これ何て呼びますか Part2

出だしは八分音符のスタカッティシモで書いてありますが、13小節目から32分音符で書かれてあります。これは何か意味があるのですか?
八分音符のスタカッティシモだと1/4の長さと考えて、32分音符なので同じということになりますよね。書きやすさとか見やすさの関係で同じものを別の書き方にしただけですか?
詳しい方是非教えてください。お願いいたします。

A 回答 (1件)

8分音符と32分音符で書き分けている意味はもちろんあります。

ただこの曲は、多くのピアニストがあまりにも速く弾くので、録音を聞いてもその違いがわからないことがほとんどです。世界的に有名なピアニストでも、この違いをほぼ無視して弾いている例がかなりたくさんあります。

スタッカートやスタッカーティッシモのような記号は、単純に長さが2分の1になるとか4分の1になるというだけのことを意味するわけではありません。楽典の本などにそのような説明があるかもしれませんが、あくまでも便宜的な説明に過ぎません。もしそれを杓子定規にとってしまうと、13小節目以降の右手は32分音符にスタッカーティッシモが書かれているわけですから、128分音符の長さということになってしまい、そんなのは演奏不可能です。5小節目にイタリア語で指示があるように、ここでのスタッカーティッシモは「できる限り短く軽やかに切る」ぐらいの意味です。

12小節目までは、スタッカーティッシモが書かれている8分音符の前に小音符で前打音が書かれています。この前打音を弾くタイミングは拍よりも前、長さはできる限り短く、そして軽く弾きます。アクセントはスタッカーティッシモが付してある8分音符の方にあります。

13小節目以降は32分音符が2個ずつ組になっていますが、最初の32分音符は拍上にあります。つまり、12小節目までの拍前の前打音とは打鍵のタイミングが異なります。アクセントがあるのは最初の方の32分音符で、スタッカーティッシモが付いている2番目の32分音符ではないので、12小節までとは奏法も異なります。そして、楽譜に忠実な演奏解釈をするのであれば、音の長さはあくまでも32分音符であり、小音符で書かれた前打音よりはこちらの方が長く聞こえなくてはいけないということになります。

旋律としての捉え方も異なります。12小節までは、旋律の流れは8分音符の刻みですが、13小節目以降は32分音符の並びが旋律線です。そして、13小節目に関しては、32分音符の右手と前打音の左手は異なるニュアンスで弾き分けるのが理想で、リストの記譜の意図もそこにあります。

ただ、冒頭にも書いたように、この曲はテンポが速く、リストの楽譜上の要求にはかなり無理があるのも事実です。ほとんどのピアニストは2分45秒ぐらいで弾ききっていますが、そのようなテンポでの弾き分けはかなり困難で、相当のテクニックが必要となります。

YouTubeでいろいろなピアニストの録音を聞いてみましたが、13小節目から32分音符に変わっていることが感じられる演奏はテンポが若干遅めで、演奏時間3分程度のものです。マレイ・ペライアとホルヘ・ボレの録音です。しかし中には、エゴン・ペトリのように、速いテンポでも違いが感じられる演奏はあります。作曲家が書き分けた意図を伝えるために大事なのは表現であって、音符の長さを数学的正確さで弾き分けることではありません。

マレイ・ペライア


ホルヘ・ボレ
https://www.youtube.com/watch?v=uRgRHPS6zTY

エゴン・ペトリ
https://www.youtube.com/watch?v=57YkIKxdG6Y
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この回答へのお礼

とても詳しい説明で感激です!どうもありがとうございました。プロの方ですね!そうでなくてもいいのですが。弾き分けているピアニストの録音も教えてくださって本当にありがとうございました。説明がより実感できる曲でした。
やはりわからないときは聞いてみるに限りますね。他の人たちもみんなG-20さんの説明を読んで勉強できるし!うれしすぎて、なんどでもお礼します。どうもありがとうございました。

お礼日時:2024/08/17 20:09

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