旧日本海軍の特に機動部隊の対空砲火について教えてください。
よく旧海軍機動部隊の対空砲火の威力というか弾幕密度が、アメリカのそれより貧弱で「米雷撃機が日本軍の凄まじいまでの対空弾幕に阻まれ・・・」という事は寡聞にして聞き(読み)ません。
しかし、太平洋戦争開戦頃ならまだしも、ミッドウエー海戦以降であれば日本軍も対空兵装を強化して、「これ以上はもう搭載するスキマが無い。」という位、全艦針鼠のような状態ではなかったのでしょうか?
それともアメリカは門数は1艦隊当たり日本と同等でも、単位時間内での発射弾数などが多いので密度が違うのでしょうか?
でも、それほど日本とアメリカで単位時間発射弾数が違うとも思えませんが。
ずっと気になっていたので質問させていただきました。
ご存知の方、よろしくお願いします。
No.6
- 回答日時:
一番大きい差なのは、艦隊までの航空隊到達数の差です。
大雑把に言えば、
100門の対空火器で敵機100機を狙い打つのと
100門の対空火器で敵機10機を狙い打つ。
どちらが一機あたりに向けることのできる対空砲火が多くなるでしょうか?
つまり、日本の場合は艦隊に到達できる攻撃隊の数が少ないから一機あたりに向けることのできる弾幕密度が多くなる。
だから「アメリカの対空砲火は凄まじい」と搭乗員は思うんです。
確かにVT信管は時限信管より効果は高いですし、ボフォースの40mm機銃の威力は日本の対空兵装に比べ高いことは事実です。
投射量もアメリカの方が高いですし、防空システムもアメリカの方が上です。
ですが、そんなことはこの質問に関するならどうでもいいことと言えるでしょう。
No.5
- 回答日時:
日本海軍の艦艇は、ほとんど対空改装をうけていますから、
大艦巨砲主義の悪癖で、艦対艦の戦いを想定して設計されていたということは否めないでしょうし、
船の設計自体も古いものが多いわけですが、日米をわけた
最大の違いはレーダーの性能にあるといえるでしょう。
対空砲火にしても、なんにしても、迎撃するには敵の存在を
いち早く察知することが不可欠ですが、
日本軍のレーダー技術は連合軍のそれに比べて著しく劣ったのです。
皮肉な話、レーダーの性能を一躍高めた八木アンテナを発明したのは日本人でしたが
日本軍はその潜在的な将来性を理解できず、その恩恵にあずかれませんでした。
戦後高度経済成長の後だと、当時の日本がさまざまな分野で技術的に劣ったということを
実感できないかもしれませんが、発想や精神にいたるまで、底辺の部分での遅れが
新技術や新しい方策を探ることを阻んだように思います。
特に軍に関しては、”欧米並み”という考えが、染み付いていて、
官僚的体質とあいまって、装備をことごとく二流品にしてしましいました。
”並”を目指す段階で、一歩遅れるのは当然です。
さて、対空戦闘に関しては、源田とかが、機動艦隊にボックスフォーメーションを
組ませて、対空効率をあげようと努力はしていたのですが、
やはりレーダーで早く敵機を確認して、迎撃体制を整え、空母など主力艦に
近づく前に叩くようでないと成功は望めないわけで、実際、ミッドウェーであれです。
また日本海軍の場合は、重油の供給不足という問題もあったので、
あまり多数の艦艇を同時に動かすことができませんでしたし、
給油も問題で、機動艦隊についていけるような高速タンカーの数が少なく
行動が制限されます。
大艦隊だと、停泊地にも困るわけで、内地はいいですが、他の場所だと
港に入るのも苦労し、さまざまな障害がうまれます。
対空護衛艦を機動艦隊に増やすのは、確かに理想ですが、
日本海軍の場合、数に制約があったのは事実でしょう。
対して、アメリカ軍の場合、真珠湾後しばらくは艦の数が非常に少なかったわけですが、
その後、累乗的に増えていって、護衛艦が二桁はざらで、下手すると三桁の大台にのるような大艦隊が集結するようになりますから、
その大艦隊が、レーダー搭載の駆逐艦を周囲に配置して、
事前に遥かかなたからレーダーで敵機を確認してから、迎撃体制で迎え撃つわけですから
その火力集中たるやすごいものになるわけです。
近接信管がさらに加わって、米艦隊の火力は圧倒的なレベルに達します。
確かに護衛艦艇の数が違うでしょうね。たとえ個艦に積む機銃は同数であったとしても、艦艇の数が多ければ門数も増え弾幕も厚くなると言う事ですね。
レーダー含む基礎工業力や軍人・官僚の体質も遠因という事ですね。
長文詳細な回答ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
アメリカの巡洋艦とかの砲(38口径5インチ砲)は、対艦、対空の両用砲ですから、日本のように対艦用の砲と高角砲を別々に搭載するより、砲数面で有利です。
また、アメリカの場合、システム的に対空防御を行っています。
(1)レーダーで日本軍機を遠方で発見(レーダーピケット艦を配置する場合も)
↓
(2)迎撃戦闘機を日本軍機までちゃんと誘導する
↓
(3)直援の戦闘機が、日本軍機を有効な射点に着かせない様に妨害し、防空火力が集中している箇所に誘導
↓
(4)防御弾幕はNo1さんが仰るとおり、遠~近まで隙間無く配置され、艦隊規模で弾幕の隙間が出来ないように考慮されていました。(一方向に集中する場合も)
レーダーや無線等のシステムも含めて、アメリカが勝っていたからこその結果だと思います。
まあ、ある程度の護衛機を伴った数十機以上の日本機がアメリカ艦隊に到達してしまうと、(3)が出来なくなって、結果(4)が不十分になって、アメリカの空母と言えども撃沈の憂き目に…。
レーダーや無線等のシステムトータルで勝っていたので、対空砲火も有効的に活用出来た。という事ですね。
箇条書きで詳しく回答いただき、ありがとうございました。
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