
■水いぼってどんな病気?
諸々の疑問に答えてくれたのは、シロノクリニック銀座院の笠井美貴子副院長。水いぼとはどんな病気であるのか、早速回答いただいた。
「水いぼとは、良性のウイルス感染症の一種で、正式には伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と呼ばれます。基本的には小児の疾患ですが、免疫力が低下している成人や高齢者も発症することがあります。特徴としては、中央に少しくぼみがある、つやつやしてやわらかい、1~10mm程度のいぼができます。中には原因となる伝染性軟属腫ウイルスを含む液体が入っているため、水いぼをひっかくなどしてその液体が出てくると、あちこちに水いぼが増えていきます。小児での好発部位は顔面、体幹、四肢です」(笠井先生)
■水いぼの感染経路
ちなみに、どうやって人にうつるのだろうか?
「弱いウイルスなので、お風呂の水やプールの水からうつることはなく、強く触れ合った時にのみうつります(接触感染)。タオルやお風呂場のマットは、水いぼがある部分に直接触れるため、共用するとうつしてしまうことがあります。タオルやマットレスは、共用しないこと、こまめに洗うことが大切です。また、直接触れたから必ず水いぼができるわけではありません。子どもの体調・皮膚のバリア機能によります。なお、大人が発症することは、滅多にありません」(笠井先生)
直接触れたからといって、必ずしもうつるわけではないようだ。お風呂の水やプールの水からうつることもないとのこと。となると、水いぼになっても、保育園や幼稚園に行っても大丈夫ということだろうか……?
「基本的には、保育園や幼稚園に行っても大丈夫ですが、園によっては水いぼの症状があるとプールに入れないところもあるようです」(笠井先生)
■水いぼの治療法
もし水いぼに感染した場合、どんな治療方法が適切だろうか?
「治療をせずに自分の免疫の力で自然治癒するのを待つこともあります。ただ、自然治癒にかかる期間は個人差があり、数カ月程度から2~3年と様々です。水いぼが1、2個であれば、自力で治ることを期待して様子をみることが多いですが、水いぼをひっかいてしまい数が増えてきたら、自力で治るのを待つのではなく、治療用のトラコーマ鑷子(せっし)と呼ばれる専用のピンセットでつまんだり、液体窒素で焼くなどして、水いぼを取り除きます」(笠井先生)
■水いぼの予防策
治療法は分かったものの、できれば感染しないようにしたところ。水いぼにかからないための予防策についても聞いた。
「水いぼの予防は、皮膚の環境を整えること、つまり保湿をしっかりとすることです。乾燥や湿疹がある皮膚はバリア機能が弱くなってしまい、ウイルスが入り込みやすい状態になってしまいます。朝晩に皮膚にベタつく程度の保湿剤を皮膚に塗ってあげることが大切です。皮膚のバリアを保ってあげることで、ウイルスの侵入を防ぎます」(笠井先生)
いかがだっただろうか。愛する我が子が病気にかかってしまうと、親としては大変心配だ。病気に対する正しい知識と治療法、さらには予防策をしっかりと押さえることが、病気への不安解消、子どもへの接し方に結び付いていくのではないだろうか。
【取材協力】
・シロノクリニック
・笠井美貴子医師