■ クリ料理なら「日本グリ」
クリには「日本グリ(和グリ)」や「ヨーロッパグリ」など、さまざまな種類があるという。中でも「日本グリ」は甘めのものが多く、素材を生かした料理に向いているそうだ。
「水分が豊富な『日本クリ』は、蒸したりゆっくり加熱することで甘みが増します。和菓子はもちろん、茶碗蒸しのような和食にもおすすめです。『中国グリ』や『ヨーロッパグリ』は、『日本グリ』に比べ渋皮がむけやすいのが特徴です。シンプルな『焼きグリ』などに適しています」(恵那川上屋)
選び方のポイントや保存方法についてもうかがった。
「外側の焦げ茶色の皮を『鬼皮』というのですが、ここがツヤツヤしているものを選びましょう。『粒が丸くぷっくりしていて重い』、『軽く触れても鬼皮がへこまない』のもよいクリの条件です。『日本グリ』の場合は水分が多いため、実がしっかり詰まっていることがおいしさの一つの目安になります」(恵那川上屋)
「虫食い穴がないかどうか」も確認するとよいとか。
「クリは虫が付きやすいです。皮に小さな丸い穴が空いていたら、中に虫がいる可能性があります。座(底の部分)が黒っぽくなっているものも避けたほうがよいでしょう。保存する際は、鬼皮がついたまま1%の食塩水に半日以上つけます。それを天日干しにしたのち、水分を切って密閉袋へ入れましょう。冷凍保存する場合は、冷凍用保存バックに入れて冷凍庫へ入れてください」(恵那川上屋)
保存可能期間は最大6か月ほどとされているが、種類や状態によって異なるとか。スーパーや市場など、購入した場所で確認しておこう。
■炊飯器で作れる「くりおこわ」
こっくりとした甘みやホクホクとした食感が楽しめるクリは、さまざまなアレンジが可能だ。
「クリといえば、まず『モンブラン』を思い浮かべる人が多いでしょう。定番のものに加え、日々新たな商品が誕生しています。サクサクとした生地のものや中にフルーツが入ったもの、クリペーストを餅や求肥で包んだ『モンブラン大福』などです。もちろんその他のアレンジも多様です。甘く煮てケーキのトッピングに、裏ごししてクリームや生地に混ぜ込んだり、ようかんに練り込んだり……。甘露煮や渋皮煮は和菓子のイメージが強いですが、マロンパイやパウンドケーキ、テリーヌなどの洋菓子にもよく合いますよ」(恵那川上屋)
つづいて、炊飯器で簡単にできる「くりおこわ」のレシピを教えてもらった。
「材料はクリ20個、もち米(うるち米を大さじ3混ぜたもの)3合、煮汁です。煮汁はだし汁600ml、しょうゆ、みりん、砂糖を各大さじ1、塩小さじ3分の2を混ぜて作ります」(恵那川上屋)
まずは皮を柔らかくする。
「沸騰したお湯で約6分ほど下茹でし、水で粗熱をとり皮を剥きましょう。このとき、クリのおしり側を包丁で落とすと皮が剥きやすいですよ。切り落とした部分からすべての鬼皮を剥くと渋皮がきれいに残ります。渋皮は切り落としたところから、包丁で気をつけながら剥きます。素手で剥くなら鬼皮をつまむようにしましょう。皮を剥き終えたら水に浸け、アクが出るのを抑えます。煮汁の材料をすべて鍋に入れ、煮立ったらクリを加えてアクを取りながら約6分ほど茹でましょう」(恵那川上屋)
もち米はあらかじめ洗っておき、20分ほどザルに上げておくとよいとか。
「炊飯器にもち米と粗熱を取っておいたクリを入れ、煮汁600mlを入れます。3合の目盛りより少し多めになるように水を加えて炊きましょう。炊き上がったら優しく混ぜ合わせて完成です」(恵那川上屋)
黄色い色味がアクセントになり、スイーツやご飯ものにトッピングするだけでも華やかなクリ。そのまま食べるのもおいしいが、アレンジ次第でさまざまな楽しみ方ができる。この秋はクリのアレンジレシピで、食卓を彩ってみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:株式会社 恵那川上屋
1964年に創業。「ふるさとの栗とともに、地域の喜び、生産者の誇りを育てる」を信念に、栗きんとんやおこわ、モンブランなど栗を使ったスイーツを販売している。
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