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 ニュースを見ていたら、日本郵船所有のタンカーが中東沖でロケットランチャーらしいもので襲撃され、左舷を損傷し、燃料が洩れだしたと報道されていました。どうやら海賊らしいとも。それに続き、警察は日本に帰港後「器物損壊」の容疑で捜査する旨つけ加えられていました。
 いくつか疑問があるのですが、
1,これは最低でも建造物損壊ではないですか?
2,海賊ならば強盗容疑では?
3,国外犯処罰規定との関係は?

A 回答 (3件)

#2です。



1.穴が開いたのは左舷の燃料タンクという話ですが、「船体」に穴が開いたという報告はないと思います。瓦は「壊さないと取り外せない」という理由で建造物の一部とするのが判例のはずなので、「穴の開いた燃料タンクが壊さないと取り外せない」ほど船と一体であるならば建造物等損壊罪でいいはずです。逆に、建物で言えば造作程度の物であればやはり器物損壊罪です。

なお、「程度」というのは言及する必要のある話ではありませんでした。理由は以下に述べますが、「本件では関係ない話」と思ってください。

先の回答は正直に言えば「かなり大雑把」です。
厳密に話をすれば、「場所」は「艦船に当るか」という問題であり、「程度」は「損壊に当るか」という問題です。つまり「別の話」。そこで、先の回答では両方を「損壊」の話として十把一絡げに書いているわけで、極めて大雑把です。
……正直に言いますと、教えて!goo程度のところでそんなに詳細な話はしてもしょうがない(もちろん、理論的な問題点をきちんと説明しないと答えにならないような質問なら別ですが)と思っているので、多少大雑把に書くのが私にとっては通常なのです。そこで、質問を見た段階では「詳細な話をする必要がある」とは思わなかったので、大雑把に書いたのです(あとは、時間的に校正する暇がなかったというのもあります)。質問者の要求する回答の水準というのは質問から推測するしかないところ、その判断が甘かったというわけです。

ただ、いずれであるにしても「実際の被害を海保が確認したわけではない」のであれば器物損壊「容疑」で十分な話です。つまり「被疑事実が何であれ、捜査の端緒としてはどうでもいい」のです。そんなに拘泥するところではありません。

2.本当に海賊かどうかは不明です。あの海域は海賊による襲撃が多発しているということと、ドイツ軍が襲撃した海賊と思われる船を発見したが臨検できずに逃がしたという事実しか分かっていません。
それはともかく、海賊行為の定義について「海洋法に関する国際連合条約」101条によるとすれば、「おそらく公海上」にあった高山に対する攻撃は同条の海賊行為に該当するとみてよいでしょう。

以下、参考。

そこで、日本国法について考えると、海賊行為それ自体を犯罪とする規定はおそらく日本国法にはないと思います。海賊行為を処罰する場合には、海賊行為を構成する個々の行為が該当する個別の犯罪として扱うのだと思います。海上保安庁組織規則で「船舶に対する海賊行為に係る犯罪の捜査」という表現をしているのも、「海賊行為それ自体が一つの犯罪なのではなく、海賊行為に「係る」個々の行為が犯罪であるということが前提だと思います。

ここまで参考。

3.結局そこが問題です。日本郵船の発表では被害に遭った「高山」の船籍は「日本」だそうですから、旗国主義により刑法が適用できるという結論でいいことになります。
http://www.nykline.co.jp/news/2008/0421/index.htm

なお、公海上での海賊行為に係る犯罪の捜査は海保の管轄です。
私も前回あまり気にしないで最後の方に「警察」と書いてるのですけれど。弁明すると「業務妨害罪」を例に報道と発表の違いを話したかったので「警察」と書いただけです。厳密に書くなら「捜査当局」とでもするのが一番正確ではあります。
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この回答へのお礼

 詳細な回答ありがとうございました。当方が把握を怠っていた事実関係まで確認していただき助かりました。

お礼日時:2008/04/28 04:46

1.壊れた場所と程度によります。

建造物等損壊罪における「損壊」とは、建造物、艦船の「実質を毀損し、又それによって使用価値を減少させる行為」であり、使用不能にする必要はないとは言え、法定刑の重さからすれば実質でない部分や軽微な損壊なども全面的に含むとは解せられません。ですから、その程度に至らない損壊であれば器物損壊罪になります。そこで、中東沖で壊れたタンカーの現状がどうなっているか不明なので、確実な器物損壊罪の方を容疑としただけでしょう。
誰と言うわけではありませんが条文を読みもしないで適当なことを言う人はもちろん論外ですが、条文を読んだだけでは分からないことも一杯あるので、図書館でいいので、刑法逐条解説みたいな条文ごとの解説をしている本を見るといいです。

