■おいしい山菜の入手方法
山菜狩りに行けば、新鮮でおいしいものが手に入れられるイメージがある。初心者でも楽しめるのだろうか。
「日本で山菜が自生する場所の多くは、個人の土地か国有林、国立公園などです。それらの区域では自由に採取することはできません。採れたての山菜を入手するには、地域のガイドが案内する『山菜狩りツアー』などに参加するのがおすすめです」(蓮池さん)
市販のものを購入するのが手軽ではあるが、鮮度が気になるところだ。
「スーパーの山菜の多くは、野菜とほぼ同じで人の手によって育てられたものです。場所にもよりますが、3月に出回る量はあまり多くはありません。鮮度にこだわるなら、野山が近くにある道の駅などに行ってみてください。さまざまな採れたての山菜が販売されていますよ」(蓮池さん)
新鮮でおいしい山菜は、ドライブがてら道の駅で仕入れるのがよさそうだ。
■おいしい山菜の見分け方や調理法
初心者でも楽しめる代表的な4種について、おいしいものの見極め方や調理法を教えてもらった。まずは、「フキノトウ」について紹介しよう。
「春になるといちばんに顔をのぞかせるフキノトウは、とてもよい香りがします。濃い緑色より薄い緑色のものの方が、アクが少なく食べやすいです。黄色いフキノトウはえぐみが少ないため、下茹でしなくてよい場合も多いですよ。天ぷらはもちろん、茹でてほうれん草とおひたしにしたり、刻んでお味噌汁の吸い口にすると、フキノトウならではの香りと苦味を楽しめます。油で炒めてみそ、砂糖、みりんで調味し『ふきみそ』にすれば、ご飯もお酒も進みますよ」(蓮池さん)
「タラの芽」は、洋食にもおすすめとか。
「清涼感のある香りが特徴のタラの芽は、身が張っていてトゲがしなっていないものが新鮮です。フキノトウ同様、天ぷらやおひたしが王道の食べ方です。ほろ苦い風味がペペロンチーノやバター醤油味のパスタにもよく合います。刻んで使ってみてください」(蓮池さん)
次は、アクの少ない「こごみ」だ。
「こごみは太くて艶のあるものを選ぶとよいです。アクが少ないのが特徴ですが、山菜らしい独特の香りがあります。天ぷら以外では、茹でてからマヨネーズあえやごまあえ、ナムルなどにするのがおすすめです」(蓮池さん)
最後は、シャキッとした歯ごたえの「うるい」を紹介してくれた。
「アクがなく野菜に近い山菜です。しおれておらず、茎が白いものを選ぶとやわらかく食べやすいですよ。茹でると長ねぎのようなぬめりがでるのが特徴です。おひたしやごまあえ、白あえ、ナムルなどに適しています。シンプルにオリーブオイルでさっと炒めるだけでも、風味や食感を楽しめます」(蓮池さん)
どれも気軽にチャレンジできそうなレシピばかりだ。山菜が食卓に並ぶことで、見た目にも春を感じられるだろう。今回教わったレシピを参考に、新鮮な山菜で春の訪れを感じてみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:蓮池 陽子(AtelierStory)
「食の物語を紡ぐしごと」をコンセプトにしたAtelierStoryを主宰。食べ物とそれにまつわる歴史や自然、風土、道具、器などの物語を大切に、商品・レシピ開発、プロモーション、販路開拓、フードコーディネート、フードスタイリング、記事執筆・撮影、ワークショップ企画開催、ケータリングを行う。
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