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ドイツ語の、bedauernswert と bedauernswerth の違いを教えてください。


瀧(滝)廉太郎の作曲したピアノ曲「憾」(※)の自筆譜には、ドイツ語で「Bedauernswerth」と曲名が記されているということです。

私の手元の辞書に載っているのは、末尾のhが無い「bedauernswert」だけです。
ググっても、Googleの設定が日本語の場合はこのピアノ曲の記事ばかりヒットします。
ドイツ語に設定して検索しなおすと「もしかして bedauernswert ?」と言われます(ドイツ語で)。

ただ、ドイツ語の設定でググるとそれなりに使用した文はヒットするので、全く存在しないわけではないようです。

ドイツ語は学生時代に半年で挫折したので、それ以上のことが分かりません。
違い(例えば、変化した形とか、古語の場合とか)を教えてください。


「そんなのドイツ語の基本文法」という場合以外は、根拠(出典)付きでお願いします。
ネットですぐに参照できる資料(ドイツ語文献でも可)だと助かります。


※ 日本語の曲名「憾」は、一般的に「うらみ」と読まれていますが、「恨」や「怨」とは別の言葉です。

A 回答 (2件)

bedauernswertとbedauernswerthには意味の違いはありません。

語末のthというのは19世紀末まで行われていた一般的な綴り方で、1901年にベルリンで開かれた正書法会議で廃止され、それ以降はt一文字で表記されることになりました。

瀧廉太郎の「憾」は、死の直前、1903年の作品なので、改変されたばかりの正書法がまだ行き渡っていない時代のものです。日本語で検索した場合にこの曲しか出ないのは、古いドイツ語を掲載、もしくは引用している日本語のサイトがほとんどないからです。ドイツのサイトの場合は、19世紀までの文献も扱っていますし、著作権の切れた文献を公開しているサイトに出ている19世紀以前の作品も古い綴り方のままなので、bedaurnswerthに限らず、今日t一文字で書くところをthで書いてある語はたくさんあります。しかし、現代の正書法ではbedauernswerthと綴ることはないので、ドイツ語版のGoogleで検索をかけても、自動的にbedauernswertに置き換えられるようになっています。

根拠を、ということなので、ドイツ語版Wikipediaの「1901年正書法会議」(これに先立って1876年にも行われているので、第2回正書法会議とも呼ばれます)の項を下に出します。
https://de.wikipedia.org/wiki/Orthographische_Ko …

上の解説中のBeschlüsse(決議)の項に次のようにあります。

In heimischen Wörtern sollte das h nach t grundsätzlich fallen (Tal, Tür statt Thal, Thür). In Fremdwörtern wie Thron und Theater sowie germanischen Begriffen wie Thing und Thor wurde die th-Schreibung beibehalten.

ドイツ語固有の語に関しては、thのhは原則的になくすべきであると書いてあり、ThalではなくTal、ThürではなくTürと書くように決められました。ただし、ThronやTheaterなどの外来語や、ThingやThorなどのゲルマン語の概念に関しては、thという表記を残す決定です。

下のサイトは、ドイツの哲学者、ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』の序文です。
http://gutenberg.spiegel.de/buch/die-welt-als-wi …

この文の中には、Werth (=Wert)、Theil (=Teil)、Mittheilung (=Mitteilung)、posthum (=postum)、Rath (=Rat)、thun (=tun)、muthmaaßlich (=mutmaßlich)、nöthig (=nötig)などなど、今日t一文字で書く語の多くがthになっています。seinなども、seynという古い綴りです。

bedauernswerthという語が確認できる文学作品の例は必ずしも多くはありませんが、Spiegel誌のGutenbergに収録されているものの中に25例ほど確認できます。
https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei …

bedauernswertは、「残念に思う、遺憾に思う」という意味なので、「憾」という漢字の意味と一致します。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!

