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「離婚で決めること」系の記事の中で滅多に取り扱われてない大事なこととは

「離婚で決めること」系の記事の中で滅多に取り扱われてない大事なこととは「離婚 決めること」ーーこんな語句で検索してみると、専門家監修の記事から、ブログやニュース、まとめ記事など山程ヒットする。これはつまり、それだけ興味を持っている人が多いということだろうが、中を覗いてみると、その殆どが慰謝料や養育費、子供との面会などを取り扱っている。なるほど、それも非常に重要で決めておくべきことだ。しかし滅多にお目にかかれないのが、子供への相続だ。離婚をすると、元配偶者への相続権は消滅するが、元配偶者との間に生まれた子供には相続権が残る。

「親権を持っていないのに別れた相手との子供に相続が発生することに納得がいかない」、「再婚相手との間に子供にすべて相続させたい」、「長年交流してこなかった子供に相続するのは気が引ける」など離婚直後ではなく、相続間近でしか気づかない問題もある。そこで今回は、これらの問題について富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に話を聞いてみた。

■元配偶者との間に子供がいる人は気をつけるべきだが、更に気をつけるべき人とは


まずは離婚と相続の関係について話を聞いてみた。

「離婚すると、元夫と元妻は他人同士になります。元夫(元妻)が死亡した場合、元妻(元夫)に相続権はありません。これに対し、元夫(元妻)とその子は、離婚後も親子のままであり、子は相続権を失いません。死亡した元夫(元妻)が子の親権者でないとか、何十年も親子の交流がなかったといった事情も関係がありません」(井上義之弁護士)

別れた相手の子供には相続権が残るという事実、意外に知られていないのではないだろうか。では具体的にはどんなトラブルがあるのだろうか。

「例えば『A男はB女との間に子Cを設けた後に離婚(Cの親権者はB)。その後A男はD女と再婚し子Eを設け、Cの存在を隠したままDEと長年同居していた』といったケースで、C、D、Eの3人がAの相続で揉める、といったトラブルがよくあります。このようなケースでは、Cは充分な養育費をもらってないなどとしてせめて遺産は受取りたいと考え、他方で、DEは他人同然のCに遺産を渡したくないと考えるなどして、対立が表面化しやすいためです」(井上義之弁護士)

元配偶者、現配偶者それぞれの間で子供がいるケースや、離婚時にその可能性がある人は気をつけるべきだろう。

■離婚前と離婚後にでできることとは?


それではこのような問題の対策として、離婚前と離婚後の対策をそれぞれの立場で聞いてみた。

【離婚前・非親権者】
「Aは、離婚する前に、将来Cが自身の相続人となること及び再婚する場合相続人が増えることを前提に、自分の財産の行く末について見通しをたてておくべきです」(井上義之弁護士)

【離婚前・親権者】
「C及びCの親権者Bは、将来Cが受け取るAの遺産を確保する観点から、離婚後のAの近況を把握できるように配慮すべきでしょう。これは、相続以前に、Cの養育費の支払いを確保することにもつながります」(井上義之弁護士)

【離婚後・非親権者】
「Aは、自身の相続に関する紛争を防止する対策として、Cの存在をDEに伝えておくなどの手段がとれますが、Aができる最も確実な対策は、遺言を遺すことです。特定の相続人だけに相続させる遺言をすることも可能ですが、遺留分を巡って紛争になる可能性がありますので、はじめから遺留分を侵害しないように遺言の内容を定めておくほうが穏当かと思います」(井上義之弁護士)

【離婚後・相続人(子供)】
「Aの相続人(CDE)は、遺留分を侵害する遺言による相続がなされた場合、遺留分減殺請求権を行使することが出来ます。この際、うっかり権利行使期間が過ぎることがないようにしましょう」(井上義之弁護士)


■親、子供、それぞれの立場


「元配偶者との間に生まれた子供への相続」という問題が離婚時に決めるべきことの一つとして相応しいかどうかはわからないが、もっと早く知っておけばよかったと思う人はいてもおかしくない。そしてこれは親だけでなく、子供もその対象に含まれる。

もしも現在進行形で悩んでいる人や、これからこの問題に直面する可能性がある人はまずは専門家に相談してみるといいだろう。きっといいアドバイスがもらえるはずだ。

専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ

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