時効取得が可能な権利として、地上権が存在していますが、
具体的にどのようにすれば地上権が時効取得可能なのか、
いまひとつパッとしません。
下記、(1),(2)の回答および具体的な事例を教えて頂けると
助かります。よろしくお願いします。
(1)30年の契約で地上権を結んで、契約期間中に20年経過
すれば地上権は取得可能なのでしょうか?
(民:163条の条文上”占有”や”他人のもの”は問われて
いないように思え、このような質問になりました。)
(2)30年の契約で地上権を結んで、契約期間の30年経過後、
地主が無頓着で、20年そのままの状態で経過してしまった
ような場合、地上権は取得可能なのでしょうか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
(1)の事例
30年の契約を結んでいるので、この契約期間内は時効取得は問題になりません。
実質的理由:
もし、契約期間内でも時効取得が認められるとすれば、取得時効に要する期間より長く契約を結んだ者は、必ずその目的物を取得する(反対に相手は失う)ことになり、おかしな結果となるからです。
条文上の根拠:
上の不都合を避けるためには、例えば、
「契約期間は取得時効の期間より短く定めなければならない。」
「取得時効の期間より長く定めた契約期間は無効とする。」
このような規定がなければなりませんが、実際にはありません。
それが無いということは、元々そのような不都合は生じることは無い、即ち、契約期間内に時効取得することは無い、ということです。
(2)の事例
契約後50年を経過した、ということでお答えします。
(1)の通り、最初の30年は契約期間内ですので時効取得は問題になりません。
その後の20年で、その間ずっと地主が無頓着であれば、占有の継続を条件として地上権のみならず、所有の意思をもってすれば所有権も取得できます。
地上権か所有権かの違いは、自己のためにする意思をもっての継続的行使か、所有の意思をもっての継続的占有かの違いです。
補足です。
所有権を時効取得することはできます。(民法162条)
例
A-所有者 B-占有者
Aの物を20年間所有の意思をもって平穏かつ公然と占有したBは、その物の所有権を取得します。(始期に善意、無過失であれば10年間)
そうすると、当然Aは所有権を失うことになりますが、それはあくまでBが取得したことによる反対効果としてのことで、消滅時効にかかったからではありません。
所有権は永久に消滅時効にかかることはありません。
回答有難うございます。
■(1)の事例
>実質的理由:
>必ずその目的物を取得する(反対に相手は失う)ことになり、
やはりそうですよね。
(1)の設問で、取得時効が援用可能ならば、(地主の立場になって)
地主はどうやってこの取得時効を防ぐのだろうと思っておりました。
地主の実務として
A.取得時効を中断させるために、契約期間に応じて民:147条 or 民:165[164]条 の規定により地主が行動している
B.契約書で30年設定期間中の時効取得はダメよと特約する
でもしているのかと、浅はかに考えておりました。
>このような規定がなければなりませんが、実際にはありません。
>それが無いということは、元々そのような不都合は生じることは無
>い、即ち、契約期間内に時効取得することは無い、ということです。
反対規定(制限規定というのか?)が存在しないのですから、仰せの
通り「契約期間内に時効取得することは無い」と理解します。
■(2)の事例
>地上権か所有権かの違いは、自己のためにする意思をもっての継続
>的行使か、所有の意思をもっての継続的占有かの違いです。
なるほど。所有権まで持っていかれるんですね。
おそらくこの場合は。
契約期間30年経過の時点で、地主としては、とっとと立ち退いてもらわないと、所有権まで持っていかれるということになるのですね。
所有権の取得時効まで含めてご親切に回答いただき感謝します。
論理的に大分すっきりできました。
有難うございました。
No.4
- 回答日時:
No3です。
地上権の時効取得を考える場合、No2の方が上げられた、X、Y、Zの関係が最適例だと思いますが、質問者さんのAB当事者間での話となると、実際どのような場合なのか確かに迷いますよね^^
地主A 契約者B 地主Aの土地甲 契約期間30年
Bは工作物または竹木を甲土地の上に所有して甲土地を使用し、契約期間の30年が過ぎた。
