■黄色も青色も同じ品種
まずはあらためてレモンの魅力を聞いてみた。
「魅力は漢字で、『味・彩・香』と表すことができます。料理に酸味をプラスできる『味』、黄色や緑色の色味はもちろん、いろいろな形にカットすることで料理の見た目を華やかに彩ってくれる『彩』、皮ごと搾ると爽やかな『香』を添えてくれます」(及川さん)
最近は果皮が緑色のものもよく見かけるが、黄色のものとはどのような違いがあるのだろう。
「基本的には黄色も青色も同じ品種です。実は、秋に食べられる大きさに生長しますが、その時は緑色です。気温が下がり冬に近付くにつれて、黄色へと変化してきます。青いレモン、あるいはグリーンレモンと呼ばれるものは香りが高いのが特徴です。イエローレモンと同様に料理に用いることができます」(及川さん)
ということは、旬は秋ということになるのだろうか。
「前提として、スーパーなどで販売しているレモンには国産と海外産があります。国産の旬は秋から翌春で、海外産は北半球産と南半球産を組み合わせて一年中供給されています」(及川さん)
旬は国産と海外産で異なるのだ。
■レモンは冷凍してもおいしい
おいしいレモンの選び方も知っておきたい。
「まず新鮮であることが大切で、皮に張りがあるものがよいですね。触れられる状況なら、ずっしりとしていて重量感があるものを選ぶとよいでしょう」(及川さん)
おいしさを維持する保存方法はどうだろう。
「注意したいのが果皮の乾燥です。予防するためにポリ袋に入れることをおすすめします。ただ、果物も呼吸をするので密閉はしないようにしましょう。場所は冷蔵庫の野菜室がよく、だいたい2週間前後、条件がよければ1ヵ月以上おいしくいただけます」(及川さん)
冷凍してもおいしさを維持できるのだろうか。
「食べきれないなら冷凍するのも正解です。冷凍したまま、おろし金ですりおろすことで皮の香りや果肉・果汁の酸味を料理に加えることができます。ここでのポイントは、まるごとではなくカットした状態で冷凍することです。扱いやすくなりますよ」(及川さん)
冷凍すると数ヵ月間保存できるそうだ。まとめ買いをちゅうちょしていた人には朗報といえるだろう。
■見た目も美しいレモン鍋
色味のきれいな皮も特徴のひとつだ。そもそも、皮ごと食べて大丈夫なのだろうか。
「国産と海外産で事情が異なります。国産は皮も食べられることが多く、海外産は表皮の防カビ剤などの問題で、皮を食べるのはおすすめできないものもあります。先ほどレモンの魅力を紹介しましたが、それが皮にもあることを考えると、安心して使用できる国産を選んでいただきたいと思います」(及川さん)
レモンを使用したおすすめの料理も紹介していただいた。
「冬といえば鍋ということで、『レモン鍋』がおすすめです。鍋の種類は選ばず、『この鍋はレモンが合いそう』と思うものでOKです。作り方は簡単で、火を止める直前にスライスしたレモンを敷き詰めるだけです。レモンは煮込むと苦味が出るので注意しましょう。火を止める直前に入れると写真映えもしますよ。別皿にレモンを移してから食べてください」(及川さん)
他にもいろいろな活用方法があるそうだ。
「特におすすめなのは、皮を細かく削って活用することです。削るのはチーズ削り器を活用してもよいですし、最近は100円ショップでかんきつ類の皮を削る機器が販売されています。料理や飲料の仕上げにレモンの皮を加えることで、爽やかな香りをお楽しみいただけます」(及川さん)
家庭で手軽にマネできるアレンジが多くうれしい。冬が旬の国産レモンは今が買い時だ。今回伺ったことを参考に、いろいろなアレンジでそのおいしさを体感してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:及川正明
熊本県生まれ、愛媛県人、静岡県人、広島県人を経て現在東京都民。広島レモン大使PR事務局、八朔ゆかりの会事務局、瀬戸内レモン協議会事務局(設立準備中)を務める。Xのフォロワー数は3万人(2024年1月時点)。「自己責任で行う情報発信に取りつかれています(笑)」(及川さん)。
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