2.しょせんは「どうやら海賊らしい」だけですから、財物の奪取を目的とした不法な有形力の行使だったかどうかは現段階では不明です(凶器は不要です。念のため)。ひょっとしたらテロリストが船を沈めに来ただけかも知れませんし、もしかしたら海賊同士の縄張り争いの巻き添えに過ぎなかったかも知れませんし、はたまた酔っ払った海賊がなんとなく攻撃しただけかも知れませんしね。相手が海賊かも確実でない上に、相手の意図が全く不明なのですから、強盗(未遂)罪の可能性は視野に入っているとしても、ひとまずは、確実な損壊の方を被疑事実にしただけでしょう。

3.質問の趣旨が不明ですが、旗国主義を取っている以上、少なくとも船籍が日本である日本船舶内は日本国内と同じ扱いになるので国内の犯罪と同じ扱いになります。もっとも、件の船が日本船籍かどうかは知りませんが。なお、「構成要件該当行為と結果の一部」が国内で生じればいいので、「損壊の結果が日本国内として扱われる日本船舶内で起こった」以上は、器物損壊罪が適用できます。
これも条文を読めばある程度は分かりますが、読んだだけでは分からないのでやはり逐条解説などを見た方がいいです。


被疑事実が何であれ、捜査の端緒としてはどうでもいいのですよ。途中で容疑が変わったとしても別に違法ではありませんから。ただ、強制捜査になるとそれなりの根拠が必要なので、そこまで視野に入れれば、成立する可能性が高い犯罪をまずは前提に捜査するというのは妥当な話です。
もっとも、報道を基にするには注意が必要です。警察が言っていることをそのまま報道しないこともよくあるからです。報道は結構いい加減です。報道各社が言っていることが違う例で時々見るのは、業務妨害罪。同じ事件なのに報道機関によって偽計と威力の部分が違うことがあります。単に記者が間違えただけなのか、警察が「業務妨害罪」としか言っていないのに勝手に「偽計」または「威力」を付け足しているのかは分かりませんが。

この回答への補足

 ご回答頂きましたが、いくつかの点で疑問がありますので、再度質問させて頂きます。
1について、「損壊」の程度によって建造物か器物かという適用条文が変わる(確かに大塚・曽根といった有力説ではそうでしょうが)というのは初耳でした。瓦一枚の損壊で建造物損壊となるとの判例があったと思いましたので。ところで、タンカーの船体に穴が開き燃料洩れを生じているという程度でも、なお建造物としての効用の一部を減損していると言えないというのは、そういう判例があると言うことでしょうか?
2について、これは不適切な質問でした(回答者のご回答内容とは別に「海賊」というものへの対応に対して全く知識がないことに思い当たったため)。ところで国際法上は海賊と認定されるとは思いますが、日本の法律上、海賊行為はどのような犯罪として処罰されることが予定されている、又は裁判・審判例として過去に処罰されているものなのでしょうか?
3について、実は船籍が分からないのですが、日本船舶の一般常識からすれば日本に船籍を置いていないはずだと思っています。このような場合でも日本の警察が「器物損壊」容疑で捜査できるものだろうか?と疑問に思いましたので質問してみました。

補足日時:2008/04/22 13:57
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1.建造物は、たしか、地面に固定されている必要があります。

乗り物はすべて物ですから、器物です。
2.強盗は「凶器を示して所有者等の意思に反して物の占有を開始する」必要があります。タンカーの乗組員に対して「盗む」意志をつたえていなければ、器物損壊、又は、窃盗です。盗まれていなければ窃盗が成立しません。未遂になるかどうかは、犯人を捕まえて意志確認をしないとわかりません。
「わからない」事で警察が動くことはできませんので、「壊された」ことだけは確かですから「器物損壊」で動くことができます。取調べが進めば容疑を変えることもありますから。
3.これは興味がなく調べていないので知りません。
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この回答へのお礼

 ありがとうございました。#2の方が詳細に答えて下さっていますので、すいませんがそちらを注目したいと思います。

お礼日時:2008/04/22 14:20

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