
■今日からすぐできるトレーニング法4選
渡邉さんは、手軽に取り入れやすいお腹のトレーニング法を4つ教えてくれた。まず一つ目だ。
「最も手っ取り早い方法は、『正しく美しい姿勢を保つこと』です。実は、かなりお腹の筋肉を使うため、そこそこキツいのです。自然とトレーニングになるため、電車の中や休憩時間など、気付いたときに行ってみるとよいでしょう」(渡邊さん)
ポイントは「肩甲骨を寄せ、おへそを引き上げること」とか。
「ゆっくりと息を吸いながら胸を開き、背中で両方の肩甲骨を寄せるようにします。両方の親指を背面に向かって反らすようにしながら肩甲骨を寄せると無理なくできます。顎が上がって、お尻が反ってしまうと身体を傷めてしまうことがあるので、顎を引き、お腹に力を入れて締め、おへそを引き上げるようにします。鏡を見ながら行うと分かりやすいですよ」(渡邊さん)
何度も行うと身体が正しい位置を覚えて、意識せずできるようになるとのこと。次に二つ目だ。
「通勤時などに大股で早歩きをするとお腹に効きますよ。やってみると実感して頂けると思います。お腹に力を入れないと大股早歩きはできません。日常のちょっとした移動の際にも取り入れるとよいでしょう」(渡邊さん)
三つ目は、仰向けで行う「ヒップリフト」。お腹以外の部分にも効くそうだ。
「『ヒップリフト』はお尻だけのエクササイズと思われがちですが、お腹全体に効く上、骨盤調整効果もあります。仰向けに寝て、膝を立てて足は少し開き、両手は身体に沿うように床に付けます。何度か深呼吸を行い、吸った際にお腹を思い切り凹ませ、ゆっくり息を吐きながら肩から膝が一直線になるよう腰を持ち上げます。息を吐ききるまでキープし、腰を下ろしながらまたゆっくり息を吸います」(渡邊さん)
同時に、お尻の穴を締めるようにすると、骨盤底筋群への刺激が加わり、尿もれ予防効果も期待できるとのこと。10回1セットからはじめるとよいようだ。
最後に渡邊さんが教えてくれたのは、『ツイストクラン』。少し難易度が上がる。
「仰向けに寝て、つま先は上を向かせます。両手を頭の後ろで組み、膝を90度に曲げるように上げ、上体は左肘と右膝、右肘と左膝が付くよう捻りながら起こし、腹筋運動を行います。10回で1セットですが、けっこうキツいので無理しないでくださいね」(渡邊さん)
腹斜筋が締まれば、憧れの“くびれ”が手に入れられるが、身体に痛みが出たら中止して様子を見て欲しいとのこと。
■準備運動とトレーニングを長続きさせるコツ
渡邉さんは、“美姿勢”や“大股早歩き”以外のトレーニングを行う際は、準備運動をした方が安心と添えてくれた。
「いきなり負荷をかけると身体を傷める原因になるため、準備運動を心がけてください。仰向けになって膝を立て、上半身はそのままで膝を左右にゆっくり倒すストレッチを行うとよいです。あるいは、四つん這いになって、ゆっくり背中を丸めたり伸ばしたりする『猫のポーズ』も、お腹や腰の筋肉の柔軟性を高めるためおすすめです」(渡邊さん)
トレーニングを長続きさせるコツも教えてもらった。
「トレーニングを生活の一部として習慣化することが大切です。入浴前(湯船に浸かるとアフターマッサージ効果が期待できます)や、入浴後の身体が温まった頃など、取り入れやすい時間に、歯磨きと同じような感覚で習慣にするとよいですね。長続きさせるには、難しいことからはじめないのもコツです」(渡邊さん)
今回は、手っ取り早さを重視した“自重”によるトレーニングを紹介してもらった。どれも日常生活に気軽に取り入れやすいものばかりである。慣れてきたらダンベルなどで負荷をかけたり、メニューを増やすとより効果的だそう。まずは、ぽっこりお腹が凹むことを信じ、自重トレーニングの継続を目指そう。
●専門家プロフィール:渡邊 亜紀子
自由が丘スウェディッシュマッサージ&セラピューティックストレッチサロン「Lycka till」主宰。忙しい大人のため簡単で続けやすく効率的やセルフケアを提案。アスリートや運動が苦手な方まで、約3,500名以上のお悩みを解決。WHO提唱のQOL「疾病がないことでなく、身体的、精神的、社会的に満足のいく状態にあること」を重要視し、より長くよりよい時間を過ごせる身体作りを目指す。
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