
■ブドウを食べる際の注意点
ブドウを食べると口の中にピリピリとした刺激を感じたり、喉がかゆくなったりする人がいるようだ。その原因から聞いてみた。
「ブドウを食べて感じる違和感は、ブドウアレルギーが原因です。キウイやメロン、モモなど、さまざまな果物で起こりうる果物アレルギーの一種です。加熱すると問題なく食べられるケースが多いといわれています」(馬原さん)
果物に含まれるたんぱく質に反応して症状が出る人がいるという。気になる人は、ブドウを甘く煮たコンポートなどを試してみるとよいかもしれない。
アレルギーがない人でも、ブドウを食べる時に注意すべきことがあるという。
「ブドウはメロンなどのように追熟させて食べごろを待つ必要はありません。購入後は劣化が進みやすいため、できるだけ早く食べ切るのがよいでしょう。また、果糖を多く含んでいます。食べすぎによるカロリー過多に注意しましょう。カロリーが高めなバナナやマンゴーに比べて軽く食べやすいので、いつの間にか食べすぎてしまうこともあります。量を把握しながら食べるとよいでしょう」(馬原さん)
ブドウには果糖のほかにも、抗酸化作用のあるポリフェノールや、塩分の排出を促してくれるカリウム、疲労回復や免疫機能の維持に作用するビタミンB群など、体にうれしいさまざま成分が含まれている。食べすぎに注意して、適度な量を楽しもう。
■おいしいブドウの選び方と保存方法
まずは、おいしいブドウの選び方から教えてもらった。
「実の1粒1粒にハリがありふっくらとしていて、『ブルーム』と呼ばれる白い粉が実の表面についているものがおすすめです。枝から実が落ちていないかも確認しましょう。実がはずれて落ちてしまっているブドウは、鮮度が低くなっている可能性があります」(馬原さん)
つぶ表面の白い粉を、選ぶ時の目印にしよう。次に保存方法だ。
「ブドウは常温でも保存できますが、気温や湿度が高い時は冷蔵庫での保存が安心です。洗わずにキッチンペーパーで包んで乾燥を防ぎ、保存容器に入れて冷蔵庫で保管します。洗うとブルームが取れて鮮度が落ちてしまうので、食べる直前に洗うようにしてください」(馬原さん)
ブドウの種類によっても、おすすめの保存方法があるそうだ。
「粒の小さいデラウェアのような品種は、房ごと。巨峰やシャインマスカットのような粒の大きなブドウは、枝を数ミリ残し一粒ずつハサミで切り離して保存すると長持ちします」(馬原さん)
この時期は手土産などでブドウをもらう機会があるかもしれない。適切な保存方法で新鮮なブドウを楽しみたい。
■ブドウを使ったレシピ
食卓を彩る2つのレシピを教えてもらった。まずは爽やかな副菜、「ブドウとミニトマトのマリネ」からだ。
「材料はブドウ(巨峰など粒の大きいものを10粒)、ミニトマト(10個)、調味料としてオリーブオイル(大さじ2)、レモン汁(大さじ1)、砂糖(小さじ1)、塩こしょう(少々)です。」
次に作り方だ。
「ブドウは皮をむいておき、ミニトマトは湯むきしてください。調味料はすべてをよく混ぜ合わせましょう。砂糖とレモン汁を混ぜてから、オイルを入れると混ざりやすいです。ブドウとミニトマト、調味料を混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やして完成です」(馬原さん)
続いて、デザートにぴったりな「ブドウゼリー」だ。
「ミニカップ4つ分の材料は、ブドウ(16粒)、ゼラチン(5g、水大さじ2でふやかす)、水(300ml)、砂糖(70g)です」(馬原さん)
作り方は簡単だ。
「ブドウは皮をむいておきます。鍋に水300mlと砂糖を入れて火にかけましょう。砂糖が溶けたら火を止めて、ふやかしたゼラチンを入れさらに溶かしてください。鍋を氷水にあてて粗熱を取り、器に流し入れ、ブドウを入れて冷やし固めましょう。砂糖の量はお好みで加減してください。他のフルーツを混ぜてもおいしいですよ」(馬原さん)
そのままでもおいしく食べられるブドウだが、ひと手間加えることで、おかずやデザートとしても楽しめる。過熱をすれば、ピリピリとした刺激や喉の違和感を解消できることもわかった。今回伺ったことを参考においしいブドウを選び、季節のレシピを食卓に取り入れてみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:馬原 香織
料理研究家。調理師。食育インストラクター。フードビジネスプランナー。飲食店向けのコンサルティング会社にて、フードコーディネーターとして勤務した経験を活かし、「家族が喜ぶ、何度も使えるレシピ」をコンセプトに「Cooking Salon Mahara」を主宰。企業様向けのレシピ開発や料理ライターも担う。
画像提供:AdobeStock