■マンダラチャートとは何か
はじめに「マンダラチャート」について教えてもらった。
「『マンダラチャート』とは、目標設定に有効なフレームワークです。経営コンサルタントの松村寧雄(まつむらやすお)さんが1979年に開発しました。どなたでも簡単に利用することができます」(斉藤さん)
大谷翔平選手が高校1年のときに作成したマンダラチャートを例に、そのやり方を解説してくれた。
「まず、中央に『一番の目標』を記載します。大谷選手の場合は、“日本のプロ野球ドラフト会議で8球団から1位指名されること”を主目標に『ドラフト1位指名8球団』と掲げています。それを達成するために必要な要素を、周囲の8つのマスに書いていきます」(斉藤さん)
「体づくり」、「コントロール」、「キレ」を含む8項目が記載されている。
「その8項目を外側のマスの中央に書き写します。最初に書いた9マスと同じ要領で、書き写した8項目を達成するために必要な要素をその周囲に書き出します」(斉藤さん)
81マス全てを埋めることで、目標を達成するためにすべきことが可視化されるのだ。
■マンダラチャートで期待できる効果
マンダラチャートには「A型チャート」と「B型チャート」があるとか。それぞれの違いや効果について聞いた。
「大谷選手が利用した81マスからなるものが『B型チャート』、3×3の9マスからなるものが『A型チャート』です。A型は簡単なものに、B型は詳細まで考えたい場合に使うとよいでしょう。どちらも目標を達成するために必要な要素を明確にします」(斉藤さん)
「『B型チャート』の方が、より目標達成度を高められる」と斉藤さん。その鍵は「視点」だという。
「『B型チャート』では、3つの視点でひとつひとつの要素を捉えることができます。第一に高い場所から見下ろすように全体を見渡し、目標の大枠をつかむことができる『マクロの視点』です。第二に81項目から目標を細かくつかむことができる『ミクロの視点』、第三に全体と詳細のつながりをつかむことができる『関係性の視点』です」(斉藤さん)
目標達成への多角的なアプローチ法を具現化することができるのだ。
■身近なことにマンダラチャートを取り入れるには?
「A型チャート」は、目標設定だけでなくさまざまな活用法があるとか。
「問題解決や企画開発、人生設計や経営計画の立案、ダイエットに取り組む際などにも利用することができます。紙と鉛筆さえあればすぐ実行できるので、気軽に試してみてください」(斉藤さん)
斉藤さんの実践例も教えてくれた。
「“フルマラソンを走ってみたい”と思い、『A型チャート』を作成しました。まず主目標に『フルマラソン完走』と書きます。周囲の8つには、『次の電信柱まで走る』、『1年目5km大会参加』、『2年目10km大会参加』……と走る距離を年々のばし、その他に『無理をしない』、『あきらめない』などと設定しました。主目標を4年目に達成できたのは、まさに“マンダラチャートマジック”だと感じています」(斉藤さん)
目標をブレイクダウンすることで、目標達成までのステップを確実に踏むことができるようだ。皆さんも今年は「マンダラチャート」を使って、やってみたいことにチャレンジするのはいかがだろう。自ら掲げた目標に対し、要素を明確にして一歩一歩進んでいけば、達成も夢ではないはずだ。
●専門家プロフィール:斉藤 斎(ゑびす屋)
ゑびす屋代表。2016年マンダラチャート認定講師取得。中小企業119専門家。マンダラチャートを活用した目標設定手帳「WAKUWAKU手帳」を開発・販売。マンダラチャートの説明や、目標設定のためのワークショップセミナーをZOOMで実施している。
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