■男性の美に対する意識はどう変わってきたのか?
江馬さんによると、男性の美意識は時代とともに変化してきたようだ。
「私が20代だった平成初期では、いかに肌が健康的な小麦色に日焼けして男らしく見えるか、髪型やファッションで差をつけられるかなどで、男性の美意識を判断されていたように思います」(江馬先生)
それが、メディアやSNSを通じてどんどん変化、発展しているとか。
「徐々に雑誌やCMなどでは、男性も美肌を手に入れよう、毛穴対策をしよう、美しい歯を維持しよう、髪質を保ち育毛しようといった啓蒙がはじまりました。この意識は2000年からのネット普及期、そしてSNSを通じて爆発的に加速しました」(江馬先生)
その過程で、男性専用のエステや美容クリニックなどの需要が高まってきたという。
「男性が美に対し、女性と同等かそれ以上に気にするようになったと思います。今では主に、『美肌』、『頭髪』、『ホワイトニング』、『体型』、『健康』などのジャンルで、意識の高い20代を筆頭に70代の男性までもが、アンチエイジングを求めています」(江馬先生)
はるか昔にも、男性が美を追求していた時代があったようだ。
「中世から17世紀にも、男性も化粧、装飾、かつら、刺青など、時代に合った美を追求していた時期がありました。男性の中に潜在意識としてあった美が、長い時を経て再燃し、取り戻されてきたように感じます」(江馬先生)
最近では、就学や就職、婚活、営業活動、媒体への露出などにおいて、「清潔感」や「美肌」なども評価の対象になるとか。こういった流れからも、男性の美への追求は必然といえるだろう。
■男性向け美容メニューの今後の見通し
これまでは、限られた美容メニューを選択する男性が多数だったという。最近の変化について聞いてみた。
「これまでは、脱毛やニキビの治療などがほとんどでした。ですが今では、女性が行う施術全般を行うケースが増えてきています。この傾向は今後も続き、もしかすると女性よりも細やかにお肌や体型に気を使う男性が増えていくかもしれないと考えます」(江馬先生)
女性同様に、「美肌治療」や「たるみ治療」、「ダイエット」などの施術を受ける男性が増えているとのこと。だが、根本的な治療には至らないという。
「現時点でこれらの治療では、既存の施術や投薬を用い、シミやたるみ、代謝の低下を是正します。ですがそれは、対症療法にすぎないのです」(江馬先生)
対症療法とは表面的な症状を改善する処置だ。
「シミやたるみ、代謝低下などの原因のひとつは、万人に不可抗力な加齢に伴うホルモンの減少です。若い方はホルモンが十分量分泌されており、血行の維持や新しい細胞の生成が容易です。しかし年齢とともにホルモン分泌が減少すると、肌の老化やたるみ、体重増加などが生じやすくなるのです」(江馬先生)
今後、これらのお悩み全てに通じる「ホルモン補充療法」が、30代以降の男女に支持されるようになる見込みだそう。
「ホルモン補充療法が盛んな米国に比べ、日本ではまだ周知すら不足しています。医師の診察、処方のもと正しく行えば、安全にアンチエイジングが実現できます。ホルモン補充療法は、美容の観点のみならず、活力増進や生活習慣病予防、更年期治療にもなり得ます。当院でも、ホルモン補充療法を男女問わず行っております」(江馬先生)
江馬さんいわく、今後さらに遺伝子の研究が進み、「アンチエイジングのためのワクチン」が出現する日が来るかもしれないとのこと。そうなると、今以上に美意識の高い男性の美容メニューとして広まり、世の中に美しい男性が増えていくのかもしれない。
●専門家プロフィール:江馬 潤
シロノクリニック恵比寿 医局長。内科研修を経て美容皮膚科に携わる。患者さまお一人おひとりの気持ちに寄り添い、一人でも多くの方が人生を楽しく過ごせるよう、お悩みを全力でサポートするため、丁寧な対応を信条としている。
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