■同じ学校の生徒と交流する際の注意点
まずはネットやSNSを通して、同じ学校の生徒とやり取りをする際の注意点を聞いてみた。
「ある程度面識があり、関係性が築けている相手であれば問題は少ないかもしれませんが、まだ会ったことのない人に関しては、本当に同じ学校の生徒なのかを注意することが必要です。実際、『休校中にクラスのグループLINEができて、皆でやり取りをしていたが、いざ学校がはじまって顔を合わせてみると、実在しない人がクラスのグループLINEに入っていたことが発覚した』ということがあったそうです。誰でも見られるTwitterなどで、グループLINEへの参加を募ったため、無関係者が参加していたそうですが、このような事態は十分起こり得ることです」(アディッシュ株式会社)
ネットやSNS上では、いくらでも素性を偽ることができるということだ。同じ学校の生徒だと信じてやり取りしていた相手が、赤の他人だとわかったときのショックは大きいだろう。
「SNSのプロフィール欄や会話から、同じ学校の生徒だと思った相手でも、実際に確認できるまでは、必要以上に自分の情報を伝えることは避けたほうがよいです。直接学校で会うことが難しいようなら、オンラインでの授業やホームルームなどの際に、同じ学校の生徒であることを確認してから連絡を取り合いましょう」(アディッシュ株式会社)
お互い顔を合わせ在籍が確認できるまでは、一定の距離感を保ちながら交流することが大切である。
■ネット上で知り合った人と交流する際の注意点
次に、会ったことのない人とネット上でやり取りをする際の注意点について聞いてみた。
「何より、『相手を信用しすぎないこと』が重要です。たとえば、SNS上で同じゲームの話題で盛り上がり友達になった場合なども、自分の名前や学校名などの個人情報を伝えることは控えてください。なぜなら、その内容が思いもよらないところで使われてしまうリスクがあるからです。実際、ネット上で知り合った人に送った、自分とクラスメイトの写真をSNSにさらされてしまったという生徒がいました。最初は仲良くやり取りしていたけれど、あることがきっかけで仲たがいしてしまったことから、写真を流出されてしまったようです」(アディッシュ株式会社)
オンラインゲームなど、互いの好きな分野で一緒に楽しめると、つい心を許してしまいそうだ。しかし、対面でのコミュニケーションではないため、会話の齟齬(そご)も生じやすいのだ。
「何度か交流し仲良くなると、相手に対し安心感が生まれ、『つい気を許して自分の写真を送ってしまった』、『相手からの要求を断りにくくなってしまった』というケースは少なくありません。常に、『本当に信頼できる相手かわからない』という心構えを持って交流しましょう」(アディッシュ株式会社)
ネットやSNSを利用すれば、対面より気軽に新しい友達を作れるかもしれない。だが見えない相手だけに、思いもよらないトラブルや事件に発展する可能性も無きにしもあらず。今後、会ったことのない相手とバーチャルで交流する際は、「本当に信用してよいのか」を見極めることが先決だろう。少し寂しい気もするが、それが昨今のネットやSNS上での、上手なコミュニケーション術といえるのかもしれない。
●専門家プロフィール:アディッシュ株式会社 スクールガーディアン事業部(スクールガーディアン)
事業ミッション「子どもたちが健全にインターネットを活用できる環境を目指して」のもと、学校非公式サイト・ネットいじめ対策コンサルティングサービスを展開。いじめ匿名連絡サイト「スクールサイン」の提供をはじめ、年間約200回のインターネットリテラシー講演を全国の学校で実施。