
「教えて!goo」では「自転車事故の示談について」という質問が投稿されているが、自転車保険義務化に伴って、改めて交通事故後にすべきことを富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に聞いてきた。
■自転車の運転者が被害者と加害者でそれぞれ分類してみた
まずは自転車を運転していた人が被害者となった場合にどうするべきか伺った。
「警察に連絡して事故証明がとれるようにする、警察の現場検証とは別に、スマホを活用するなどして事故状況・破損状況などを記録しておく、けがをした場合はなるべく当日に医師の診断書を取得する、といった対応をすべきです。目撃者がいる場合、連絡先を聞いておくのも有効と思います」(井上義之弁護士)
では次に自転車の運転者が加害者だった場合はどうだろうか。
「自転車も道路交通法上『車両』のひとつですから、自転車運転者が加害者となった場合、同法上、けが人を救護し、警察に報告する義務があります。また、適正な解決のために、加害者としても、事故状況・破損状況などを記録しておくべきでしょう」(井上義之弁護士)
■自転車での交通事故のリスクと責任
次は自転車での交通事故で被害者が負うリスクについて尋ねてみた。
「自転車は不安定で無防備な乗り物であり、転倒して頭を打ちつけるなどして重篤な結果が生じるおそれがあります。また、自転車はそれなりにスピードが出ますから、歩行者として事故の被害者になる場合よりもダメージが大きくなりかねません。そして、加害者が保険に加入しておらず支払い能力もない場合、泣き寝入りするしかありません」(井上義之弁護士)
では自転車の運転者が加害者となった場合の責任はどうだろうか。
「相手の車を傷つけた場合、修理費用などを請求されます。特に相手が高級車の場合かなりの金額になります。また、相手に重篤な後遺障害が残ったり、相手が死亡したりした場合、1億円以上の支払いが必要になることもあり得ます」(井上義之弁護士)
■自転車保険は被害者・加害者の両方をカバーする保障を選ぼう
自転車保険の義務化は高額賠償が相次いでいることと、重度な後遺症が残ることや死亡に至る事故が多発しているという2つの理由で広がっている。つまり自転車保険を検討するならば「自転車運転者がけがをした場合や死亡した場合に補償が受けられること」かつ「自転車運転者が加害者になった場合に被害者に対する賠償金を填補してもらえる」という被害者と加害者のどちらの立場になったとしてもカバーしてもらえる内容を選ぶと良いだろう。
●専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
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