■テレワーク中の食事の工夫
テレワークの日は運動量が減るため、“コロナ太り”しやすくなる。食事の内容にも気を付けたいところだ。
「テレワークの場合は、糖質(主食や砂糖)や脂質(揚げ物、油脂の多いパンや菓子)の量を控えめにし、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含むものを食べると栄養バランスがよくなります」(中村さん)
つい市販のお弁当やパン、インスタント食品に手が伸びそうだが栄養価が心配だ。
「市販のお弁当は、冷めても美味しく食べることができるように濃い目の味付けになっているので、食べすぎると塩分の摂りすぎになります。お昼をお弁当にしたら、夜は温野菜や生姜、スパイスを加えた薄味のスープにすると、バランスがとれ免疫力アップにも繋がります。インスタントやレトルト食品には、野菜や蒸し豆(大豆やひよこ豆)、海藻などをトッピングすると、栄養価が高まり腸内環境も整えられますよ」(中村さん)
毎食の自炊は大変だが、朝のひと手間がポイントだと中村さんは続けた。
「栄養バランスが偏ったり極端に食事量が減ると、代謝が下がり冷えや肩凝りにも繋がります。朝に野菜や豆などを茹でたり蒸しておくと、昼食・夕食の準備をしやすくなります。手軽にビタミンCが補給できる、ミニトマトやみかんも常備しておきましょう」(中村さん)
ただお腹を満たすだけの食事ではなく、毎食の栄養バランスに気を付けながら作ってみてはいかがだろう。
■旬の食材や残り物などを利用して作るメニュー
中村さんは、旬の食材を利用して作る、お手軽メニューも提案してくれた。
「小松菜やれんこんなどの旬の野菜を使って、副菜を常備しておきましょう。小松菜は、カリウムやビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維などが含まれ、栄養価の高い野菜です。ざく切りにしてタッパーに入れ、軽く水を振ってレンジで1分半程加熱します。亜麻仁油や醤油、塩でシンプルに味付けし、納豆やツナなどを加えると美味しいですよ。抗酸化作用があるレンコンは、薄切りにして酢と水をまぶし、レンジで2分程加熱して『酢レンコン』にします。豆腐と合わせ、すりごまや鰹節、醤油をかけてもよいです」(中村さん)
体によい旬の秋鮭レシピも紹介してもらった。
「ひと口大に切った秋鮭やシメジ、マイタケをクッキングシートにのせ、水を大さじ2杯ほどふりかけ、塩コショウで味付けします。クッキングシートの両端をねじって耐熱皿にのせ、レンジで火が通るまで加熱すれば、『鮭ときのこの紙包み蒸し』の完成です。たんぱく質やビタミンDなどを含む秋鮭ときのこの組み合わせは、骨を丈夫にし免疫力アップも期待できます。お好みでパプリカやキャベツ、芋、かぼちゃを添えたり、ピザチーズやバター、オリーブ油などをかけてコクを出しても美味しくなります」(中村さん)
残り物のカレーや煮物のアレンジ法も教えてもらった。
「カレーは、豆乳やトマトジュースを加えてカレースープにします。ご飯を入れてチーズをかければリゾット風に早変わりしますよ。また、だし汁で油揚げや小松菜、ネギなどを煮てカレーを加え、醤油、みりんで調味し、とろみをつければ和風だしカレーになります」(中村さん)
和風だしカレーをうどんにかければ、王道のカレーうどんに早変わりだ。他にも簡単なひと手間でできるメニューを聞いた。
「煮物に水を足し、白菜やわかめ、中華スープの素、ごま油、にんにく、すりおろし生姜などを加え、味噌や醤油、こしょうで味付けをすればラーメンスープ風になります。中華麺や春雨、白滝などを加えると主食にもなりますね。また、煮物にだし汁を足し、醤油、塩などで味を整えお餅を加えれば、お雑煮風スープに早変わりしますよ」(中村さん)
おやつには、ナッツやドライフルーツ、干し芋などがよいと中村さんは続けた。
「テレワークやマスク着用により表情筋が衰えがちです。よく噛む必要のある食事を取り入れると、食べすぎ防止に役立つだけでなく、顔の筋トレにもなりますよ」(中村さん)
人に合うことが減り、喜怒哀楽が少なくなったとすると、顔の筋肉にも影響があるかもしれない。
今回教えてもらったレシピは、どれも電子レンジや小鍋を使用した調理なので、洗い物も簡単そうだ。お好みのレシピにチャレンジし、コロナ禍のテレワーク生活でも健康に気を付けて過ごしたい。
●専門家プロフィール:中村 美穂(おいしい楽しい食時間)
管理栄養士。料理家。フードコーディネーター。国際薬膳調理師。保育園栄養士として乳幼児の食事作りや食育活動、地域の子育て支援事業に携わる。2009年より料理教室を主宰。離乳食教室、食育講座の講師のほか、書籍、雑誌、WEB記事、生協カタログ等へのレシピ提供、監修を行う。