その後そのまま甲土地の使用を続けて20年(Aはこの間無頓着)経過すれば、Bは甲土地の地上権を時効取得し、そのまま使い続ける権利を得る。
その後、仮にCがAから甲土地を買って(所有権を譲り受けて)も、Bは地上権の時効取得を理由に、甲土地を使用し続けることも、他への譲渡、転貸もCの許可なくできる。
そのまんまですが、こんな感じでしょうか^^
仮に、上の30年の契約期間内に、Bがすでに、地上権を他人に譲渡、転貸していた場合は、一体全体どうなるんでしょうかね。
ちょっと考えただけで、頭が痛くなってきそうです^^;
地主の承諾無く譲渡、転貸ができ地主には不利なため、実際には純粋な地上権は少ないようですね。
だから、これ以上深く考えるのは、皆さんよされた方が無難かもですよ~(^^)
回答有難うございます。
>実際には純粋な地上権は少ないようですね。
なるほど、そうなのですか。
法の知識は素人・実務の知識は皆無ゆえ、見識者の皆様の回答より地上権・取得時効に関してイメージがより現実的に膨らんで、助かりました。
>仮に、上の30年の契約期間内に、Bがすでに、地上権を他人に譲渡、転貸していた場合は、一体全体どうなるんでしょうかね。
私が本で調べた限り、地主A-契約者Bに地上権譲渡禁止の特約があった場合であれば、地主Aは契約者Bに特約違反の損害賠償請求ができるだけで当該譲渡自体は有効となるようです。
その特約を登記しておく方法がないため、第三者に対抗できないとあります。(地上権は不動産物権ゆえの結論?)
地主A-契約者Bに譲渡禁止の特約が無い場合、ここからは私の想像ですが、30年の約定期間だけを特約していても、無駄で実務としては有り得ないのかな?と思いました。
No.2
- 回答日時:
具体的に地上権を取得可能な事例は、
●Xは、Yと甲土地について地上権設定契約を結んだが、甲土地は
実はY所有のものではなく、Z所有のもの(Yに処分権がない)
であった。
この場合、10年、20年で本来成立し得ないはずの地上権を時効
取得できます。
つまり、時効期間経過後、真の所有者Zから出てけと明渡請求
されても、地上権があるからいやですといえます。
賃借権の時効取得、という論点がありますが、それを地上権に置き換
えただけです。賃借権は物権ではないため論点となっていますが、
地上権は物権のため問題なく取得できるんじゃないでしょうか。
賃借権の時効取得の論点で出てくる真の所有者の時効中断の機会を
保障するための要件(継続的な用益およびそれが賃借の意思に基づく
ことが客観的に表現されていること(賃料の支払等))がいるのかどう
かは不明ですが・・・
(1)の場合は、普通に真の所有者と地上権契約を結んでいるの
だから時効取得もなにも、はなっから地上権取得してます。契約に
よって。
(2)の場合は地上権を時効取得する場合だと思います。
ちなみに所有権は時効取得できません。
地上権について詳しいわけでなく、賃借権と時効の知識のみから
書いているので確実に正しいとはいいきれないですが、ご了承下さい。
回答有難うございます。
事例も「そういうパターンがあるのか」と理解し、実際
有り得そうな事例知識を得ることできました。
私個人では、他人の土地に家を勝手に建てて、20年後地上権
の時効取得を裁判所で援用すればいいのかなあ程度で現実味に
欠ける事例しか思い浮かばなかったため参考になりました。
(1)は、地上権は地主Aと契約者Bと30年で契約設定したこと
を前提としておりました。
これも言葉足らずなのだと思います。申し訳ございません。
民法163条が要件として挙げる
「自己のためにする意思」「行使する者」ともにこの場合でも
契約者Bは条文上クリアしているように思えており、(1)ならば
30年の契約のうち、20年の地上権行使で、永久地上権を得られた
りしないのであろうかと思い、そんなことは無いと思いつつも、
なぜ無いのかの決定打がよく判らないのが現状です。
賃借権まで含めてご親切に回答いただき感謝します。
有難うございました。
No.1
- 回答日時:
回答有難うございます。
知識だけでなく、言葉足らずな点もあるようで、
申し訳ございません。
私が設定した(1)および(2)は、どちらも契約により
地上権設定をした場合で考えております。
素人のため、とんちんかんな質問になっていたら、
すみません。
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