■ペットボトルにはどんな種類があるの?
まずは、ペットボトルにどんな種類があるのか、ダイレクトに質問を投げかけてみた。
「大きく4つの種類があります。一つ目は、無菌常温充填用ボトルです。無菌常温環境下で製造(充填)する製品は、自由な容器形状を取ることができ、軽量化も容易で環境にやさしい容器を使用することができます。二つ目は耐熱ボトルです。製造時に熱をかけて殺菌する製品は、熱による口部の変形を防ぐため、白く結晶化されています。熱をかけた後、中味が冷却されるとボトル内の体積が縮んでしまうので、その際、ボトルが凹まないように減圧吸収パネルと呼ばれる機構を持つ必要があります」(高田さん)
一見、四角い形状の模様と見過ごしがちなのが、減圧吸収パネルという機能。あと二つの種類は何だろうか。
「三つめは耐圧ボトルです。炭酸飲料は、中身からのガス圧で底が飛び出ない様に、底部に5つの半球状の突起を作りボトルを自立させています。この機構は花びらのように見えることからペタロイド(花弁)といわれています。四つ目は耐熱圧ボトルです。耐熱ボトル・耐圧ボトル両方の機能を合わせ持ちます」(高田さん)
確かに炭酸飲料のペットボトルの底には突起がある。これは単にデザインというわけではなく、底を強化するためのものだった。
■同じ商品でも用途でペットボトルの強度に違いはある?
実は、サントリーの「やさしい麦茶」を自動販売機で買ったら、ペットボトルにボーダー型のラインが入っていた。だが小売店で買ったら、波型のラインが入っていたのだ。なぜなのか聞いてみた。
「自動販売機に入れるためには、一定の寸法(高さ・太さ)が求められます。その理由から、『GREEN DAKARAやさしい麦茶』や『CCレモン』では、小売店用と自動販売機用で容器の形状を変えています。また、つぶれて2本同時に出たり、つまったりしないように一定の強度も求められます。ですので『天然水550ml』は、小売店用では国内最軽量の11.3gのボトルを使用していますが、自動販売機用には形状は同じ13.5gのボトルを使用しています」(高田さん)
販売ルートによっても、それぞれの理由により、違いがあるようだ。
■ペットボトルの今後の変化は
何気なく手に取っているペットボトルに色々な工夫がされていることが分かった。これからも変化を遂げていくのだろうか。
「CO2削減や海洋プラスチックごみ問題への対応として、環境負荷の少ない素材の使用が拡大していくと予測されます。例えばサントリーでは、リサイクルPETボトル(ボトル to ボトル)や、植物由来のPETボトルの使用拡大の取り組みを行っています」(高田さん)
今や私たちの生活になくてはならないペットボトル。実は気づかぬところで進化していた。変形しているペットボトルを見かけたなら、熱や衝撃に耐久している姿や運ばれてきたルートに思いを馳せるのも楽しいかもしれない。
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●専門家プロフィール:高田宗彦
サントリーMONOZUKURIエキスパート株式会社
チーフスペシャリスト。包材のスペシャリストとしてペットボトル等の研究に携わる。