
■子どもへの厳しい干渉はNG
スマホを悪用した犯罪やトラブルが多い昨今、保護者はつい干渉したくなるだろう。ネットを使うことには、もちろんメリットもあるのだが……。
「スマホやSNSは、他者と交流するためのツールの1つです。活用することで趣味が合う人と出会えたり、会話を楽しんだりすることができます。ただしネット上では、性別や年齢などを偽ることも簡単にできてしまいます。保護者は事前にどのような危険があるかを子どもに説明し、万が一トラブルに遭遇した際の対処法を話しておく必要があります」(中村さん)
ネットの世界には危険が潜むが、子どもの世界を広げてくれる。では未然にトラブルを防ぐため、どこまで干渉すべきなのだろうか。
「必ずしも子どものスマホの中身をチェックする必要はありません。『スマホを持つと遭遇する危険』や『行うべき対策』、『トラブルに遭遇した際の対処法』についてしっかり理解し、子どもと共通認識をもつことが大切です。 チェックをする場合は、何も言わずに行うと子どもは信用してもらえていないと感じることがあります。なぜチェックをするのか、何をチェックするのかを説明するとよいでしょう」(中村さん)
厳しい制限や干渉は、子どもからの反発を招いたり信用を失うことにもつながる。見張るだけではなく、危険性や注意点を共有することが重要だ。
■スマホを通じて信頼関係を深める
ネットを使うことのリスクには、具体的にどのようなものがあるのか。実際に起こりうる危険について聞いた。
「ブログやSNSに投稿した情報は、半永久的にネット上に残り完全に消すことはほぼ不可能です。悪意をもった人の手に渡ってしまった場合、情報を悪用される可能性があります。子どものプライバシーを守ることは、彼らの将来を守ることにつながります」(中村さん)
中村さんいわく、スマホをチェックせずともトラブルから子どもを守る方法があるという。
「セキュリティツールなどを用いて技術的な対策を施せば、安全にスマホを利用するためのサポートが可能です。危険な目に遭わないための対処法を教えることも、子どもを守ることにつながります。技術的な対策やルール決めを行う際には、保護者の考えを一方的に押しつけるのではなく、子どもと話し合いをしましょう。効果的なスマホの使い方を一緒に考えることが、継続的な信頼関係を構築します」(中村さん)
わが子の情報が世界中に公開されてしまう危険性がある反面、可能性を無限に広げてくれるツールでもあるスマホ。保護者はリスクとメリットをきちんと理解した上で、事前の話し合いや教育に力を注いでほしい。スマホ利用を通じて、子どもとの信頼関係を深めることができればよいだろう。
●専門家プロフィール:トレンドマイクロ株式会社
コンピューター・インターネットのセキュリティ関連製品の開発・販売を行う。主力製品に「ウイルスバスター」シリーズがある。