
事実、都内の自転車への赤切符の交付は2022年9月末時点で3906枚だったが、これは2021年の同時期と比較して669枚増えていると警視庁が発表している。
教えてgooでは「自転車の信号無視で赤切符をきられました。 裁判所に出頭しなければいけませんが」というタイトルの質問が投稿されているが、これに対して多数の回答が寄せられており、多くのユーザーを惹きつけていることがわかる。
そこで今回は赤切符の対象となる違反行為と、その中でも特に注意すべき行為などをまとめるべく、法律の専門家である井上義之弁護士(富士見坂法律事務所代表)に話を聞いてきた。
■そもそも赤切符とは
まずは本題に入る前に、そもそも赤切符が一体なんなのかを伺った。
「赤切符とは比較的重い交通違反の際に交付される、刑事処分を前提とした書類です。これまで、自転車による交通違反に対しては、『警告カード』を交付して注意喚起をする取り扱いが中心であり、赤切符の交付は特に悪質なケースに限られていました」(井上義之弁護士)
警告カードとは、正式名称を自転車指導警告カードと言い、文字通り警告を主目的としているだけで、前科や罰金は発生しない。また警告カードの交付によって出頭を促されたり、会社や学校に連絡がいくこともない。
■赤切符交付の対象となる15の違反行為と特別注意すべき4つ
では次に本題である赤切符の交付対象となる違反行為を伺った。
「次の15類型が赤切符の対象となる可能性が高い違反行為です。報道によれば、警視庁は、これらのうち、1、3、4及び10の4類型を重点的に取り締まり、赤切符の対象としていく方針のようです」(井上義之弁護士)
1. 信号無視
2. 通行禁止違反
3. 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行義務違反)
4. 通行区分違反(自転車による右側通行)
5. 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
6. 遮断踏切立入り
7. 交差点安全進行義務違反
8. 交差点優先者妨害等
9. 環状交差点安全進行義務違反
10. 指定場所一時不停止等
11. 歩道通行時の通行方法違反
12. 制動装置不良車運転
13. 酒酔い運転
14. 安全運転義務違反
15. 妨害運転(交通の危険のおそれ・著しい交通の危険)
上記をご覧いただき、ご自身に当てはまりそうな行為、思い当たる節がある方は特に注意が必要である。
■赤切符を交付の罰則は?
最後に赤切符が交付された場合の罰則について伺った。
「上記15類型の罰則は、懲役・罰金・科料のいずれかです。今回、重点的な取り締まり対象とされた4類型の罰則は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金です。自転車の赤切符については不起訴(起訴猶予)になるケースも多いと推測されますが、前科がつく可能性もあると考えて日頃から安全運転を徹底すべきでしょう」(井上義之弁護士)
事故は起こってからでは遅い。保険の加入など、事故を起こす前にできることや、起こさないように運転で気をつけるべきことをこの年末年始にもう一度改めて考えてみることをおすすめしたい。
専門家プロフィール:弁護士 井上義之 (第一東京弁護士会) 事務所HP ブログ
依頼者の置かれている状況は様々です。詳しい事情・希望を伺った上で、個別具体的事情に応じたきめ細やかなサービスを提供することをモットーに業務遂行しております。
ライター o4o7
画像提供:ピクスタ