
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
なにがいいたいのかよくわからない、ああ、気になって気になって仕方がない、気持わるい~~~~~~~。
と読者に思わせるのが漱石の目的だったのかもしれませんよ。『夢十夜』を一生懸命理解しようとしているわれわれは漱石の罠にはまってしまっているのではないでしょうか……。だって、夢って「見ていること(書いてあること)はなんだか理解できるけれど、それがどういう意味を持っているかがよくわからない」ものじゃありませんか? 漱石はそういう夢そのものを書いてみたかったのかもしれない。
『夢十夜』はそこからなにかを読取るよりも、雰囲気をたのしんだり、ふしぎな話だなあ、背筋がさむくなる、という感じを味わったりするような類の小説だとぼくは思いました。第一夜なんか、ここからいなくなってしまったいとしい人をずっとずっと待っている男のあわれな気持がつたわってくる。それでいいと思うんですが……。
それでもなお探究心がおとろえなければ、たしかに『漱石論集成』はおすすめです。専門の学者の論文ばかりで多少難しいですが。「漱石研究」という雑誌もあって、すでに『夢十夜』の特集号が出ています。
No.2
- 回答日時:
>簡単でいいので
ほんとですね?簡単でいいんですね?……と予防線を張った上での私見です。
わたしはこのお話を、内面の「とらえどころのない」ものをあえて(努力して、というか)作品に仕立てた、そういうものだと思います。もちろん作品は内面を文字によって表現するものですが、一般的な小説はもっと骨組み(筋道)を必要としますよね。
骨組みは他人に情報をわかりやすく伝えます。しかし骨組みを使うことで、失われてしまう(≒とらえどころのない)部分がある。その失われる部分を極力少なくするために「夢」という形式を使ったのではないかと思うのです。夢は筋道を必要としませんから。
漱石が詩人だったら、彼は詩という形式を使ってこういうような内容のものを書いたのでしょう。(ここで「詩人」とは「対外的に発表するに足るだけの技量を備えた」という意味で使っています。)
言葉だけ、宮沢賢治から借りると、「心象スケッチ」にあたるものが漱石にとっては「夢十夜」だといえるのではないかと思います。
別な言い方をすれば……と、どんどん話はまさに筋道なく自分勝手に展開していくのですが(^_^;)、
漱石が描きたかったものは、絵画で言えば抽象画の技法で描く方がより伝わり易い性質のものだったのではないでしょうか。しかし彼がそれまで描いて来たのは具象絵画でした。具象絵画的技法を使うことによって、風変わりな魅力を持つ小品が出来上がりましたが、それは見る者(ここでは読む者)を戸惑わせるものでもあります。具象なら当然人は人、花なら花と描いてあるはずなのに、その輪郭が揺らいで、別なものに変容しているように見えるからです。
なので、この作品は抽象画的に楽しんでみましょう。
意味づけは放棄して、色や形を楽しむように漱石の描いた夢に身を浸す。そもそも「夢」という形式をとっていることからして、「夢なんだから、”だから何?”って訊いちゃだめだよ」ということなんだと思いませんか?
「理解させる」「何かを主張する」ために書かれたものではないと思います。内面のもやもやと浮遊するものを掴んで肉付けをしてみたらこうなった、というような。
それでですねえ、これは邪道ではあるんですが。
もともとわたしが「夢十夜」を読んだのは、秋山さと子さんという心理学者?が書いた本を読んだからなんですよねー。
「夢診断」(講談社現代新書)
夢十夜を例にあげてユング心理学的分析を展開しています。
まあ、ご本人も「作品として発表されている”夢”に診断として正確な意味はほとんどない」といういわばお遊びのスタンスですが、当時の自分はけっこう面白く読んだので、もし質問者さまの物好きの虫が動くのでしたらぱらぱらとめくってみても宜しいかと思います。
ただ、こういう方向からの意味づけは作品に対しては邪道……(^_^;)。これで「そうだったのか!」と納得されても困りますが。とはいえ、わたしはこれに影響されてはいます……。
どうもわたしも個人的な言葉遊びに走った回答になりましたが……すみません(^_^;)。賑やかしということで。
では失礼します。
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