■青とうがらしの「甘味種」と「辛味種」
はじめに、青とうがらしの種類と特徴についてうかがった。
「青とうがらしは、『甘味種』と『辛味種』の2種類あります。甘味種は、『ピーマン』や『ししとう』、『万願寺とうがらし』、『パプリカ』などです。辛味種は一般的に「とうがらし」と総称される、辛味のあるものです。若いときは新緑色で『青とうがらし』とよばれ、熟すと赤くなり『赤とうがらし』とよばれます。赤とうがらしには、『弥平(やへい)とうがらし』や『島とうがらし』、乾燥して香辛料に加工される『鷹の爪』などがあります」(川端さん)
代表的な世界のとうがらしも教えてもらった。
「有名な品種は、“激辛”で知られるメキシコ発祥の『ハバネロ』や『ハラペーニョ』です。辛味種は、熟す前の緑色のまま調理するのが一般的です。緑色のタバスコの原料にしたり、刻んでサルサソースに混ぜたりして利用されています」(川端さん)
流行りの“しびれ系”で使われるのは、中国特産の種だとか。
「四川省産の『朝天辣椒(チョウテンラーショウ)』、別名『四川とうがらし』です。丸っこい形状で香りがよく、しびれるような辛さが特徴です。麻婆豆腐や炒め物などに使われます」(川端さん)
ひと口に「青とうがらし」といっても、辛味の程度や形など、多種多様に存在することがわかった。
■青とうがらしを使ったおすすめレシピ
青とうがらしは、意外にも手軽に家庭で楽しめるそうだ。「焼いて甘酢に漬けるだけで、さっぱりとおいしい一品になる」と川端さん。さらに2つの簡単レシピも教えてもらった。
「『ハラペーニョの酢漬け(ピクルス)』は、さまざまなアレンジができ便利です。用意するものは、ハラペーニョ5本ほど、酢150ml、砂糖大さじ1、塩小さじ1のみです。容器には、煮沸消毒済みの保存瓶をご用意ください。ハラペーニョを5mm幅くらいの輪切りにし、保存瓶に入れておきます。酢、砂糖、塩は小鍋に入れてひと煮立ちさせます。熱いうちに保存瓶に注ぎ、ふたをすれば出来上がりです」(川端さん)
保存用容器は、雑菌の繁殖を防ぐためにもしっかり熱湯で消毒しておきたい。
いつもの料理に隠し味としてこのピクルスを加えると、一気に中南米風の料理になるそう。
「ピザやパスタの香辛料として使うのはもちろん、サルサソースやBBQソースに加えるのもおいしいですよ。アボカドとみじん切りのにんにく、レモン汁、塩、こしょうと合わせて、野菜スティックやクラッカーをディップして食べるのもおすすめです。じんわりとやってくる辛さが病みつきになりますよ」(川端さん)
ハラペーニョを扱う際は、触ったその手でうっかり目を擦ったりすると、強いしびれや痛みを感じることがあるそうだ。手袋をつけるなど対策をするとよいとのこと。つづいて、甘味種で作る和風副菜のレシピを紹介しよう。
「ししとう10本、塩昆布10g、しょうゆ小さじ1でササッとできる『ししとうの塩昆布あえ』です。ししとうは破裂しないよう、あらかじめ切れ目を入れておきます。フライパンやグリルでよく焼いたら、塩昆布としょうゆを加えてあえるだけで出来上がりです。ピーマンやパプリカでも代用可能です。出汁じょうゆやめんつゆを使ってもおいしいですよ」(川端さん)
上級者向けの野菜と思われがちな青とうがらし。今回教わったレシピなら、さまざまな種類を手軽に楽しめそうだ。ビタミンや食物繊維などの栄養も豊富に含まれており、体にもうれしい効果が期待できるという。旬の時期に、ご家庭で味わってみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:川端寿美香(野菜と魚のおもてなしサロン「Maman's Dream」)
料理家、野菜ソムリエ、アンチエイジングプランナー、お魚かたりべ(水産庁長官任命)。「美と健康は食卓から」をテーマに、野菜と魚のおもてなしサロン「Maman's Dream」を主宰。ワンランク上 の家庭料理を自宅、外部教室にて開催。
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