■発酵食品を取り入れたオシャレなデリカテッセン
一口に発酵食品といっても、その種類はさまざま。味噌や醤油などの和食に欠かせないものもあれば、ヨーグルトやチーズ、アンチョビなど洋食でおなじみの食品もある。パンや紅茶なども発酵を利用して製造される食品だ。
そうした伝統的な発酵食品を取り入れながら、今までにない新しい食スタイルを提案しているのが、新宿高島屋8階にある発酵デリカテッセン カフェテリア「Kouji&ko(コウジアンドコー)」だ。発酵料理教室は、同店において2カ月に1度くらいのペースで開催されている。料理教室といっても参加者が実際に調理するわけではなく、講師による説明を聞きながら、その場で調理された料理をいただくというスタイルなので、料理初心者も気軽に参加できるのがうれしい。
講座内容は毎回異なり、その時々にあったテーマが選ばれるとのこと。今回のテーマは「発酵鍋」。鍋は寒い季節には外せない定番料理だが、発酵食品を取り入れることでどのように変わるのだろうか?
■「発酵鍋」で身も心も温まる!
日本で鍋料理が発達したのは家屋の構造が大きく影響している。伝統的な日本家屋は木造のため壁際に炉を置きにくく、自然と部屋の中央に炉(囲炉裏)を置き、家族みんなで火や鍋を囲んで料理を楽しむスタイルが一般的になった。講師の大島シェフによると、そうした伝統的な食スタイルを大切にしたいとの想いから、今回のテーマに「鍋」を選んだそうだ。
講座では、まず使用する食材の紹介が行われた。つけダレ用の食材として用意されたのは、黒酢、甘麹、豆腐よう、いしる(魚を発酵してつくる液体状の調味料)、酒粕、鰹節、かんずり、たまり醤油、すんき漬(赤カブの葉の漬物)、ごま、にんにく、生姜、青葱、山椒油、落花生、干し海老の16種類。鍋の具材は、にぼし、昆布、舞茸、小松菜、こんにゃく、きくらげ、白菜、小野川温泉もやし、長葱、豚肉、鶏肉など。
ちなみに現在の一般的な食生活ではカロリーは足りているのに栄養素のバランスが悪く、ミネラルなどが不足していることが多い。これらをバランスよく取ろうと思うとカロリー過剰になって太ってしまいがち。そこでミネラルやビタミンがバランスよく含まれる食材をタレに使い、肉や野菜をそのタレにつけて食べることで、必要な栄養素を自然に摂取できるようにしているとのこと。
講座では、大島シェフの説明を聞いたあと、参加者が自分でつけダレをつくるところからスタート。筆者も実際にトライしてみたが、辛みをつけたい場合は、かんずりを少し多めに、香りを楽しみたい場合は山椒油を加えて、というふうに好みに合わせて味や香りを調節できるのが新鮮だった。ちなみに、かんずりとは塩、柚子、麹を原料に、約3年間じっくり発酵させた辛味調味料で、マイルドな辛味が特徴。入手しにくい場合は一般的な一味や七味などで代用してもいい。
具材の方は、昆布やにぼしでダシを取ったら、そのまま野菜や肉を入れていけばOK。アクにも体にいい成分が含まれるので、今回はあえて取らずそのまま一緒に食べてしまうことに。
なお、肉は事前に麹に浸けておくと煮ても硬くなりにくいそうだ。今回は1日塩麹に浸けた鶏肉(せせり)と、麹を塗ってくるっとバラの花のように巻いた薄切りの豚肉を鍋に投入。実際に試食させてもらったが、しっかり火が通っているのにとても柔らかでおいしかった。
大島シェフによると、つけダレの食材は今回用意した全種類を揃えなくても問題ないとのこと。ねりごま、酒粕、山椒油、落花生(などナッツ類を砕いたもの)、甘麹あたりをベースに、辛味をつけたい場合はかんずりなどを加えるのがオススメだそうだ。
山椒油は自宅でも簡単につくることができる。手順は、赤山椒と青山椒をサラダ油に入れ、熱して色がついてきたところで火を止めるだけと簡単。今回のようにタレに使うだけでなく、パスタやチャーハンなどに使ってもいいとのことなので、少し多めにつくっておくのもよさそうだ。鍋料理はタレが変わるだけでも変化が出て楽しめるので、一度試してみてはいかが?
「教えて!goo」では、「あなたの好きな発酵食品を教えて!」ということで皆さんの意見を募集中だ。
■店舗情報
店名:発酵デリカテッセン カフェテリア Kouji&ko 新宿高島屋8階住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5―24―2 新宿高島屋8F
営業時間:10:00~20:00(月~木・日)、10:00~20:30(金・土)
※ラストオーダー:新宿高島屋の閉店30分前
「Kouji&Ko」公式ホームページで