ヒットするページの雰囲気から、古いものかなとは思っていましたが、「正書法会議」なるもので取り上げられていたなど、大変興味深く読みました。期待以上のご回答で、すっきりしました。

お礼日時:2016/05/07 15:48

もしかしたら、 yougubeの話でしょうか?



まず、この曲が生まれた経緯を動画でみると、言葉の意味が良く解ると思います。
瀧廉太郎の生涯「知ってるつもり」ドキュメント部分 @YouTubeさんから

次に、瀧廉太郎 : 憾(うらみ)  - wxmx07589のblog http://blog.livedoor.jp/wxmx07589-wxmx07589/arch …    には、
「憾」とは、憎しみの気持ちのことではなく、心残りや未練、無念といった気持ちのことである。この曲の自筆譜の余白に「Doctor! Doctor!」と走り書きがあったとされており、自身の若すぎる死を控えた「憾」の表れと考えられている。とあります。
 この場合の憾みのドイツ語が、Bedauernswerthとされています。
 英語だとregret です。
 Rentaro Taki (1879-1903) / Urami 瀧廉太郎/憾 https://youtu.be/zxGVfDJNv2I @YouTubeさんから
 
 言葉の意味は、哀しむとか、悔いる等の、この2つの言葉に共通する bedauern が当てはまるような気がします。

 但し、ドイツ語の単語として辞書で引くと、hの入っているものは、意味が読み取れません。
 
 ではどちらが正しいのでしょうか?
 Wikiではなく、音楽の本の引用を見ると、確かに次のようにあります。
 "Bedauernswerth" ("Urami") by Rentaro Taki: A Requiem sans parole for His Own Premature Death by a Japanese Composer of the Meiji Era, Bin Ebisawa
 憾み:滝廉太郎
 明治時代の日本の作曲家、若くして亡くなった彼自身により作られたレクイエム と。
 そして、ここには、hが入っています。
出典:引用 
 http://www.steglein.com/Books/Titles/Zaslaw/fest …

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 しかも、これは、自作の楽譜に書かれている言葉だったのだ。つまり、言葉の間違い云々の問題ではなく、滝廉太郎による題名そのものだからとしか言いようがないのです!!!

 松岡正剛の千夜千冊1260夜『滝廉太郎』海老澤敏 http://1000ya.isis.ne.jp/1260.html
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これに対して、bedauernswertは、哀れなという意味で、イタリア語のpietosoです。
但し、キリスト教音楽になりやすいイタリア語の音楽で、pietosoが入るものになると、慈悲とか救いという意味が入ってくるので、滝廉太郎の憾み節とか違うと思います。
むしろ、心残りに近い意味合いで、ドイツ語の哀れみの中で、特に救いもないような を当てはめたように思います。
同様に、若くして病に倒れ、曲をかき上げまもなく息を引き取ったイタリアの音楽家(26歳で他界)が、滝廉太郎に似ていると思います。
その最期の曲がこれです。
但し、この曲は、歌詞を見てもわかるように、キリストへの祈りが込められている点で、大きくことなります。
Giovanni Battista Pergolesi "Stabat Mater"(1736) https://youtu.be/xHQVtYzjLao @YouTubeさんから
スターバト・マーテル(ラテン語: Stabat Mater)で、題名ですが、これだと聖母マリアが(幼子イエスの傍らに)立っているという意味 で、悲しみの言葉が見当たりません。
しかし、歌詞を見ると、歌詞の中に、Stabat mater dolorosaとあり、ここで、「悲しみの聖母」という題名の意味がわかります。
ラテン語で、 dolorosa が、痛ましい、悲しみに満ちたを意味する言葉で、スペイン語だと、痛々しいとか、痛ましいとか、悲劇的なという意味のTragic に近いように思います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF …

功績等
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7 …
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

質問の第一の意味は語学的なものだったので、ベストアンサーは、他のかたの回答を選ばせていただきましたが、もちろんもともと音楽に興味があったわけなので、Graciesさんのご回答も大変興味深く読まさせていただきました。

お礼日時:2016/05/07 15:56

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