No.7ベストアンサー
- 回答日時:
日本の作品がある程度出ているようなので、外国の作品からいくつか。
まず思い出したのが『エイジ・オブ・イノセンス』(イーディス・ウォートン 新潮文庫 『無垢の時代』というタイトルで荒地出版からも)
19世紀後半のアメリカが舞台。上流階級の青年ニューランド・アーチャーは、メイ・ウェランドという、家柄もふさわしい若い女性との結婚が決まっているのだけれど、ヨーロッパ人の夫と離婚して帰国した、オレンスカ伯爵夫人に恋をするんです。ふたりの女性は直接に対決することはないのだけれど、確かに、水面下で争っています。
映画にもなってて、これはこれで悪くはないんだけど、ただキャストが違ってるなぁ、と思います(少なくともオレンスカは黒髪で、メイは金髪じゃなくちゃ。これは重要なポイントだと思うんだけど…)。
『鳩の翼』(ヘンリ・ジェイムズ 国書刊行会/講談社文芸文庫)
19世紀のイギリスとイタリアが舞台です。主人公ケイトはデンシャーを愛しているのですが、お互い貧乏なので、結婚をためらっている。
そこへ金持ちのアメリカ娘ミリーがヨーロッパを訪れる。
病弱なミリーが天涯孤独であることを知り、ケイトはデンシャーに恋仲になるように持ちかけ、財産を乗っ取ろうとするんです。
ところが話はそう簡単にはいかなくて…。
これも映画になっています。
もう少し時代が下って。
『滝』(マーガレット・ドラブル 晶文社)
主人公のジェインは夫と別れて、たった一人で自宅で出産するところから、話が始まっていきます。そこへ、従姉妹のルーシーと、その夫のジェイムズが世話をしに来てくれるのだけれど、このジェイムズとの間に、恋愛が始まってしまうんです。意外な展開で、ふたりの仲はルーシーの知るところになるのだけれど、結末は、おおっ、そう来たか!という感じ(笑)。悲劇的な結末にはなりません。
手に入りにくい本かもしれませんが、図書館を探してみてください。
『存在の耐えられない軽さ』(ミラン・クンデラ 集英社文庫)
この作品をこの括りで出したら、石を投げられるかもしれません(笑)。
でも、映画のほうはそういう括りで撮ってるから、まぁ勘弁してください(誰に謝ってるんだ?)
「ニーチェの永劫回帰という考え方はニーチェ以外の哲学者を困惑させた」という一文から始まるこの小説は、チェコの現代史とも密接に絡み合っているし、内包する思想も、非常に深いものです(自分自身、どこらあたりまで読み込めているか自信がない)。でも、わからないなりに、深い余韻が残る作品です。犬が好きだったら、最後、泣いちゃうかも(って、こんな深い作品にこんな〆)。
新しいところで。
『待ち暮らし』(ハ・ジン 早川書房)
数年前の全米図書賞受賞作品です。
英語で書かれた小説ですが、舞台は中国です。
軍医の孔林(クォン・リン)は、農村出身で、時代遅れの纏足をした妻を恥じ、赴任先で、看護婦の恋人を持つようになります。年に一度、家に帰ると妻を説得して離婚を承諾させるのですが、彼女は裁判官の前に立つと、気持ちを翻してしまう。軍規では、別居が18年を過ぎると、相手の同意がなくても離婚できるので、ふたりはひたすらそのときを待つのですが……。
あと、小説ではなく実話として。
『ニューヨーカーとわたし ―編集長を愛した四十年―』(リリアン・ロス 新潮社)
リリアン・ロスは、アメリカの文芸雑誌『ニューヨーカー』のスターライターです。さまざまな記事を書いたのですが、彼女を一躍有名にしたのが、ヘミングウェイのリポート。これはヘミングウェイの知られざる一面を伝えるものとして、あるいは大作家ヘミングウェイを貶めるものとして、毀誉褒貶なかばしつつ、大変な評判になりました(青山南がこれを訳していて『パパがニューヨークにやってきた』というタイトルで、マガジンハウス社から出ているのですが、手に入りにくい)。
この人が、『ニューヨーカー』の編集長と、四十年間も恋愛関係にあった。
原題の"Here But Not Here"は、ショーンの言葉であった、と作中に書かれています。ここにいても、同時にここにはいないのだ、という。
ショーンは、子どもたちを愛し、妻のセシルを見捨てることはできないと言った、としながらも、同時にロスは、彼との関係において、「結婚証明書以外のものをすべて手に入れた」と明言しています。そして、それが手に入れられなかったゆえの苦しみも。
この場合のふたりの女性は争わない。妻であるセシルがどう思っていたかはわかりません。
けれどもこの作品には、すべてがあるなぁ、と思います。
