■交際中に見抜く方法
結婚する前に生活音が気にならない相手かどうか判断できれば、リスクを減らせそうだ。そんな方法はあるのだろうか。
「交際中に見抜く方法といわれれば、ズバリ『ない』です。『生活音が気になる』ということなので、一緒に生活しないと出てこない問題なんです。デートしたり付きあったりしてるくらいでは絶対に見抜けません。せめて、同棲していれば見抜くことはできると思います」(森さん)
付きあっている程度では、判断するのは難しそうだ。とはいえ、何かよい方法はないものだろうか。
「一緒に暮らすまでいかないとしても、性格的におおざっぱな人や、細かいことを気にしない人。また、性格がおおらかな人や、大胆だったり男らしかったりする人の場合には、往々にしてこのような状態になりますよね。ですので、見抜くという意味では、こうした性格の人は生活音が大きくなりがちと思っておくとよいでしょう」(森さん)
こうした性格の男性はむしろ魅力的ともいえる。そこが好きで付き合いはじめたという人もいるはず。しかし、結婚して一緒に生活する期間が長くなるにつれ、そこが裏目に出ることがあるということかもしれない。
■不満の伝え方
生活音が気になることを夫にうまく伝える方法はないだろうか。
「普通に『それちょっとやめてくれない!』とか『傷つくじゃん、危ないでしょ!』のような言い方では駄目で、伝え方にもテクニックが必要です。不満や怒りの感情を相手にうまく伝える方法として、『アイメッセージ』という手法があります。アイメッセージの『アイ』は英語の『I』です。つまり『私は』を主語にして、その次に不満や怒りの感情が沸く前に思った感情を相手に伝えます」(森さん)
具体的に、どう使うのかぜひ知りたい。
「たとえば、夜中にドタバタすると近所迷惑になるんじゃないかと思ったりするわけです。それを『私はドアが壊れると思うから心配だ』とか『私は近所の人に迷惑がかかるかもしれないって不安なのよ』と、うまく伝えることが大切です。いっぽうで、『他人に影響があるからやめたほうがよいんじゃないの』といったアドバイスはいけません。そうではなく、自分にとって困るから、自分は悲しいからといった、あくまでも『私は』が主語になっていないと駄目です。だから、アイメッセージといいます」(森さん)
つまり、「隣の人がうるさいと思うから」ではなく、「隣の人にうるさいと思われる私が嫌だから」と伝えることが重要なのだ。
■しだいに音以外も気になりだすもの
夫の生活音に対する不満がたまった末、音以外のものが気になりはじめることもあるという。
「音以外であげるとすれば、トイレの便座フタを開けっ放しであるとか、ニオイでは口がくさい、お風呂に入らない、また身体や足を洗わずに布団に入ってしまうといったものがあります。さらに、見た目では、『髪が薄い』、『太ってる』が圧倒的です。ちなみに、音の中で一番気になる人が多いのが、『イビキ』になります。あとは、洗い物などをするときに水を流しっぱなしにするのも『ジャージャー』うるさいとなるようです」(森さん)
ここまでささいなことが気になるようになるとは……。特に見た目は、言われた側としてはたまらないだろう。
「見た目は特にわかりやすいので、妻としても攻撃しやすいし、言いやすいんです。だから、本当はそこを注意したいわけではないのですが、どんどんエスカレートしてしまうんですね。妻もきっと生活音が嫌なわけではないんですよ。もっともっと他に許せない部分がたくさんあって、たまたま生活音を攻撃しているだけなんです。だから、夫がここを直したとしても、妻側は嫌いなままだと思いますね」(森さん)
こうなるとリカバリーは難しいので、アイメッセージなどを使って、うまく相手に意思を伝えながら関係性をキープしていくべきだろう。
生活音に限らず、離婚のきっかけはささいなものであることが多い。そのため、常日頃から夫婦関係を良好に維持できるように、今回のようなテクニックをたくさん知っておきたいところだ。
●専門家プロフィール:森 洋子(もり ようこ)
合同会社ライフ・イズ・ビューティフル代表。イライラ妻がラブラブになっちゃう「妻活トレーナー」としても活動。人間関係、夫婦関係におけるコミュニケーション方法のコンサルティング、セミナーなどを精力的に行い、全国の受講生9割の目標を叶えている。