■「ふるさと兼業」の概要
まずは、「ふるさと兼業」の取り組みから教えてもらった。
「『ふるさと兼業』とは、本業を持ちながらも隙間時間に、主にリモートワークで兼業やプロボノ、二拠点で活動するWワーク、期間限定での就業などで、地方の事業に関わりたい人材と、知恵や人手を必要としている地域の企業・団体を繋げるマッチングプラットフォームです。『共感と熱意でつながる』をコンセプトに、誰と、何を、何のためを明確にした募集プロジェクトです。単純な金銭的報酬だけでなく、出会いや学び、貢献等の意味的報酬の提供を大切にしています」(G-net)
プロボノとは、職務上で得た専門知識や技能、経験などを社会貢献のために提供するボランティア活動のこと。これらに関する多様な兼業の方法を提案することにより、新たな地域と人の繋がりを創出できるという。
「衰退や後継者不足に直面する地域産業にとって、事業の推進や多様な人材を活かす組織作りのきっかけにもなっています。将来的には、移住や転職、後継者確保などに繋がるクッション的な取り組みとしても活用されることが期待されています」(G-net)
「ふるさと兼業」は、2018年9月の立ち上げ以来、200件の募集に対して300人近くの人材をマッチングしたたそうだ。
■地方の企業と出会う方法
これまでは、紹介等により地方の企業に出会い、兼業に取り組む人が多かったようだ。だが、近年は変化しつつあるという。
「ここ数年、『ふるさと兼業』をはじめとするエージェントやマッチングサイトを活用する人が増えています。仕事内容や関心のある地域、働き方などで検索できるので、ご自身の置かれている環境を踏まえながら選ぶことが可能です」(G-net)
実際に地方の企業で働くイメージを持ちたい人には、オンラインイベントがおすすめとか。
「『ふるさと兼業』のようなマッチングプラットフォームのHPなどで、全国各地のイベントをチェックし、気になったものに参加してみてもよいでしょう」(G-net)
オンラインイベントなら、気軽に参加できそうだ。
■実際の働き方
「ふるさと兼業」にエントリーすると、各プロジェクトに専属コーディネーターがつき、就業に関してフォローしてくれるという。
「企業との初回顔合わせや契約書の取り交わし、定例打合せの段取りなど、オンライン対応に慣れるまで専属コーディネーターがフォローに入ります。面接や初回顔合わせ時には、稼働時間や業務内容だけでなく、企業とワーカー双方が求める期待感のすり合わせも行います。たとえばワーカーからは得意分野や苦手分野、経験したいことについて、企業からはプロジェクトの頻度や共に実現させたい目標、具体的に任せたい仕事などについてお話し頂きます。リモート形態での関わり方が多くなるため、ゴールイメージの共有や、具体的な業務の可視化により、お互いが安心して取り組めるよう配慮しています」(G-net)
とはいえ、プロジェクト参画前に本業の許可が必要な場合もあるそうなので気をつけたいところだ。
「本業の就業規則などによっては、プロジェクト参画前に許可が必要なこともあるので、後日のトラブルを避けるためにも、規定を確認しておきましょう。確定申告についても、企業にお勤めの方は、収入や所得で20万円を越える場合は申告が必要となります。詳しくは国税庁のHPなどで参照が可能です」(G-net)
「ふるさと兼業」のHPには「お試しプログラム」もある。愛着のある地域や共感する事業に、自分のスキルを活かし、兼業という形でコミットしたいと思う人は、ぜひ一度アクセスしてみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:NPO法人G-net
2001年、岐阜・名古屋を拠点に若者と地域、地場産業を繋げるコーディネート機関として創業。大学生を対象とした就職採用支援事業、兼業マッチング支援などを行う。2018年、ふるさと兼業運営事務局を立ち上げ、岐阜や名古屋のみならず、他エリアのフォローも行う。