沢山のご回答ありがとうございます。
最後の『ニューヨーカーとわたし ―編集長を愛した四十年―』という実話、とても興味があります。
妻のセシルの心境も気になりますね。浮気なんてそのうち飽きるだろう…なんて思っていたら、なんと40年も続いちゃったんですから…
ご回答有難うございました。
No.8
- 回答日時:
#5です。
あれから二、三思い出しましたので付け加えます。・耽溺 (岩野泡鳴)温泉宿の玄人筋と主人公とその妻という、戦前にはよくあったであろう図式の小説です。
・若い人 (石坂洋次郎)これを忘れていました。映画化されていたころは猫も杓子も読んでいた感のある小説ですが、今はさっぱり。不思議な気がします。若い男女の教師と女生徒。
・禁色 (三島由紀夫)複雑な関係で、どう複雑であったかほとんど思い出しませんが、若き三島が非常に意欲的に書いていたのではなかったかしら。世間の良識を粉砕してやりたいという稚気にあふれていたような。一般的な評価は寡聞にして知りませんが、個人的にはこういう作品は好きです。これに影響を与えていたもののひとつと思われるのが、
・危険な関係 (ラクロ)で、フランス18世紀の書簡体小説。悪徳に満ちて、文句なく面白いものです。
それにしても恋の国フランスにこういう図式(男1女2)の小説が少ないのには驚きました。私が知らないだけというよりも、むしろコキュの国柄と悪口を言いたくなる、別の関係に忙しいのでしょう。
禁色…高校のときに「読め!」と言われて読まなかった作品のひとつだったような…
おもしろそうですね、是非読んでみようと思います。
再びのご回答ありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
(闇の中の祝祭(吉行淳之介)…いいっすねぇ)
#2です。
『桜の樹の下で』は映画化もされていますので、あらすじが書いてある所がある事に気付き貼りにきました。
私個人としては小説で読んだ方がおもしろかったです。
(一人の男性をめぐって母と娘が…って話です。)
参考URL:http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD18096/comme …
URL拝見しました。映画のほうも情熱的な感じに仕上がってるんですね。
本と両方、観てみたいと思います。再びのご回答有難うございました。
No.5
- 回答日時:
男1対女2の悲劇ですね。
・白痴 (ドストエフスキー)
(ムイシュキン公爵とナスターシャとアグラーヤ。これにロゴージン♂が加わる)
はすぐ出たのですが、次が続きません。
・寝園 (横光利一)も、ややこの傾向か。
・猫と庄造と二人のおんな (谷崎潤一郎)これは題名のとおりです。でも悲劇だったかどうか。
・闇の中の祝祭 (吉行淳之介)
・砂の上の植物群 (同)この二つは、条件に一番近かったかな?
・エディプスの恋人 (筒井康隆)は、母親と恋人の組み合わせでした。
・牝猫 (コレット)は恋人ふたりと牝猫の組み合わせで、回答者くるしまぎれ。
このくらいしか出てきません。しかも古いものばかり。
あまりお役に立ちませんでした。
著名な作家がずらり…すべて参考にさせていただきますね。
>牝猫 (コレット)は恋人ふたりと牝猫の組み合わせで、回答者くるしまぎれ。
猫ですか(笑)いいですね、猫大好きですよ。
>このくらいしか出てきません。しかも古いものばかり。
あまりお役に立ちませんでした。
いえいえ、沢山ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
たいして悲劇じゃないけど、
「こんな三角関係もある」
というので、
江國香織「きらきらひかる」
はどうでしょうか?
妻と夫、夫の恋人の三角関係です。
こう書くと普通ですが、実際は普通とちょっと違います。
一度読んでみてください。
ある意味悲劇なのかも…。
参考URL:http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=19314066
中2だったかな?友達に薦められて読みましたよ~
笑子の「3人の赤ちゃんを産めたらいいのに…(セリフうる覚え。)」にはジーンときましたね。
別に恨み合っているわけじゃないのに、3人が同時に幸せになる道がないんですよね。
この作品は違う観点から参考にさせていただきます。
ご回答有難うございました!
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