■いくつ当てはまる? ”あおられる車”の特徴
お話を伺ったのは、モータージャーナリストで、サーキットインストラクターとしても毎週ドライビングレッスンを行っている青砥浩史さん。青砥さんによると、あおられやすい車の特徴は、大きく
(A)周囲の交通への意識が低い、(B)小さめの車の2つ。
まず、(A)について、具体例を挙げてもらった。いくつ当てはまるかチェックしよう!
(1)高速道路でもマイペースに低速走行する。
(2)2車線以上ある高速道路で、走行車線(左側車線)から追い抜かれることが多い
(3)一定の速度で走り続けることができない。
(4)権利や自由への主張が強い。遅い・速い・曲がる・止まるは、すべて個人の自由だと思っている。
(5)安全確認が不十分。唐突な車線変更やウィンカーの出し忘れが多い。
(6)一般道で無理に進入・合流してきて、後続車にブレーキを踏ませる。
(7)車間距離を取らず、前の車に一生懸命に(悪意なく)ついて行く。
(8)駐車場や店舗の出入口前でも車間を空けず、停車し進路をふさぐ。
(9)運転する時に前しか見ていない。
(10)ブレーキばかり踏む。
「あおる側は、世間で報道されるような特殊な場合を除き、多くの場合は冷静であれば善良なドライバーです。もしこれらの行動をしていてあおり運転をされたら、ハザードを2回出して謝意を表明しましょう」(青砥さん)
これに加え、(B)に該当する車種によってはあおり運転を助長してしまう可能性があるという。
「主に軽自動車やコンパクトカーなどの”押しが弱そうな車”は、運転すると気が大きくなる人のターゲットになりやすいです。しかし、小さくても、自己主張が強い車はターゲットになりにくいです。見た目の怖そうな人に文句を言わないのと一緒ですね」(青砥さん)
全くの不可抗力だが、人間と同じで、小さくて弱そうな車が標的にされてしまうのだ。
■悪質なあおり運転に遭遇! 道路別対処法
しかし、いくら気をつけていても、いつ恐怖の瞬間に出くわすかはわからない。では、悪質なあおり運転に遭遇したらどうしたらよいのか、道路別の対策を聞いてみた。
「高速道路で追い越し車線を走行していた場合、安全確認を怠ることなく最も左側の走行車線にレーンチェンジし、法定速度前後で走り続けて様子を見ましょう。それでもあおり続けてきたら、加速して前の車に追いつき、パーキングまで走り続けます。前の車に追いつくのは、割り込まれ、停車させられるのを防ぐためです。高速道路上で絶対に止まってはいけません」(青砥さん)
この段階になったら、迷わず110番だ。
「万が一、高速道路本線上で止められたり、パーキング内までついて来られたら、絶対に窓を開けることなく警察を待ちます。そして、時間軸に基づく経過を残すため、スマホで動画を撮り続けましょう。ドライブレコーダーがあるに越したことはありません」(青砥さん)
同乗者がいれば、警察へ通報後も電話は切らず、相手の声や状況などを逐一警察に伝えるとよいそうだ。
また、一般道や地方道の場合も、基本的に高速と同じ手順。なるべく前の車に追いつき、走り続けよう。
「少しだけペースを上げて走ってみて様子を見ます。それでもあおり続ける人は、決して相手にしてはいけません。他車や第三者がいない場所で止まるのは危険なので、110番した上で走り続けてください。前の車がいなければ、なるべく多くの人がいる場所を探して止まります。事業所の駐車場などでも構いません。」(青砥さん)
とにかく、窓を開けたり車を降りたりするのは絶対にNG。車を利用する機会も増える秋の行楽シーズン、自分の身を守る術を身に着けよう。
●専門家プロフィール:青砥浩史
モータージャーナリスト、サーキットインストラクター、経営コンサルタント。自身が経営するサーキットにてドライビングスクールを主宰する傍らで、自動車関連の著作を数多く執筆。著書は「カーナビの謎をとく」ほか。農業経営も手がける。
(酒井理恵)