■英検二次面接での評価ポイントは?
二次試験はスピーキングを含む面接試験だ。全級共通の評価ポイントは、Attitude(表情、明瞭な声、積極性)だそうだ。
「第一印象は態度評価に繋がる可能性もあるので、入室時は『Good morning!』と、笑顔と大きな声でハッキリと挨拶しましょう。明るく元気よく、英語でのコミュニケーションを楽しもうという前向きな気持ちを表すことが大切です」(内藤さん)
そして、コミュニケーションにおける「3秒ルール」があることを教えてくれた。
「聞き取れなかった場合などは『I'm sorry, could you repeat the question?(恐れ入りますが、質問をもう一度お願いできますか)』と直ぐに聞き返しましょう。英語の世界では、3秒を過ぎるとコミュニケーションを取る気がないとみなされます。どう答えてよいかわからないことに対しても、『I’m afraid I have no idea about this topic, but I’d like to learn about it(申し訳ありませんが、今はアイディアが浮かびませんので、今後その件については勉強していきたいと思います)』などと前向きな姿勢を示すとよいです」(内藤さん)
級ごとの評価ポイントも挙げてもらった。
「3~2級の『パッセージ音読』では、意味を理解して読んでいるか(息継ぎのポイントは適切か)、正しく発音できているか(強弱アクセントや音の脱落、連結)を見られます。『Q&A』では、身近な事柄に関連した質問に対し、正しい発音や文法、語彙を用い、意見を述べているかチェックされます」(内藤さん)
準1級や1級では、プラスアルファの要素が求められる。
「準1級の『4コマ漫画ナレーション』では、2分以内で4コマ漫画を解説します。1級では、5つのトピックから1つを選び『2分間スピーチ』を行います。いずれも自分の言葉で返答し、内容に一貫性があるかチェックされます」(内藤さん)
日本人特有の曖昧な表現や一貫性のない意見では、評価を下げられることがあるようだ。
■自分の手応えと評価が食い違う理由
手応えと評価が食い違う主な理由は、「面接官と受検者との評価観点のギャップ」と内藤さん。
「ある受講生から1級二次受験後、質問の論点からずれた返答をしたため不合格だろうと報告がありました。ですが結果は見事合格。受検者の緊張した心理状態での主観的見方と、面接官が客観的に各項目を点数化し総合評価した結果に違いがありました」(内藤さん)
ネガティブな思い込みがあだとなるケースも多いという。
「1次試験のなかでも1~準1級のエッセイライティングは、解答速報だけでは自己判断がしづらく、不合格と思い込んで二次対策が遅れることがあります。『準備が間に合わずダメかも……』といったネガティブな思い込みを持ったまま、暗い表情や声で面接に臨むと、Attitudeを低く評価されかねません」(内藤さん)
主観的な思い込みをなくすためには、繰り返し模擬面接を行い、自信をつけることが大切とのこと。
■二次面接に有効な準備
有効な準備について教えてもらった。
「一次試験対策のときからエッセイライティングに焦点を当てることをお勧めします。AI添削機能やオンラインの添削サービスなどもありますが、英検で減点されない書き方(内容、構成、文法、語法、語彙)を添削できる専門家の指導を仰ぐとよいです」(内藤さん)
どの級も、自分の言葉で意見を述べる練習が必要不可欠なのだ。そういったスキルが二次面接のスピーキングにも活きてくるのだろう。
「自分で回答を作成し、添削、音読、暗唱することが大切です。社会問題にアンテナを張り、たとえば『自分が日本のリーダーだったら?』という問いに対する答えと理由を、1級の場合は、3つ挙げる習慣をつけることを心がけましょう」(内藤さん)
英検の準備をすることにより、社会問題を知り、考えや意見を持てるようになるかもしれない。
「英検合格は過程ですので、その先の実社会で役立つ英対話力や知識を身につけることを見据えると、学習も楽しくなりますね」(内藤さん)
英検は資格取得だけでなく、人間としての幅を広げる好機にもなりそうだ。そう思えば、より一層やりがいを感じられる。さらにその先である社会での実用を見据えれば、面接にもリラックスして臨めそうだ。
●専門家プロフィール:内藤 真由美(May English)
May English主宰。英検1級・異文化理解コーチ。CAを経て、外務省や経済産業省、JR東日本、全日空ホテル、明治大学などで異文化コミュニケーションを指導している経験を生かし、受講生一人ひとりが目標にたどり着けるコーチングを心がけ、2次試験1発合格実績を実現している。
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