■小指を立てるのは貴族の仕草だった?
小指を立てる仕草がテーブルマナーだったという説があるという。
「諸説ありますが、香辛料が大変高価だった時代に、香辛料をつまむ指は親指と一番小さい小指がよいとされていました。その際に指が湿っていると多く取り過ぎてしまうため、カップの水滴が付かないよう、小指を立ててカップを持つことがテーブルマナーの一つであったといわれています。また、ヨーロッパの貴族の間では、婦人が小指を立てて物を持つと女性らしく映ったことから、たしなみとして小指を立てていたという説もあります」(諏内さん)
中世ヨーロッパでは、貴族による所作として知られていた小指を立てるという仕草。現在ではどうなのだろう。
「現在では、男性俳優が女性役をする場合によく使う所作としても知られていますよね。逆に、女性アピール過多と見なされて下品に映る場合もあるでしょう。私の見解は、小指をピンと伸ばし過ぎるのはあまり上品には映らないので避けることをおすすめします」(諏内さん)
以前は上品さや優雅さをかもしだしていた小指を立てる仕草。現在では、逆に過剰なまでの女性アピールになり、下品なイメージにもつながりかねないのだ。
■勘違いしがちなテーブルマナー
まだまだ知られていないテーブルマナーがあると、諏内さんは続けてくれた。麺類の食べ方もその一つというのでさらに聞いた。
「ロングパスタやお蕎麦、うどんなどの長い麺は、途中で噛み切るのは見苦しいとされています。最初から麺を取る量を少なめに計りながら、最後の部分まで切らずに口に入るようにいただきましょう」(諏内さん)
また、一見すると上品に見えるが、本当はマナー違反とされる仕草も。
「食事を口に運ぶ際、口元に手を持っていく『手皿』という仕草がありますよね。こちらは実は大きなマナー違反なのです。特に和食の場合は、小皿を持って食べましょう。また、大皿やお鍋料理を取り分ける際、お箸を逆にして取り分ける『逆さ箸』。実はこれもよく見かけるマナー違反です。衛生上も見た目も好ましくないので、取り箸を使って取り分けましょう」(諏内さん)
小指を立てる、手皿、麺類を細かく噛み切る……。品がよいと思っていた仕草が、実はマナー違反ということもある。あまりにこだわりすぎても堅苦しいが、一度食事中の仕草を見直してみるのもよいかもしれない。
●専門家プロフィール:諏内えみ
結果を出すマナースクール ライビウム代表。テーブルマナー、立ち居振る舞い、会話力、婚活、お受験等の講座が人気。映画やドラマでの女優のエレガント所作指導やメディアでも活躍中。Amazon売れ筋ランキング1位「『育ちがいい人』だけが知っていること」 など著書多数。