
■ビタミンが豊富だが、調理方法に注意が必要?
まずブロッコリーに含まれる栄養から教えてもらった。
「ブロッコリーは栄養豊富な野菜です。ビタミンC、βカロテン、葉酸、カリウム、鉄分、食物繊維など、体によい成分を効率よく一度に摂取することができます」(小島さん)
せっかくの栄養成分も調理法によっては損失してしまうことがあるという。豊富な栄養を最大限に活かすため、注意点を聞いた。
「まず切り方ですが、茎のつけ根に包丁を入れて小房に切り分けます。大きいものは軸に包丁で切り込みを入れ、手で裂くようにすると花蕾(からい)がポロポロ落ちないですみます。茎は外側の堅い部分を剥き料理に合わせてカットします」(小島さん)
茎も固い皮の部分を取り除けば、丸ごと食べることができるので、無駄なく食したい。
「ブロッコリーにはビタミンCが豊富ですが、水溶性のため茹でると損失します。効率よく摂取するためには、茹でるよりも、焼く、蒸すなど水分の少ない加熱法がおすすめです。スープやお鍋など、煮汁ごと食べる料理にするのもよいでしょう」(小島さん)
せかっくのビタミンCが流れ出さないよう注意したい。
「ブロッコリーに豊富なβカロテンは、油と一緒に摂ると吸収率が上がります。調理の際には油の使用を意識してみるのもポイントです。生のままオイル蒸しや、炒め焼きにすると、ブロッコリーのうま味が凝縮し、満足感も得られます」(小島さん)
調理法を工夫することで栄養成分を失うことなく、おいしく摂取できることが分かった。
■ブロッコリーを丸ごと使うレシピ
栄養成分が逃げない、茎まで食べられるレシピを教えてもらった。まずは、「ブロッコリーの蒸し焼き」からだ。
「ブロッコリーは小房に分け、火をつける前にフライパンに並べます。水100mlと塩ひとつまみを加え、蓋をして中火にかけます。蒸気が出てきたら弱火にして3分蒸します。ブロッコリーが柔らかくなり水分がなくなったら完成です」(小島さん)
次に、ブロッコリーが主食となる「ブロッコリーライス」だ。
「洗ったお米3合に、有塩バター10g、塩小さじ1を加え基準通りに加水します。ブロッコリーを丸ごとお米の中心にのせ、通常通りに炊飯します。炊き上がったら、ブロッコリーをほぐすようにして全体を混ぜ合わせます」(小島さん)
最後は、つまみにおやつに活躍しそうな「ブロッコリーのガレット」だ。
「ブロッコリーを細かく刻んで、オリーブオイルを敷いたフライパンに入れます。軽く炒めて塩こしょうで味を整え、へらで薄く伸ばします。ピザ用チーズをのせて蓋をして、チーズが溶けたら両面を焼き色がつくまで焼きます。食べやすい大きさにカットすれば完成です」(小島さん)
どれも普段使いできそうなほど簡単である。ぜひ試してほしい。
■ブロッコリーの保存方法
ブロッコリーを食べきる前に傷んでしまわないよう、保存法を聞いた。まず冷蔵保存の方法からだ。
「冷蔵保存では、濡らして固く絞ったキッチンペーパーでブロッコリーを包みます。ポリ袋に入れて野菜室の奥に立てて保存します」
この方法では、約1週間の保存が可能とのこと。次に長期保存が可能な冷凍保存の方法だ。
「1つ目は、小房に分けて生のまま冷凍する方法です。凍ったまま炒め料理などに使用できます。2つ目は、小房に分けて固めに蒸して冷凍する方法です。凍ったままスープなどに入れて使用することができます。いずれも約1ヶ月間保存が可能です」(小島さん)
工夫次第でいつでもブロッコリーの栄養を、手軽に効率よく摂ることができる。栄養豊富なブロッコリーを、茎まで丸ごと活かすため、今回教えてもらったレシピや保存法をぜひ試してほしい。
●専門家プロフィール 小島香住
野菜ソムリエプロ。管理栄養士。「野菜はもっと簡単にずっと美味しくなる」がモットー。食品メーカーでの営業、商品企画開発、メニュー開発などを経て現在は3歳男児を育てながらWebサイトやSNSにて野菜果物の情報を発信。レシピ開発やセミナー講師などの活動の幅を広げる。
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