ウォッチ
皆さんの周りには、円満な夫婦が多く見受けられるだろうか。しかし、結婚前は問題なく取れていたコミュニケーションが、結婚後は無くなってしまった……というケースは少なくないようだ。「教えて！goo」にも「夫への愛情が持てなくなりました」と、結婚後、会話やコミュニケーションがなくなり、夫とどう接してよいかわからないと悩む妻からの投稿があった。そのような状況に陥ったとき、何らかの対処法はあるのだろうか。心理カウンセラーの青柳雅也さんに、夫婦間のコミュニケーションを復活させる方法について話を聞いてみた。■コミュニケーションがなくなる原因
妻に関心が無くなったわけではないが、気付けばコミュニケーションは必要最低限……原因はどのようなことが考えられるだろうか。
「脳は『刺激』に慣れてしまうものです。最初のうちは、彼女や妻に対して『こんな一面があるんだ』とか『こんな表情するんだ』といった刺激が新鮮ですが、時がたつにつれ収束します」（青柳さん）
夫にそのような兆候が見られたら、妻はどうすればよいのか。
「刺激の次に大切になってくるのは『価値観』です。互いに興味のあることや好きなことについて話し合い、共有し、一緒に楽しめたらよいですね」（青柳さん）
将来にわたって楽しめる「共通の趣味」が見つかればベストだろう。
■結婚後、人が変わってしまうことを事前に見抜く方法はある？
結婚後、「釣った魚に餌はやらない」といった状態になったら、結婚を後悔するばかりか「見る目がなかった」と自己嫌悪に陥りそうだ。そのような事態はなぜ起きるのだろう。
「男性は意中の女性を射止めるため、時間や労力、金銭など『自分の資源』を惜しみなく提供します。『好意があるので一緒にいたい』という意思表示をして、交際や性交、結婚の確約までを取りつけようとします。しかしいざ結婚してしまうと、資源の提供をストップし、『役割分担』というステージへ移行するのです」（青柳さん）
役割分担へ移行したことに互いが納得できればよいが、妻が不満に思うなら幸先が悪い。では、人が変わってしまうことを事前に見抜く手段はあるのだろうか。
「ある意味『生き方が変わる』ということであり、見抜くのは難しいでしょう。あえて注視するなら、仲がよいときより『喧嘩をしたときの態度』かもしれません。喧嘩になったとき、『黙り込む』、『逃げる』、『話し合わない』、『自己中心的』、『謝らない』などの態度が見られたら考えたほうがよいでしょう。人生がうまくいっていないときこそに『本性』は出るものです」（青柳さん）
確かに、人は「ピンチ」や「窮地」に立たされたとき、理性を保てなくなることがある。喧嘩になったときはもちろん、予期せぬトラブルに見舞われたら……彼のことを冷静に観察してみよう。
■コミュニケーションを復活させるためにするべきこと
そんなとき、会話やコミュニケーションを復活させるには、どうしたらよいだろうか。
「『相手の出方を待たない』ことでしょう。相手に対して不満を抱きながらも、『自分から行動しないこと』や『相手をコントロールしようとすること』は、一見正当な理由があるように見えますが、実は『依存心』による振る舞いなのです」（青柳さん）
「依存心」とは、相手に対して不満があり心が満たされないとき、安心を得ようと相手を頼る心理状態のこと。依存するのではなく、相手を思い、協調することが大切なのだ。
「夫婦なら、スキンシップも大切にしてください。スキンシップは、一旦『距離』ができてしまうと、どんどん離れていくものです。つい受け身になり、『相手次第』と片付けてしまいがちなこともありますが、気付いたほうが、先に行動することを心がけましょう。それでもうまくいかない場合は話し合い、相手を否定することなく『自分の願い』をきちんと伝えるようにしましょう」（青柳さん）
待ちの姿勢ではいけない。自分からの働きかけが、コミュニケーション復活の転機になりそうだ。
●専門家プロフィール：青柳雅也
「カウンセリングルーム アンフィニ」代表。個人カウンセリングや企業のメンタルヘルスケア、心理学セミナー、企業研修、教育機関で心理学の非常勤講師など活動は多岐に渡る。保有資格は産業カウンセラー（社団法人 日本産業カウンセラー協会認定）
