■「4人で月の食費3万円」は難しい?
ひと口に「食費」といっても、どこまでの消費を含めるのだろう。
「一般的には、外食費以外の『自炊費』を指します。しかし調味料やおやつ、お酒などを食費に含めるかは、家庭により異なります。実家からお米や野菜を送ってもらえたり、多くの食品をふるさと納税の返礼品で受け取っている家庭もありますよね。これらは当然食費に含まれません」(丸山さん)
頂き物や返礼品を活用している家庭なら、4人家族で月3万円も夢ではないのか。
「1人当たりに換算すると1日約250円となるので、なかなか難しいでしょう。ひと昔前と比べ、今は物価や消費税が上がっています。異常気象などで食材の値段が高騰することも少なくありません。誰にでもできることではないです」(丸山さん)
さらに「食費を切り詰めることにとらわれるのは危険」と丸山さん。
「実験的に月3万円でやりくりし、楽しむのはありです。しかし『いつでも誰でもできること』と勘違いされるのは問題です。安価な食材を食べ続けて食費を抑えられたとしても、ストレスや栄養失調などで体調を崩したら本末転倒です」(丸山さん)
心身の健康のためには、栄養バランスのよい食事が不可欠だ。4人家族で月3万円の食費を維持するのは、非現実的といってよいだろう。
■節約のコツ
健康を害さない程度に、食費を安くおさえるコツを教えてもらった。
「米やおやつ、酒、外食費など込みで、1人当たり月2万円を目標にしてみてください。4人家族なら月8万円です。一見余裕があるように感じますが、1人当たり1日約667円です。それほど簡単ではありません」(丸山さん)
食品や食材選びでのポイントはあるだろうか。
「特売品や値引き品、スーパーのPB(プライベートブランド)商品などを上手に取り入れましょう。週に1度まとめ買いをし、加えて1、2度買い足しをするとよいですよ。鶏胸肉や豚こま、豚バラ、卵、豆腐、納豆、ちくわ、こんにゃくなどは安価でおすすめです」(丸山さん)
買い物に行く前に献立を決め、必要な材料をまとめ買いする人も多い。丸山さんいわく、節約の観点でみると他にもよい方法があるとか。
「献立を考えず、使いきれそうな量のお買い得品を購入するのがコツです。それをもとに食べたいメニューを作りましょう。料理に自信がない人はレシピサイトなどを参考に、ある程度同じ材料で作れるレパートリーを考えるとよいですよ。たとえば豚こまを多めに購入したら、小分けにして『生姜焼き用』、『照り焼き用』、『塩こうじ焼き用』と下味を付けて冷凍しておきます。食費を抑えられる上、調理も手軽になり一石二鳥です」(丸山さん)
上手にやりくりし、たまにささやかな贅沢をすると、節約を続けやすいという。
「ご褒美として少しよい食材やお酒を買ったり、外食をするのもよいですね。テイクアウトやミールキットも特別感があり、日々の節約に楽しく取りくむエネルギーとなります。『また明日から頑張ろう』と思えるよう、息抜きをする余裕と工夫が大切です」(丸山さん)
節約がうまくいかない場合は、レシートを見ながら原因を探るとよいとのこと。嗜好品や値引き品を買いすぎていないか確認し、本当に必要かどうかの見極めをしよう。無駄をなくした分、楽しみを増やすのだ。丸山さんのアドバイスを参考に、無理せず健康的な節約を試してみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:丸山 晴美
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。消費生活アドバイザー。ゆとりうむプロジェクト理事。年間100万円貯めることを目標としたオンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える!お金の教室」を開設。著書出版、メディア掲載等、幅広く活動し、節約して上手にお金を貯める術などについてアドバイスしている。