
芥川龍之介の「話」らしい話のない小説を読んで次のような疑問を持ちました。
(1)「話」らしい話のない小説とは何か
(2)作者が価値があると見ている「話」らしい話のない小説は、何において"最上ではない"のか。
(3)「話」らしい話のない小説のよさ
(4)この話を通しての芥川龍之介の主張
なんとなく、「話」があらすじや筋書きのようなものを表していることはわかりました((1))。必ずしもあらすじの「面白さ」が小説の芸術的価値を決めるわけではないということでしょうか((4))。だけど、(2)と(3)についてはいまだによく分からなく、作品の解釈があいまいです。
どなたか解説していただけないでしょうか>_<;
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
高校時代の自分のことを振り返りますと、質問者さんとは違い、「鼻」、「芋粥」、「杜子春」、「蜘蛛の糸」等の作品をひたすら主人公に感情移入しながら読んでいたのを思い出します。
>(1)「話」らしい話のない小説とは何か
読者の好奇心を掻き立てるようなストーリー展開、ワクワク、ドキドキさせるような出来事を織り交ぜた劇的構成といった、《話の筋》をウリにしない小説のことですよね。
>(2)作者が価値があると見ている「話」らしい話のない小説は、何において"最上ではない"のか。
ここは、自分は《話の筋》のない小説が「最上」と思っているわけではない、ただ、小説の優劣は「話」らしい話であるか否かによって決まるわけではない、とだけ言いたいのでしょうね。
>(3)「話」らしい話のない小説のよさ
彼は、「「話」らしい話のない小説のよさ」を訴えたいのではなく、ただ小説を書いたり、読んだりする際に、もう《話の筋》にこだわるのを戒めようとしているだけだと思います。
それよりも、「詩的精神の深浅」とか、その「浄火」をくぐり抜けてきた精神を大切にしたいというわけです。
ただ、「詩的精神」と言ったところで、対象をより深く、より貪欲に感じ取る、写実の極みをめざす、とでも説明するしかないだけに、こちらとしてはもどかしさを感じざるを得ませんよね。
(4)この話を通しての芥川龍之介の主張
背景には、彼がこれまでの自分の作風から脱却し、より理想的な小説を実現すべく、その本質を模索せんという焦慮感があったのではないでしょうか。
また、ちょうどヨーロッパの新しい芸術思想等が洪水のように流入してきた時期だっただけに、その影響によるところも大きかったかと思います。
ということで、「文芸的な、あまりに文芸的な」は、新しい小説方法を具体的に開陳しようとしたエッセイというより、これまでの自分の足跡を振り返り、今後の自分の取るべき小説家としての基本姿勢を自他にアピールせんとして書かれたのではないでしょうか。
なお、ジイドの『贋金つかい』という小説は、「「話」らしい話のない小説」の典型例でですが、現代小説ならではの課題と真正面から取り組んだ小説ですので、機会を見つけてお読みになるようお薦めいたします。
No.2
- 回答日時:
ごくかいつまんで……ということで、以下のような解釈ではどうでしょうか?
ひところ「5分でわかる○○」(○○には作家名とか何とか文学とかが入っていたと思います)という本が店頭に並んでいましたが、話らしい話に注目していくとこれらの本を読んだだけで終了ということになっていくと思います。では、作家の特徴、個性とは何か、それは描写にあるのかも?それを突き詰めていけば話らしい話のない小説に行き着いてしまう。しかし、これは極論です。その極論にすがるしかないところまで芥川は当時、追い込まれていたのか……という気がします。
とってもかいつまんだ感じになってしまいましたが、私の解釈としては以上です。
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