■答えにくい質問を流す2つの方法
苦手意識を抱いていない上司ならともかく、普段から「少し怖いな」と感じている上司から「俺って怖い?」などと聞かれたら、返答に迷う。どのような返答がベストなのか。
「『実は、ちょっと怖いです』などと言いたいですよね。ですが、苦手意識があると、それすらもなかなか言えません。根本的に苦手意識を抱いている場合、本心を言うには、かなりの勇気がいるからです。上司と人間関係がある程度できていれば、正直な気持ちを伝えてもよいですが、そうでなければ『そんなことないですよ』と無難に答えて、過度なストレスから早く解放されましょう」(寺下さん)
また、投稿にあるようなパターンに限らず、苦手な上司との日常会話において答えにくいことを聞かれることはあるだろう。いざ質問されてうろたえてしまわないためにも、対策しておきたい。
「それには、2つのテクニックが有効です。一つは、主語を変えてしまう方法。たとえば上司から『あそこの角にある店のランチ、おいしいよね?』と聞かれ、心の中ではおいしくないと思っていたとします。その場合『~さんにとっては、お気に入りのお店ですよね』と主語を変えてしまいます。もう一つは、質問で返すやり方。『この前の連休はどこかに行ったの?』と聞かれ、答えたくたくないときは『~さんは、どこに行かれたんですか?』と質問で返せば、上司は答えてくれるでしょう」(寺下さん)
寺下さんいわく「それは答えられません」とストレートに言ってしまうと、角が立ってしまうのでおすすめできないという。明確な答えを用意する必要はなく、無難にかわすことも大事なのだ。
■怖い上司を克服するには
なぜパワハラ上司というわけでもないのに苦手意識を抱いてしまうのだろう。それには、上司の外見や話し方が関係しているという。
「そもそも怖い上司というのは、見た目が怖かったり、話し方が乱暴だったり、またはそのときの気持ちが表情にストレートに出ることから、怖く感じてしまうのです。ちなみに、投稿にあるような質問をする上司は、自分自身が部下から恐れられているのではないかと気を遣って質問している可能性が高いです」(寺下さん)
言動や外見というのは、簡単に変えられるものではない。それに、いくら怖いイメージがある上司であっても、いつまでも苦手意識を抱いているわけにもいかないだろう。
「こういう上司は、意外と裏表がなく義理人情を大切にしていたりします。日頃からちょっとした雑談をこちらからしてみると、関係性を深めることにつながりますよ。また、何か提案するときや報告するときも単刀直入に話をしてみるのもおすすめです。まずは、思い切って相手の懐に飛び込んでみましょう」(寺下さん)
寺下さんは、抱いているイメージはいったん忘れ、自分から積極的に関わることも大切だと語る。気軽な雑談から関わってみると、案外気さくな一面や取っつきやすい部分に触れられるのかもしれない。
●専門家プロフィール:寺下薫
外資系企業を経てヤフーに入社、人材開発の責任者として6年間従事。東京ガスやリクルートなど10 社の協力を得て、問題解決養成塾「SV 研究会」を2013年に立ち上げる。これまでに70社212名を育成し、コンタクトセンター業界の地位向上を目指している。