
■からしとマスタードの違い
からしとマスタードは、見た目、風味とも、さほど変わらないイメージだが、どのような違いがあるのだろうか。
「古くから使われてきた国産のからし種子は、『オリエンタルマスタード』や『ブラウンマスタード』に属する、からし菜の種子でした。その後、15世紀末には、欧米からヴァスコ・ダ・ガマが、『イエローマスタード』など、種類の異なるからしを東洋に運び込みました。それらを区別するため、前者の国産のものを『和からし』、後者の欧米のものを『洋がらし(マスタード)』と呼ぶようになりました。明治以降、日本に洋がらし(マスタード)が入ってきたときには、『洋辛子』と表記したといわれています」(ハウス食品株式会社)
マスタードは「洋がらし」のこと。肉料理などの洋風メニューに使用されることが多い理由がわかる。ハウス食品では、チューブ状の練りからし商品を大きく3種に分け販売しているそうだ。
「からしに適温の水を加えて練り上げたチューブ状の練りからしは、主に『和からし』、『マスタード』、『からし』の3種に分類し展開しています。和からしは、オリエンタルマスタードを使用し、辛味が鼻にツーンと抜けて刺激味が強いため、納豆やおでん、シュウマイなどによく合います。また、お酢が加えられ、マイルドな辛さのマスタードは、ホットドッグやドレッシングなどに合います。オリエンタルマスタードとイエローマスタードを混合し製造するからしは、キレのある辛さと風味を楽しめ、和からしとマスタードの双方のよさを楽しめます」(ハウス食品株式会社)
さらにハウス食品では、粉末のからしも取り扱っているとか。お酢などの調味料を配合せず、水分を加えて練った後、すぐに使うことができるため、ひきたてのフレッシュな風味を楽しめるそうだ。
■マスタードの代わりにからしはOK?
お酢が加えられていることから、酸味の感じるマイルドな辛さと風味が特徴のマスタード。和からしやからしで代用することはできるだろうか。
「代用は可能ですが、マスタードの方が穏やかな辛味ですので、いずれも少量からお試し頂くことをおすすめします。マスタードは、味覚の面で和からしやからしと異なりますが、イエローマスタードが加えられているからしのほうが、和からしよりマスタードに近く、代用しやすいといえるでしょう」(ハウス食品株式会社)
なるほど。マスタードの原料までさかのぼって理解すると分かりやすい。
■意外に合う!メニュー
「意外にからしが合う!」や「意外にマスタードが合う!」といった、思いもよらない使用法はあるのだろうか。
「伊豆諸島や小笠原諸島では、お寿司にからしを使います。ちなみに、江戸時代には、初鰹をからしで食べていたようですよ」(ハウス食品株式会社)
わさびの代わりだったのだろうか。試してみたくなる。
「マスタードは、はちみつと混ぜ、ハニーマスタードソースにして、鶏肉や豚肉のソテーにかけると美味しいですよ」(ハウス食品株式会社)
ハニーマスタードソースなら、辛いものが苦手な人や子供でも美味しく食べられそうだ。これからの夏季は特に、冷やし中華やバーベキューなどで、からし製品の出番も増えることだろう。今回のお話を参考に、新しい目線でからし製品を積極的に使ってみてはいかがだろうか。
●プロフィール:ハウス食品株式会社
1913年薬種問屋として創業。わさび、からしといった「ねりスパイス」や「GABAN」ブランドで家庭用スパイスを販売。さらに「バーモントカレー」などのカレー製品を中心に、シチューやデザート、ラーメンなどバラエティ豊かな製品を提供。