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今日ポストを見てみて、ふと思ったことがあったのですが、知人の●●さん(歯科医)から「●●歯科クリニック」という宛名で送り状・郵便物・宅配が着た場合、私文書偽造罪になるのか?ということです。

刑法各論では作成名義のボウヨウを偽造といい、文書の名義人と作成者の人格の同一性を偽る点にある、と理解しています。
一方、商法では商号の自由の原則により個人であれば一営業に一個の商号を使うことができます。

他方で、「●●歯科クリニック」という名義の本質を考えてみると、●●さんの歯科医業に従事する人間の組合・権利能力なき社団を現す名称なのか、それとも●●さんが歯科医業で用いる商号なのかということです。
しかし、歯科医業とは商行為ではないと考えるので(医者や法律家は先生って呼ばれますし商人でもないと思いますし)、後者として考えるのは難しいのではないのか、という疑問です。

一応私も法律家の端くれで先生と呼ばれる身の上ですが、私が法律を勉強していた頃はそんな話題があがったことがありませんし、本に書かれていた記憶もありません。普段気にとまらなかった疑問です。しかし、こんなことを他の法律家に聞くのも気が引けてしまうので、匿名のネットで質問してみました。

仮に偽造の罪に当たるとしても上記理由から違法性は下がるのではないかとは思うのですが。

私も帰ってから刑法の本や商法の本を調べてみようと思いますが、誰かこの疑問を解消できる方はいないでしょうか?よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

>刑法各論では作成名義のボウヨウを偽造といい、文書の名義人と作成者の人格の同一性を偽る点にある、と理解しています。



 そのように解されています。そして、「名義人とは文書に表示された意識内容の主体」とするのが通説です。個人的には、「文書を作成すること自体に関する責任の主体」とする説が妥当だと思います。(川端博「刑法各論講義」456頁)
 それはともかくご質問の件ですが、確かに「何何歯科クリニック」というのは商号ではありませんが(歯医者は商行為を行う商人ではない。)、個人が通称名、ペンネーム、あるいは屋号を使用することは原則として自由なのですから、その歯科医師が自己を表す名称(屋号)として「何何歯科クリニック」という名義を使用して文書を作成している以上、文書の名義人と作成者の同一性に齟齬がありませんので、偽造にはなりません。もっと言えば、歯科医師ではない者が「何何歯科クリニック」と名乗ったとしても、直ちに偽造罪が成立するわけではありません。
 判例では、ある弁護士会所属の弁護士である甲野太郎と同姓同名であることを利用して、弁護士ではない甲野太郎が弁護士甲野太郎と表示して「弁護士報酬請求について」という表題の文書を作成した事例について文書偽造罪の成立を認めましたが(最決平5.10.5刑集47巻8号7頁)、当該文書の性質上、名義人が被告人ではなく、別人格のある弁護士会所属の弁護士である甲野太郎と認めたものであって、一般的に虚偽の肩書きを使用することが、即、作成者と名義人の同一性を偽る行為になるのではないということに注意すべきでしょう。
 いずれにせよ、「何何歯科クリニック」を運営している歯科医師が、「何何歯科クリニック」の名義で文書を作成することは、特段の事情がない限り文書偽造罪を構成するものではないといえます。 

この回答への補足

刑法の解釈に相応しい、非常に論理的な思考で、ぐうのねも出ません。

補足日時:2008/01/12 23:06
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

なるほど。法的な思考プロセスが大変分かりやすく、説明が頭にしっくり入ってきました。私文書偽造が何だったかと考えると、構成要件に該当しないということですね。

ご解説、私の頭の中で何ら矛盾を生じず、また、そのような判例まで掲載して下さって本当にありがとうございます。すっきりしました。

お礼日時:2008/01/12 23:00

すみません、法律の専門家ではありません。


私がうろ覚えの範囲で書き込みさせていただきます。

>知人の●●さん(歯科医)から「●●歯科クリニック」という宛名で送り状・郵便物・宅配が着た場合、私文書偽造罪になるのか?
これは、歯科医である知人の●●さんが、クリニックとは関係のない個人の文書を送ってくるのに
印刷で●●歯科クリニックという名前の入った封筒を使った場合ということでしょうか?
もしくは、封筒の裏書で手書きで●●歯科クリニックの名前のみを書いて送ってきたということですか?

前者なら、単に自分が経営するクリニックの名前の入った封筒を、個人名義の
ための目的で使った(流用した)だけのことですよね。
それを罰するための法律があるのでしょうか?

後者なら、たしかに騙そうと意図的にやったのなら、私文書偽造に当たるような気はします。
…が、そこまで面倒なことするかな?とは思います。

どちらにせよ、単に自分の名前を書き忘れたという可能性もかんがみて、
自分の意思をもって、私文書偽造を行おうとしたのかどうかにあると思いますよ。
意図的にやったのでなければ、厳しくその責を問えないような気はしますけれどね。

それと、専門的なことはわかりませんが、クリニック自体の名前は
「商号」に相当するのではないですか?
いくら、医療に従事しているとはいえ、個人病院であれば経営していると
みなされるような気がするのですが…。

>私が法律を勉強していた頃はそんな話題があがったことがありませんし、本に書かれていた記憶もありません。
厳密には法律違反かも知れないがを、現実的には違反を問えるものではないからではないでしょうか?
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

封筒や宅配がよく来るのですが、いつも個人名ではなく、「●●歯科クリニック」と書かれていて、ふと疑問に思ったのです。

NO.2さんは、「構成要件には該当しそうだが故意が問題となる」、というご意見のようですね。
一番最後の後段のご意見は「違法性の程度によりけりだ」、というご主張なのですね。

お礼日時:2008/01/12 23:05

作っても違法にならない文書はいくら作ってもフリーパスです(^^)


「権利」「義務」「事実の証明」など他人の権利とかかわりが出来るとき問題になる可能性があるだけです。

郵便物や宅配便のあて先くらいで問題になるはずはない。ドメインの登録は(co.jpは法人に限るが)架空名義でも可能で「**総統」とか「**宮」「**大統領」名義で請求書が届くらしい。まぁそういう名前の人がじっさいにいても不思議はない。

社長や部長でもないのに飲み屋やスナックに行くと「社長」名乗るでしょう(^^) 呼ばれたら返事しますね。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

No.1~3さんの回答を拝見しましたが、みなさん結論はご一緒ですが、そこにたどり着く考え方が全く異なるので面白いなと思いました。

お礼日時:2008/01/12 23:09

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