れたり、冬は湿気たり凍ったりもします。また、雨が降っても気づかず取り込むことができないことや、防犯上の理由などからも夜の外干しはおすすめしていません。ですので、夜に洗濯する場合は、部屋干しすることをおすすめしています」(大貫さん)
やはり夜の外干しはNGだという。部屋干しをするにも注意点があるとのことなので、さらに聞いた。
「夜に部屋干しをすると、昼間より気温が下がりますので洗濯物が乾きにくくなり、嫌なニオイが発生する可能性があります。ですから、部屋干し臭を抑える対策をおすすめします。部屋干し臭は、洗濯の時に落としきれなかったわずかな『汚れ』が化学的に変化したり、『菌』による作用を受けたりすることが原因で発生します。部屋干し臭を防ぐためには、原因となる汚れをしっかり落とし、早く乾かす工夫を行い、菌を増殖させないことが大切です」(大貫さん)
どうやら夜は、洗濯物を干す環境としてそもそも適さないことが明らかに。
■夜に洗濯物を乾かすには
それでも夜に洗濯する場合、どうすればいいのか。
「気になる汚れは前処理をしてから洗濯機に入れ、衣類は詰め込み過ぎたりせず、洗濯機容量の7割程度で洗うなどして、汚れをしっかり落としましょう。洗剤は、『除菌』または『抗菌効果』のあるものがおすすめです」(大貫さん)
汚れをしっかり落とし、菌の増殖を抑えることを意識したい。では、洗濯後はどうすればいいのか。
「洗濯の後、洗濯物を洗濯機に入れっぱなしにすると、菌が増殖するので、すぐにとりだし、空気の流れのある場所に干しましょう。部屋と部屋の間の鴨居や、室内用物干しを部屋の中央に置いて干します。カーテンレールに干すのは避けましょう。ハンガーに干すときは、洗濯物の間に、こぶし大の間隔をあけ、風の通り道をつくったり、 角ハンガーを使う場合は、外側に長い衣類、内側に向かって短い衣類を干すようしたり、干し方を工夫するとよいでしょう。部屋干し臭は、環境にもよりますが、干してから5時間後くらいからニオイが発生してきます※(1)。5時間以内に乾燥させるために、扇風機や衣類乾燥除湿機を使用するのも効果的です」(大貫さん)
室内でも、なるべく風通しのよい環境を見つけて乾かすのがポイントということだ。
■この時期、昼間の外干しは時間を区切って
最後に、天気がよい日中でも、洗濯物を干さない方がよいケースがあるかについても聞いてみた。
「花粉の時期は、部屋干しがおすすめです。外干ししたい場合は、早朝に干し始めることをおすすめします。花粉は、湿っている衣類に多く付着します。干し始める時間帯は花粉が飛散しやすい日中の時間帯を避けましょう。都市部では11~14時、17~19時が花粉の飛散がピークとの調査結果※(2)があります」(大貫さん)
やはり、花粉の時期は注意が必要だ。
「外干しの時間が長くなるほど、花粉の付着する量も多くなります。洗濯物は長時間干したままにせず、乾いたらすぐ、付着した花粉を十分に振りはらってから取り込むようにしましょう」(大貫さん)
外に長時間干しておくと、その分花粉もたくさん付着するため注意したい。
夜は洗濯物を乾かすには、あまり適さない環境といえる。しかし、工夫次第できちんと乾かせるということなので、夜洗濯をする人はぜひ上記で紹介した方法を試して欲しい。
花粉シーズンもまだしばらく続く。これを機に、部屋干しの達人になってみてはいかがだろうか。
※(1)松永聡, におい・かおり環境学会誌, 36(2), 82(2005)
※(2)環境省花粉情報サイト
●専門家プロフィール:大貫 和泉
ライオン お洗濯マイスター。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきたライオンの研究員。消費生活アドバイザーでもあり、働く母親目線で、技術や研究に基づく洗濯情報をわかりやすく伝えている。