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著作権の相続や印税の遺産分割の仕組みについて弁護士に聞いてみた

著作権の相続や印税の遺産分割の仕組みについて弁護士に聞いてみた「著作権っていくらなんだろう?」というのも、著名な作家や作曲家が亡くなった際には、その遺産だけでなく、著作権も相続の対象になるからである。死後でもお金が生まれるような著作権なら、当然誰がそれを引き継ぐのか、相続人が複数いる場合どう調整するのかが争いとなろう。そこで今回は、著作権を含めた無体財産権(知的財産権)の相続について、普通の財産との違いに注目しながら解説していこう。

■著作権相続のスタートは共有


相続では実にさまざまなものが相続される。いわゆるプラスの財産だけでなく、負債や保証人などのマイナスの財産もその対象である。そしてこれらを物権(土地)と金銭債権(預金、債権債務)、無体財産権(著作権など)と分けた際の違いについて、相続問題に力を入れている井上義之弁護士は以下のように解説する。

「不動産所有権などの物権は、遺産分割協議や審判で定まらない限り、相続開始後、相続人の間で共有となります。これに対し、金銭債権は法律上当然に分割されていますので、相続人はそれぞれ単独で債務者に対し、自己の相続分に相当する債権を行使できます。相続人間で合意しない限り、当然には遺産分割の対象にならないわけです」(井上弁護士)

「一方で、著作権など無体財産権の権利者が遺言なく死亡し、相続人が複数いる場合、無体財産権自体は法律上当然に相続人同士で共有となります。相続人全員の合意により特定の相続人のみを単独の権利者に変更することはできます。誰か一人に帰属させなければならないということはなく、そのまま共有とすることも可能です」(井上弁護士)

著作権は土地の相続と似たような対応がとられており、話し合いがない限り、相続人全員で共有、すなわち全員の同意がない限り権利の変動が発生しないということになる。ではもう少し無体財産権の相続自体について詳しく見てみよう。

■著作権とその契約は別物の相続


無体財産権の相続の際に注意すべきは、その保護期間と契約の2点であると井上義之弁護士は解説する。

「著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、植物品種の育成者権、半導体の回路配置利用権といった無体財産権の特徴は、法律上、保護期間が定められていることです。例えば、著作権の保護期間は原則として著作者の死後50年です(著作権法51条、52条、75条)。なお、著作者人格権(1)は一身専属性(2)を有するものとされていますが、時的限界なく著作者の遺族に一定の権利が認められています(著作権法60条)。相続人同士の間で無体財産権について遺産分割協議を行い、特定の相続人が無体財産権を相続する際は、上記のような保護期間を考慮して無体財産権の経済的価値を評価する必要があるでしょう」(井上弁護士)

(1)著作者人格権とは、著作者がその著作物に対して有する人格的利益の保護を目的とする権利。著作権が他者に移転された後も著作者が保有する権利。
(2)一身専属とは、権利又は義務が特定人に専属し他の者に移転しない性質。

著作権の保護期間については注意が必要である。昨今のTPP合意によって、保護期間が来年には70年に延長されることが見込まれている。それも併せて、著作権の経済的価値を評価するには、現在その著作権でどのような契約が結ばれているかが参考になる。しかし、あくまで著作権とそれに基づく契約は別の財産であると、井上義之弁護士は言う。

「遺産分割の成立までに、無体財産権から収益が発生することがあろうかと思います。遺産分割前に無体財産権から生じる収益は、無体財産権とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて各自単独に確定的に取得すると解されます。債権の段階であれば各相続人が債務者に対して請求出来ますし、既に一部の相続人が自身の法定相続分を超えて収益を受け取った場合には、他の相続人は受け取った者に対して自己の相続分に応じた収益を請求することができます。もっとも、そのような遺産からの収益を含めて相続人全員で遺産分割協議をすることも差し支えありません」

すなわち、遺産分割が完了する前に契約している音楽会社から支払われたお金は、著作権としてではなく、先に挙げた金銭債権として、当然に分割されるとみなされる。ということである。

■著作権の拡散にご注意を


これまで見たように、著作権相続は全員で共有している段階からスタートする。となると、その権利を誰かが一人で相続すると協議するにも、相続人全員の同意が必要となる。これが70年という保護期間内であれば、数世代にわたって相続人から枝分かれする人々に確認を取って回らねばならなくなる。これに契約債権が紐づいていれば、事態は一層複雑だ。たびたび著作権相続の問題がニュースになるのも、この拡散した著作権という原因が挙げられる。

専門家プロフィール:弁護士 井上義之 公式 ブログ
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