
■巣ごもり中もメンタルを健康的に保つ方法
人に会わず、自宅にこもらざるを得ない状況で、心穏やかに過ごす方法はあるのだろうか。
「色々なことを自粛しなければならない状況で、健康的なメンタルを保つのは難しいですね。そのようなときには、三つの『R』が大切です。一つめの『R』は、休息や休養、睡眠を意味する『レスト(Rest)』です。家で過ごす時間が長いと、普段以上にスマホいじりやゲームをしてしまい、神経の緊張状態が続くことになります。そうなると、睡眠が不規則になって脳が休まらない状態が続き、倦怠感の原因になります。現代人は『休む』ことが苦手といいますが、この機会に意識的に『休む技術』を高めましょう」(青柳さん)
このような状況下で情報収集やゲーム、コミュニケーションができるスマホは非常に便利だが、あえて使用しない時間を設定したい。
「二つめの『R』は、趣味、娯楽という意の『レクリエーション(Recreation)』です。日頃から『時間がない』、『余裕がない』が口癖になり、趣味を持つことを忘れがちではないですか? 外出自粛の状況を逆手に、少しでも『没頭』したり、『無心』になれば、気分転換できますよ」(青柳さん)
三つ目は、こんなときだからこそ最も心がけたい、「リラックス(Relax)」の「R」とのこと。
「『刺激』ではなく『静』の状態を楽しめるもの。たとえば、ヒーリング音楽やアロマ、ヨガ、ストレッチなど、神経の興奮が抑えられるようなものを取り入れると、心身ともにくつろげます。先述のレクリエーションなどと合わせて、『リラックス(Relax)』できればなおよいでしょう」(青柳さん)
現代人が、三つの「R」を日々実行することは、なかなか難しそうである。だからこそ、意識的に実践する努力が大事なのだろう。
■外出自粛のときだからこそやっておきたいこと
こんなときだからこそ、やっておきたいことがあるというので、教えてもらった。
「人間のアイデンティティ(自我)の確立には、自分だけではなく他者が必要です。人間は『孤独』だと心身に支障をきたします。アメリカで受刑者100人を孤独状態にした実験では、慢性的な無気力や倦怠感、鬱、絶望、理由なき怒りといった症状が多くみられたそうです。人と接する機会を絶たれることはストレスになりますので、文字のやり取りだけでなく、オンラインなどを利用して対面の対話ができるとよいですね」(青柳さん)
忙しい現代人は、心ここに在らずの状態である「マインドレス」が当たり前になっているとか。今だからこそ、その「マインド」に意識を傾けたい。
「私たちは文明の『便利さ』の恩恵により、『急ぐこと』や『忙しいこと』、『~しながら~すること』といった、マインドレスな日々を過ごすことに慣れてしまっています。やがてそれは、“~しなきゃ”という『強迫観念』や、“~しなきゃいけないから”という『依存心』のようなものを生み出しているではないでしょうか。こんなときだからこそ、『ゆっくり呼吸する』、『ゆっくりご飯を食べる』といった“今”に注意を向け、今を味わうといった『マインドフル』な過ごし方をしてみませんか。海外の著名な経営者や大企業でも学ばれている『マインドフルネス』という考え方はストレスケアにも繋がりますよ」(青柳さん)
今のような非常時は特に、三つの「R」を取り入れながら、マインドフルな日々を過ごすことが、健康的なメンタルを保つ秘訣だ。そのような努力や心がけは、新型コロナウィルス終息後の人生をも豊かにすることにつながりそうだ。
●専門家プロフィール:青柳 雅也
「カウンセリングルーム アンフィニ」代表。個人カウンセリングや企業のメンタルヘルスケア、心理学セミナー、企業研修、教育機関で心理学の非常勤講師など活動は多岐に渡る。保有資格は産業カウンセラー(社団法人 日本産業カウンセラー協会認定)